東京の川にすむ生きもの

河川水辺の生物調査の方法

調査は国土交通省(旧建設省)により作成公開されている「河川水辺の国勢調査マニュアル」に準拠した方法で行っています。ここでは、最新の平成28 年度版マニュアルに準拠した生物調査の方法を紹介します。

調査年度毎の準拠マニュアル

平成7~8年 「平成5年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル(案)(生物調査編)」
建設省河川局治水課監修,平成5年
平成9~17 年 「平成9年度版 河川水辺の国勢調査マニュアル[河川版](生物調査編)」
建設省河川局河川環境課監修,平成9年
平成18~27 年 「平成18 年度版 河川水辺の国勢調査,基本調査マニュアル【河川版】」
国土交通省水管理・国土保全局河川環境課,平成18 年
平成28 年以降 「平成28 年度版 河川水辺の国勢調査,基本調査マニュアル【河川版】」
国土交通省水管理・国土保全局河川環境課,平成28 年

 

魚類調査

水域内に生息する魚類の生息状況を調査します。

現地調査は、春から秋にかけて2回以上実施し、主に投網・タモ網等を用いて捕獲調査を行っています。捕獲した魚類は種の確認を行うとともに、体長等の計測を行っています。

底生動物調査

河床に生息する水生昆虫類を中心に、貝類、甲殻類、ゴカイ類、ヒル類等の生息状況を調査します。

現地調査は初夏から夏と冬から早春の2回以上実施し、環境の異なる様々な調査地点を選んでサーバーネットまたは採泥器、タモ網等で底生動物を採集し、その種類と出現状況を調べています。

植物調査

水際や川沿いで植物の生育状況を調査します。

現地調査は春から初夏と秋を含む2回以上実施し、調査地区内を歩きながら、生育する種を目視により確認します。

 

鳥類調査

河川の水域や陸域に生息する鳥類の生息状況を調査します。

現地調査は繁殖期と越冬期の2回のほか、渡り鳥が多数渡来する可能性がある場合は、春渡り期と秋渡り 期も調査します。調査は目視と鳴き声による確認を基本とし、スポットセンサス法(*1)により一定間隔で調 査を行うほか、集団分布地調査も行います。

*1:一定間隔毎に設けた定点から、個体数記録を繰り返し行う方法。

両生類・爬虫類・哺乳類調査

河川を生息の場とする両生類・爬虫類・哺乳類の生息状況を調査します。

現地調査は春から秋にかけて3回以上実施します。両生類及び爬虫類は目視及び捕獲により調査し、哺乳 類は目視のほか、フィールドサイン法(*1)、無人撮影法(*2)、トラップ法(*3)により調査します。

*1:足跡や糞、食痕等の哺乳類が残した痕跡を調べます。
*2:センサー内蔵のカメラをけもの道に設置して撮影します。
*3:ラップ(罠)により生息するネズミ類を捕獲します。

陸上昆虫類等調査

陸上昆虫類を中心に、クモ類などを含めて生息状況を調査します。

現地調査は春、夏、秋の3回以上実施し、陸上昆虫類等を採集して調べます。採集方法はスウィーピ ング法(*1)、ビーティング法(*2)、ピットフォールトラップ法(*3)、ライトトラップ法(*4)などを用います。

*1:捕虫ネットを振り、草や木の枝をなぎはらうようにして採集します。
*2:木の枝、草などを棒で叩いて、下に落ちた昆虫を採集します。
*3:プラスチックコップを土に埋め、地上を歩き回る昆虫を採集します。
*4:ブラックライトなどを設置し、夜間に灯火に集まる昆虫を採集します。