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イキモノのイキな話76

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『ニシローランドゴリラ群れの中での初めての出産』

恩賜上野動物園  北田 祐二

赤ちゃん(コモモ)を抱くモモコ(ニシローランドゴリラ)

 ニシローランドゴリラのメス“モモコ”は、2009年の“コモモ”出産後、約3年間子育てに専念していました。その間、コモモの父親“ハオコ”と一定の距離を保っていましたが、昨年8月の交尾後、検査で妊娠が判明しました。

 海外の先進的な動物園では、野生同様、ゴリラに群れの中で妊娠や出産、子育てをさせ、肥満防止にも気を配っています。上野動物園も群れの中での学習や健康な生活ができる場を調えるのが最重要と考え、夜は別の部屋ですごしていたモモコ親子も含めた5頭を昨年1月から24時間いっしょにし、食事も野菜と枝葉中心に変えました。

 モモコの過去2回の出産データから予想した出産予定日は4月25日。その前日の24日夕方、係員が観察モニター室に集まりました。予定日は大潮で、人間の場合、出産が増えるとも言われます。「まさか、そんなの当てにならないよ」と誰かが口にし、笑いが起こった少し後、モモコが自分で陰部を触り、手に着いた物を嗅ぎ始めました。しばらくすると弱い陣痛が見られ、1時間もしないうちに強い陣痛に変わり、18時8分、他の個体に見守られながら、モモコはメスの赤ちゃんを産みました。ハオコとコモモは赤ちゃんに興味津々で、そっと手を伸ばしてはモモコに払いのけられていました。

 血縁関係のない個体がいる群れの中でのゴリラの出産は国内初です。幼いコモモにとっては、将来に向けての大切な勉強になったことでしょう。



〜動物園の"かお"〜

恩賜上野動物園
木曽馬の「春嵐」

木曽馬の親子

今年の4月4日に誕生した
木曽馬の赤ちゃんです。