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イキモノのイキな話78

アメフラシ

『ようこそ「イコロ」―北海道の宝モノが仲間入り―』

恩賜上野動物園 乙津和歌

 「いらっしゃい」、「初めまして、ようこそ」。GW真っ只中、ホッキョクグマの展示場では新しい仲間の登場に、来園者の皆様からあたたかい歓迎の声が上がっていました。

 歓迎を受けていたのはオスのホッキョクグマ「イコロ(Ikor)」です。北海道帯広市のおびひろ動物園からやって来ました。

 イコロは現在6才、2008年に北海道札幌市の円山動物園で生まれ、1才の時からおびひろ動物園でくらしていました。

 イコロの綴り“Ikor”におやっと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは間違いではありません。名前の由来をご紹介すると、「イコロ」は北海道に古くから住んでいるアイヌの方の言葉で「宝物」を意味します。円山動物園のお客様による命名募集で決定しました。イコロの「ロ」の部分の発音は少々難しく、小さくぼやかすような感じに発声します。アイヌ語にみられる母音のつかない形式の語句で、綴りでは最後に“o”がつきません。ちなみに、イコロは双子で誕生し、もう一頭は「キロル(Kiroru)」と命名されています。こちらは「道」という意味です。

 最近、ホッキョクグマは地球温暖化の影響を受けている動物の象徴としてよく取り上げられ、野生での生息数の減少が心配されています。日本の動物園でのホッキョグマの繁殖数は、まだまだ多くなく、この貴重な命に対する北海道の方々の思い入れが伝わってきますね。

 4月13日朝6時、北海道の大勢の「イコロファン」の方々に見送られながらおびひろ動物園を後にしたイコロ。10時間以上の道のりをかけて東京に到着しましたが、長旅の疲れも見せずに元気な姿で、新しい我が家をあちこち見回って、住み心地を確かめていました。

 現在、国内の動物園は協力してホッキョクグマの繁殖に取り組み、飼育頭数を増やすプロジェクトを進めています。イコロが上野動物園にやって来たのもその取り組みのひとつで、メスのデア(6才)との間にまたひとつ「宝物」が誕生する事が期待されます。



〜動物園の"かお"〜

多摩動物公園 ツキノワグマのオス「ソウ」

 4月に上野動物園から多摩動物公園に来たツキノワグマのオス「ソウ」です。

あさひ