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イキモノのイキな話78

猿

『海の中も持ちつ持たれつ
タマカイとホンソメワケベラ』

葛西臨海水族園 増渕和彦

 野生の世界は弱肉強食、弱いものが強いものに食べられてしまう非情の世界です。それはもちろん海でも同じこと。しかしそんな中にあって、小さいながらも他の魚たちと利害を一致させてたくましく生きている魚がいます。今回はそんな魚の代表、ホンソメワケベラをご紹介します。

 ホンソメワケベラは全長10cmほどの小型のベラの仲間で、他の魚についた寄生虫などを餌とするため、「クリーナーフィッシュ」と呼ばれています。「クリーナー」と呼ばれる生物は他にも存在しますが、このホンソメワケベラは対象魚を選ばないことでも有名。小さな魚から大きな魚、プランクトンを食べる魚から魚を食べる魚まで、どんな魚でも「お客さん」にしています。

 当園の「南シナ海」水槽ではハタの仲間の大型種、タマカイとホンソメワケベラを一緒に飼育しています。ハタの仲間は魚食性の強い魚。しかも当園のタマカイは全長1.5m、体重およそ50kgはあろうかという超大物。片やホンソメワケベラは全長10cm、体重10gほど。でもご安心ください。特徴的な体色と踊るような独特の泳ぎ方から、タマカイはこの魚が「クリーナー」であることを認識し、食べてしまうことはありません。タマカイは、しばしばホンソメワケベラの縄張りにやってきて、人の頭もスッポリ入ってしまうほどの大きな口を、これでもかとばかりに開いてアピールします。その大きな口に、「待ってました!」とばかりに飛び込んでクリーニング作業にとりかかるホンソメワケベラ。掃除をしてほしい側と、掃除することで食事になっている側。双方の利害が一致しているとはいえ、この「持ちつ持たれつ」のシーンを見るたびに、「自然って良くできてるなー」と感心してしまうのでした。



〜動物園の"かお"〜

上野動物園 マダガスカルトキ

 1月から「アイアイのすむ森」で展示しているマダガスカルトキ2羽です。
ぜひ会いに来てください。

ツシマヤマネコ