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イキモノのイキな話78

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『マーラ』

井の頭自然文化園    高松美香子

マーラ

 「ウサギ!?」「カンガルーだよ!」「足細い!シカじゃない?」。放飼場の掃除中によく聞こえてくる会話です。この、ウサギのようなカンガルーのようなシカのような不思議な動物は、モルモットに近い齧歯類のなかまでマーラといいます。南米パタゴニア地方の草原地帯に生息するアルゼンチンの固有種で、準絶滅危惧種に指定されていますが、日本では現在、30箇所ほどの動物園で飼育されており、わりと目にする機会の多い動物でもあります。

 井の頭自然文化園では、オス1頭、メス4頭の群で展示しています。今回、一部、動物園サポーター資金を使わせていただき、展示施設の改善を行いました。マーラの生息場所にあわせ、荒れ地に低木がまばらに生えた草原を再現しようと試みたのです。まず、荒れ地の雰囲気を出すために、放飼場に真砂土という山砂を敷きました。植栽が悩みどころでした。植物を植えても、限られた空間では草食動物であるマーラにすぐに食べられてしまうからです。実験的にさまざまな植物を与えてみた結果、ハーブ類はほとんど口にしないことが分かりました。野生では主にイネ科植物を食べているマーラにとって、香りの強い植物は好みではないようです。そこで、パタゴニアの草原に生える低木やイネ科植物の代替として、ローズマリーやギンバイカ、レモングラスなどを植えてみました。ハーブの植栽は、放飼場を生息環境に近づけることができただけでなく、マーラにとっても休息の際のよりどころとして、なかまと小競り合いした時のかくれ場所として役立っているようです。

 動物舎の展示に完成はありません。これからも、動物がくらしやすく、来園者の皆さんにとっても楽しみながら本来の生息環境を知ることができる展示方法をさぐっていきたいと思います。



〜動物園の"かお"〜

井の頭自然文化園  ニホンカモシカ

2013年8月1日にオスの赤ちゃんが生まれました。ぜひ会いに来てください!

ニホンカモシカの親子