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イキモノのイキな話78

アメフラシ

『ライチョウの域外保全』

恩賜上野動物園 高橋 幸裕

 ライチョウは北半球の寒冷地や高山に生息するキジの仲間です。世界には25亜種のライチョウが分布していますが、日本のライチョウは最も南に生息しています。日本に生息するライチョウは南北アルプスの高山帯のみに生息し、日本列島が大陸と陸続きだった最終氷期に取り残された氷河期の遺存種とされています。

 日本のライチョウは環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類に指定され、生息数の減少が懸念されています。生息数の減少要因としては、高山帯に生息していなかったキツネやニホンジカ、ニホンザル、イノシシなどの分布域の拡大や、気候変動による生息地の環境変化などが考えられます。しかし、「なぜ減ったか」などの理由はわかっていません。

ライチョウ

 高山や寒冷地に生息するライチョウは低地の細菌や寄生虫に対する抵抗力がなく、エサは草食系で大きな盲腸を持つなど「ちょっと他のキジとは違う」特徴を持つ鳥です。これまで日本の動物園では、ライチョウの飼育技術を確立させることはできませんでした。恩賜上野動物園では2008年からライチョウの飼育技術の確立を目的に、ノルウェーのスバールバル諸島などに生息するスバールバルライチョウの飼育を開始しました。現在では多摩動物公園を含む7園館が協力をして、日本動物園水族館協会内にライチョウ域外保全PTを設立しました。PT加盟園館や関係省庁、大学などの研究機関と協力して、将来的には日本に生息するライチョウの域外保全に繋げていきたいと考えています。



〜動物園の"かお"〜

恩賜上野動物園 スマトラトラ「ケアヒ」

 今年6月に公開したスマトラトラのケアヒ(6歳)です。ぜひ会いに来てください!

スマトラトラ ケアヒ