チンパンジー「第1位オス」の交代
多摩動物公園 北園飼育展示係 佐藤澄音
チンパンジーは群れをつくり、社会性を持つ動物です。群れには群れの秩序を保つ、オスの第1位のチンパンジーがいます。多摩動物公園の歴代の第1位オス(アルファオスとも言います)として、初代はジョーが約15年間、2代目はケンタが約20年間務めてきました。ケンタは群れの中でケンカが起こると仲裁に入り、群れの秩序を保ってきました。
しかし、2017年の秋頃からケンタの第1位オスとしての立場は大きく揺らいできました。ボンボン(12歳)という若いオスが台頭してきたからです。ボンボンは、ケンタよりも体格が大きく、動きも機敏で、仲間からもその力を認められつつありました。同じ頃、群れ内でケンカが起きると、ケンタは仲裁に加わらずに静観し、ボンボンが仲裁する機会が増えていました。ボンボンは上手にケンカを仲裁できないことがあり、このような場合はケンタが群れの仲間から頼られていることもありました。しかし、ケンタは2018年6月29日に37歳の生涯を閉じました。
これからボンボンはケンタの助けを得ずに群れをまとめなければなりません。ボンボンはまだ若く、群れの秩序を保てるか心配な点もありますが、成長するにつれてその役目を全うしてくれることを期待しています。