第4期第1回議事要旨

開催日時:平成18年2月16日(木) 午後2時~4時
開催場所:東京都第一建設事務所会議室(1階)

[議事及び議事録要旨]
1. 開会

2. 委員の紹介

 第四期となり委員の入れ替わりがあった為委員を紹介

3. 座長、副座長の選出及び挨拶

 座長は事務局の推薦により渡邉第一建設事務所副所長兼工事課長、副座長は都民委員の推薦により神田学会久保委員に決定。

4.流域連絡会概要説明

  • 河川法の改正の流れとして、1896年に治水を目的とした近代河川制度が誕生し、1961年には治水に加え利水の体系的な制度の整備、1991年には環境面についても定められ総合的な河川制度が整備されている。
  • 1991年の改正により河川環境の整備、保全、地域の意見を反映した河川整備の計画制度の導入が謳われている。
  • 1991年の改正を受けて東京都の管理する河川について、流域の住民や市民団体、区市町村及び東京都が河川に関わる情報や意見の交換を行うことを目的として設置。

5. 日本橋川の水をきれいにする

 日建設計シビルより『日本橋川の水をきれいにする』という題目で発表。

○ 日本橋川を流れる水

  • 日本橋川に流れる水は『普段流れている水』『潮の満ち干きで動く水』『洪水のときに流れる水』の三種類がある
  • 『普段流れている水』は下水道からの放流水、清流復活のため玉川上水に送水されている水、上流水源からの水、地下鉄の浸入水、湧水などが流れているが、90%以上が下水道からの放流水であり、95パーセント以上が人為的な水源である。(流量は約3.50m3/s)
  • 潮の満ち干きで動く水』については、江戸川橋付近から下流は河床の勾配がほとんど無く、干潮時と満潮時の水位差が1~2mあるため潮汐により推定6.3m3/s程度の水が流れとなって流下したり逆流したりしている。
  • 洪水のときに流れる水』は東京都のほとんどの地域の下水道が「合流式下水道」であるため処理場の能力をオーバーした雨汚水が直接日本橋川に放流される。

○ 日本橋川の水質について

  • BODなどの環境基準は満たしているが、窒素やリン濃度が高く、その為に植物性プランクトンや藻などが育ちやすい環境となっている。(窒素やリンは下水道からの放流水に含まれており、除去するには高度処理が必要。現在の下水処理場では高度処理は行われていない。)
  • 汚れの原因の一つであるスカムは神田川の大曲~飯田橋の間で主に発生しており、川底のくぼみに有機物が堆積し、微生物に分解される際に、嫌気性の微生物によって分解され微生物が発生させたメタンガスと共に汚物が水面に浮かび上がることにより発生する。
  • もう一つの汚れの原因であるアオコは神田川と水路で繋がっている外壕が発生場所である。わずかな雨水と湧き水しか入らず水がほとんど入れ替わらない外壕に、夏場の日があたることにより爆発的に植物性のプランクトンが増殖し発生、神田川に流れ出し、日本橋川に流入する。

○ 水質改善の対策ついて

  • 国や都は『本来の水循環の回復』『合流式下水道の改善』『河川の自浄作用の回復』など長期にわたる根本的な対策を推進している。
  • 短期的な施策としては『外壕の水質改善によるアオコの発生防止、或いは神田川へのアオコ流出の抑制』『日本橋川に閘門を儲け上げ潮時の逆流を防ぐ』『EM団子を投入し微生物による働きにより汚泥の分解』などが考えられ、一部は実行されている。

6. 報告事項

(1)「日本橋みちと景観を考える懇談会今後の方針について

  • 平成13年度から『東京都心における首都高のあり方検討委員会』が設定され、首都高の移設案として四案を提示した。
  • その後、詳細な検討を行うために『日本橋地区における首都高速道路の再構築検討会』という内部の検討会が設けられ地元からの三案を加えて七案を比較検討することが提案された。
  • 『日本橋みちと景観を考える懇談会』が『あり方検討委員会』を引き継ぐ形で平成15年度に発足。提案された七つの案のうち四案に絞って詳細な検討を行っている。
  • 検討されている四案は『[1]北側高架案:日本橋川の北側を高架で通過する案』『[2]地下案1:日本橋川の北側を浅い地下構造で通過する案』『[3]地下案2:竹橋JCT~JR線交差部まで南側、JR交差部から江戸橋JCTまで北側を浅い地下で通過する案』『[4]日本橋川の南側を浅い地下構造で通過する案』の四案が上げられている。
  • 現在、課題、検討事項が抽出、整理されて技術的に可能であるかの検討作業を進めている。
  • また、まちづくりの観点から、日本橋周辺地区の歴史を踏まえた整備方針とこれに基づく都市開発および首都高のあり方等を『川・道・まちづくり研究会』で検討している。

(2)護岸緑化について

  • 平成16年10月から17年8月にかけて、『小網町児童遊園付近』『茅場橋の上流右岸』『日本橋の上流右岸』の三箇所で試験的に護岸緑化の施工を行った。
  • 高さ1メートル、幅30センチ、長さ90センチのプランターに蔦を植え、ヤシの繊維で作られた緑化マットをコンクリートの護岸にかぶせ、マットの上に蔦が這うように誘導して護岸を緑化する。
  • モデル緑化の結果が良好であるため、18年度から本格的に護岸緑化に取り組む予定。

(3)日本橋川の浚渫工事について

  • 日本橋下流直下のところから100メートルの区間を土量約2,500立方メートル浚渫を行う。

7. その他(意見交換)

○ 日本橋みちと景観を考える懇談会今後の方針について

【都民委員】
 二つお聞きしたいのですけれども、一つは東京都の都市整備局の何部の何課の人が参加されているか。それからもう一つは、先ほどまちづくり的な要素からの検討会もあるというお話をされましたが、それらを統括している部署はどこでしょうか。それを教えてください。
【行政委員】
 懇談会の方は、東京都都市整備局の局長がメンバーになっています。まちづくりの研究会は都市整備局の技監がメンバーになっています。統括しているのは、東京国道事務所が懇談会の事務局で、研究会の方の事務局は、国交省の都市・地域整備局街路課です。

○ 護岸緑化について

【都民委員】
 これは、大変いいことだと思うので、積極的にやっていただいたらいいと思います。ついでに管理通路をぜひ、何とか通れるようにしてほしいです。最低限人一人ぐらいは交差できるぐらい通れれば、緑になっているんだから、楽しくなると思うのですよ。
【行政委員】
 できればそうしたいと思っているのですけれども、日本橋川の管理通路は1メートルぐらいしかない状態で、橋のたもとから入れるようになっていますが、門で閉ざしています。余り歩いていただいてもいい環境ではないとか、あるいはホームレスが入ってくるということで、閉じられたような状態になっております。川沿いに1メートルの河川管理用通路はあるんですけれども、私有地から入っていかなくてはならずアプローチがほとんどの部分で十分ではありません。そのような状況ですから、今の段階では難しいのかなと考えております。
【都民委員】
 管理通路というのは区で管理するのですか、それとも建設事務所或いは河川部計画課で管理するのですか。
【行政委員】
 隅田川の護岸の上にあります河川管理用通路は東京都で管理していますが、日本橋川については中央区で管理しています。
【都民委員】
 ここまでお考えになってやられているのは非常に結構ですけど、前にやった経験からお話しますとこの方法では私だめだと思います、日の光がいかないので植物が伸びないです。やるのだったら、あの壁面、コンクリートの護岸を崩すか鉢植えを天端に置いて、そこから伸ばすしか考えられないと思います。
【都民委員】
 それより亀島川を私はやっていただきたいと思います。亀島川は、ご存じのようにテラスがありますから、日本橋川よりできると思います。日本橋川は、高速道路を撤去したときに今のような方法でやられたらいいんじゃないかと私は思います。
【行政委員】
 「緑の散歩道」の整備なども含めて、亀島川についてもツタ類で緑化をするというようなリーディングプロジェクトを打ち上げております。ただ、亀島川は亀島川で難しい点がありまして、河川管理用通路が全然ないのです。完全に民地になっていまして公共的な用地が全くない。隣接する会社とか民地の部分に少し植物をはわせていただければ非常にありがたいなとか思っているのですけれども、いずれにしても、今後亀島川もやっていきたいと考えております。
【都民委員】
 亀島川ですけれども、あそこはもう少しやりやすい環境だと思います。テラスが裸のままずっとあってもったいない感じがするので、あそこを緑化するのはもちろんですけれども、何とか安全に歩けるようにして、徐々に木を植えたりして、人の歩けるような道をつくっていけば、ビルの表門が川の方へ向くような状況に徐々に持っていけるのではないかと思うんですよね。そういうできるところからやっていくというのもいいと思うのですけど。
【行政委員】
 亀島川はおっしゃるとおり非常に貴重な資源と考えていますので、緑の散歩道として今後整備ができるように考えていきたいと思っています。

○ 日本橋川の浚渫工事について

【都民委員】
 日本橋のところもEM菌を投入したそうですが、その影響はないんですか。
【行政委員】
 これは、前回の流域連絡会の席上でそういった話がありまして、EM団子を投げたところで、掘ってしまっては何も意味がないので、場所等は投げた場所とは別の場所に調整させていただいております。

○ 日本橋川の水をきれいにする

【都民委員】
 今のお話では原因が外濠にあるようなお話ですが、いろいろと出された対策案についてどういうふうにお考えでございますか。
【日建設計】
 本線に閘門をつけるという話は現実的には難しい話だと思います。外濠をきれいにするのは少なからず効果は絶対あると思いますので、湧水を入れて水を交換する方がいいのか、あるいはアオコが発生しないような環境にするのがいいのか、ヘドロを取った方がいいのか、あるいは先ほどのEM団子を外濠にやったら効くのではないだろうかとかいうような、いろいろな意見があります。外壕は千代田区さんの管轄で、千代田区さんは水質などに対して色々と検討しているようなので、千代田区さん等にもお話をさせていただきながら、何かしらの一つのアクションをしていきたいと思っております。

8. 閉会

降雨時に役立つ情報

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