ボルネオオランウータンのジプシーの功績
多摩動物公園 南園飼育展示係 清水美香
平成29年9月27日にオランウータンのジプシーが死亡しました。世界で飼育されているボルネオオランウータンの中では最高齢の、推定62歳でした。
ジプシーは多摩動物公園が開園した1958年にやってきました。その後4頭の子どもを出産し、日本の動物園にいるボルネオオランウータン33頭のうち16頭(2016年末現在)がジプシーの血統で、日本のオランウータンのゴッドマザー的な存在でした。
ジプシーは、いつも仲間のことや身近な人を気にかけてくれるとても頼りになる素敵な存在でした。仲間のオランウータンが喧嘩をしていると自分が怪我をする危険もかえりみず仲裁に入ったり、寝室でエサを食べているときにじっと見ている人がいると食べ物を分けてくれたりしていました。タオルで顔を拭いたり、掃除をしたりするオランウータンとしても有名になり、TVでも紹介されたことがありました。
今でも朝にオランウータン舎にいくと「ばあちゃん、おはよう!」と声をかけてしまいそうになります。ジプシーの子や孫たちが今後もジプシーの思いを引き継いでくれることを願っています。