東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

タンチョウ

タンチョウの産卵と孵化

井の頭自然文化園  東條裕子

 タンチョウは北海道東部、大陸ではロシアや中国東北部に生息しています。ツル類のうち国内で繁殖するのはタンチョウのみです。直径1m程の巣を地面に作り、1〜2個の卵を産んだ後、約1か月間オスとメスが交代で抱卵します。

 井の頭自然文化園の水生物園では1ペアのタンチョウを飼育しています。オスは上野動物園から来園。メスは2014年に大阪の天王寺動物園から、ブリーディングローン(繁殖のための貸借契約)でお借りした個体です。翌2015年には産卵しましたが、残念ながら無精卵だったため繁殖にはいたりませんでした。しかし昨年も雌雄で抱卵していたので今年も期待していたところ、2016年4月に産卵を確認しました。

 オスが巣材のヨシを集め始めたのは2016年3月10日頃です。交尾を確認したのは3月23日です。ちらばっているヨシを無造作に積み重ね、直径1m20cm程の皿型の巣ができました。営巣場所はケージの出入口から一番遠い反対側の隅です。この時期、タンチョウはとても警戒心が強くなります。飼育係であろうが人が近づくことをとても嫌がり、距離を十分に取れる場所に巣を作っていました。

 1つ目の産卵は4月16日、2つ目は19日でした。卵には斑点模様があり、交代する際には嘴や脚で器用に卵を転がします。これは卵の向きを変えて卵内の胚(ヒナとなる部分)が殻に癒着することを防いでいるのです。

 産卵日には抱卵しては互いに鳴き交わす行動を繰り返し、落ち着かない様子も見られましたが、翌日からは座って卵を抱く姿が観察できました。そして抱卵開始から34日目の5月19日、卵に3cm程の穴を確認し、20日に1羽が、21日に2羽目が孵化しました。

 両親は、ヒナから片時も離れず、嘴で魚を小さくして与えるなど、かいがいしく世話をする姿を見せています。きっと立派なタンチョウに育ってくれることでしょう。



〜動物園の"かお"〜

上野動物園 オオアナコンダ

 3月に神戸市立須磨海浜水族園から上野動物園にやって来たオオアナコンダです。全長3.5mあります。両生爬虫類館でお待ちしておりますので、ぜひ会いに来てください。

オオアナコンダ