東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

海の中でピコロコがエサを食べている様子

ピコロコのより良い環境を求めて

葛西臨海水族園 飼育展示係 遠藤周太

 「世界の海」エリア「チリ沿岸」水槽では世界最大級のフジツボの仲間のピコロコを展示しています。ピコロコは大きな熊手のような腕を広げて、水中に漂うプランクトンを捕らえて食べるプランクトンフィーダーです。大きくなると350mlの飲料缶ほどに成長するのですが、水槽で大きく成長させるのは難しい生き物でもあります。

 ピコロコは、チリ沿岸のエサがたくさんある、とても豊かな海に生息しています。ピコロコを上手に飼育するにはこの海の環境を再現することが一番なのですが、水槽では難しい課題があります。水槽ではピコロコに水中に漂うエサを与えていますが、大半が「濾過槽」という水をきれいにするところで濾過されてしまうため、十分にエサを食べさせることが難しいのです。また、たくさんエサを入れると濾過槽で処理しきれなくなり、水を汚す原因にもなります。そのため、水槽では自然下よりもエサの量が減ってしまい、大きく成長させるのは難しい状態でした。

 そこで、今年の3月にエサがすぐに濾過槽へ流れてしまう従来の設備を、水の一部が濾過槽だけで循環して展示槽にエサが長い間留まるシステムに改修しました。

 このシステムが完成したことで、ピコロコをより上手に飼育できるだけでなく、今まで飼育が難しく展示ができなかった他の様々なプランクトンフィーダーの生き物も、今後展示ができるようになるかもしれません。



〜動物園の"かお"〜

多摩動物公園
タスマニアデビル 

2017年11月にオーストラリアのタスマニアから多摩動物公園にやって来たタスマニアデビルの「テイマー」と「ダーウェント」(ともにオス)です。ぜひ会いに来てください。

テイマーとダーウェント