東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

ムササビ

ドイツから来たトラの「Artjom」(アルチョム)

多摩動物公園飼育展示課南園飼育展示係 熊谷 岳

 多摩動物公園で飼育しているトラはアムールトラ(別名:シベリアトラ)といって、最も寒い地方にすんでいる最大のトラです。森林伐採などによる生息地の破壊と毛皮や漢方薬目的の乱獲によって生息数は減少し、現在ではロシアのアムール地方沿岸部にわずかな生息地が残されているだけで、その数は350〜400頭ほどといわれています。ただし、アムールトラは1950年代からヨーロッパの動物園を中心とした血統登録(他種や他亜種と混ざらないように血統を管理するシステム)が始まっており、血縁的多様性を考慮した繁殖計画が画策されてきました。その結果、世界の動物園では現在、血統を守られた純粋なアムールトラが500頭以上飼育されています。

 多摩動物公園では2010年の繁殖以降はメス2頭だったため、海外からオスのアムールトラの導入を模索してきました。しかし、アムールトラのように希少な動物種は導入するための審査基準も厳しく、書類審査などに引っ掛かってしまうと、それ以降話が進まなくなってしまいます。2012年から導入に向けて動いてきましたが、それが実現したのは2017年の1月のことです。

 1月19日に待望のオス、「Artjom」がドイツのティアパーク・ベルリンより導入されました。読むのが難解ですが、ロシア語由来の名前で「アルチョム」と読みます。アルチョムはまだ1歳8ヵ月(到着時点)で、大人になるのは3歳以降ですから人間ならば中学生くらいでしょうか? トラはもともとかなり臆病な性質で新しい環境に慣れるまでには時間が掛かりますが、アルチョムの場合はそれに輪を掛けた怖がりでした。部屋を移動するだけでも一苦労で、新しい部屋や展示場ひとつひとつに時間を掛けて慣らさねばなりません。もちろん、多摩に元々いるお姉さん、シズカとアイの2頭のことも全く受け入れず、試行錯誤を繰り返していますが、かなりの苦戦を強いられています。何とか将来、かわいらしい仔トラを皆さんに見せられる日が来ればよいのですが……。



〜動物園の"かお"〜

上野動物園 ゼニガタアザラシ

チーター

2016年12月に北海道から上野動物園にやって来たメスのゼニガタアザラシです。ぜひ会いに来てください。

(写真は、平成29年1月撮影)