『みんなと一緒』
多摩動物公園 高原 由妃
暑い夏が過ぎ、動物たちや周りの風景も落ち着いた雰囲気になってきた頃、サバンナ放飼場は少し賑やかになりました。10月に入り、今年生まれのシロオリックスのブルーム(4/6生まれ、メス)とグレビーシマウマのラガー(7/6生まれ、オス)が、翌11月にはアミメキリンのユリア(8/6生まれ、メス)が広いサバンナ放飼場にデビューしたのです。サバンナ放飼場では、アフリカの草食動物(キリン、シマウマ、オリックス)と鳥類(ダチョウ、ペリカン、シュバシコウ)が同じ運動場で過ごしています。普段はのんびりしているように見える動物たちも、他の種類の仲間たちと仲良くやっていくためには、サバンナでのルールを学び、それなりの振る舞いをすることが必要です。生まれてまもなくのコドモたちは、体力がなく、体の大きな同居人(?)が多数いる広いサバンナ放飼場では危険がいっぱいです。実は、ブルームは9月に一度サバンナデビューをしたのですが、他の動物とのトラブルで右角を折る怪我をしてしまいました。しばらく静養の後、再チャレンジして現在にいたっています。怖い思いをしたせいか以前はのんびりした動きが多かったのですが、今ではオトナたちと一緒に機敏に動きます。ラガーは最初、おっかなびっくりで母親について歩いていましたが、比較的体力があり、要領も良いので、すぐに広い放飼場を存分に動きまわるようになりました。ユリアは他の動物より背が高いので攻撃されることはほとんどありませんが、それでもいちばん新参者なので、何かとオドオドして危なっかしく見えます。こんな時はお姉さんキリンたちが近くで見守ってくれています。こうして毎日仲間のみんなと一緒に過ごすことで、群れで生活する動物としてオトナの仲間入りをし、立派なサバンナの住人になっていくのです。
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