第4期第6回議事要旨

開催日時:平成19年10月26日(金)午後2時00分~4時00分
集合場所:東京都第一建設事務所入札室(一階)

一、開会

二、日本橋川水質および流量の調査結果について(芝浦大学工学部守田優教授)

三、報告事項

  • 日本橋川の浚渫工事について(浚渫係立石委員)
  • 都民委員の改選について(事務局)

四、その他

五、閉会

第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真

  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真1
    (開会)
  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真2
    (流域連絡会議)
  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真3
    (守田教授による説明-1)
  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真4
    (守田教授による説明-2)
  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真5
    (浚渫工事について説明-1)
  • 第四期・第六回日本橋川・亀島川流域連絡会 写真6
    (浚渫工事について説明-2)

日本橋・亀島川流域連絡会

[議事及び議事録要旨]
1.開会
 事務局、座長より開会の挨拶。
2.日本橋川水質および流量の調査結果について
 芝浦工業大学工学部、守田優教授による説明。
【守田教授】
 清水建設と話しを進める中で共同研究をすることになりました。

 都市河川、運河を中心とした水環境に着目し、快適で質の高い都市空間の創造に寄与する研究を進めるとの共通認識に立つ事を考えています。高い技術、ノウハウ、人的知的資源を出し合うことにより社会的に意義のある研究を生み出します。

 特に現在、関心を集めている日本橋川の水質浄化にテーマを絞り、併せて日本橋川における快適な水辺空間の創出に寄与する研究を推進することとします。

 そういう事で今年の7月から始めて、来年も続けていきますけど、今回ここで話させて頂くのは、まだ2、3ヶ月ですのでデータの解析等が済んでいないのですが、面白い意味のあるデータも出ましたのでご紹介させて頂きます。

[調査の目的]
 日本橋川の浄化方策を検討します。その為には日本橋川の汚濁の実態を把握して、どの部分をどのように浄化するのが効果的にできるか。それに関連して浄化に向けてどのように河川水を有効利用しようかという検討をします。ただ今回の報告は汚濁の実態を報告いたします。
[調査の方法]
 日本橋川の水質調査はこれまでも行われていました。様々な論文や報告書等をレヴュ-すると、下水道の汚濁の流出、外堀からのアオコ流入、潮汐により下流からの塩水遡上が日本橋川の水質のポイントであります。しかし、これまでの調査は、河川の表層に近い水質や河川断面平均での水質が対象とされており、表面から底の深さ方向、縦断方向の2次元的な水質が把握されていなかったのではという事で、一般の感潮河川において重要となる水質の鉛直分布、すなわち水深による流速の違い、塩水と淡水の成層状態になっているかどうか把握されていないです。つまり塩水が入ってきますので層になっているのか。あるいは交わっているのかどうかという状態を調べる必要があると思います。

 本調査は日本橋川と神田川(主に分かれる所)において、多地点における水質の深さ方向の変化と時間的な変化を調べ、日本橋川の感潮河川としての特性を明らかにし、併せて降水時の水質変化について検討を加えることとしました。

 調査方法は2つありまして、パターン1は定点連続観測です。1地点(常磐橋)にて、深度別に水質、流速の時間的変化を連続的に計測します。

 パターン2は多点同時観測です。神田川、日本橋川、隅田川の多地点で、深度別に、ほぼ同時に水質計測、サンプリング水質の場所的変化を把握し、水質を立体的に調べていこうと考えました。これが対象範囲です。

[調査の項目]
 調査項目ですが、多項目水質計と言いまして割と持ち運びできる、その場でも計測できる水質計がございます。導電率、溶存酸素、濁度、pH、水温が計れます。このような項目で下流からの塩水の遡上、上流からの淡水の流れがわかります。

 電磁流速計で深さ方向の分布計測をします。窒素、リン、BOD等は表層付近の水をサンプリングして室内で分析を行いました。これが調査に用いた機器です。

[調査の経過]
 調査は5回に分けました。7月9日は船に乗って隅田川、神田川、日本橋川と行き、船を停めて水質計を降ろして調査をしていました。
 7月31日は常磐橋で12時間連続計測をしました。

 8月6~7日は定点連続、多点同時計測、両方やりましてこのデータが今日お見せする主なデータになります。総勢20数名、学生も16名くらいで一日地点に張付いて水質調査を行いました。

 8月29日に常磐橋14時間連続計測をしました。

 8月30日神田川、日本橋川分派点流速測定、隅田川縦断方向水質測定をしました。

[水質項目]
 2つのタイプがありまして晴天時と雨天時の水質の2パターンあります。その両方を調べる必要がありまして、雨が降り水かさが増すと難しいので、雨天時の水質調査は充分ではございません。晴天時の水質結果8月6~7日の状況は分かってきました。

 水質項目は、導電率は塩水を記録しますので導電率が高いという事は塩水が遡上していることになります。溶存酸素は酸素を多く含む水の動きが分かります。溶存酸素は酸素を多く含む水の動きになります。水温は異なる水塊の動きです。その様な事を目安に、現場で測れる指標の中で調査を行いました。

[多点同時観測結果]
 これは船上で測った結果ですが、上の図が導電率、下の図が溶存酸素。上の図は永代橋から日本橋川沿いに上流に分派点まであります。日本橋の出口から神田川で分かれる分派点までの水質の変化が分かります。赤い方は数字が高く、青い方は数字が低いという事で赤く濃い色は塩水が入っている事になります。
 下の図の溶存酸素は逆に青色が酸素が多く、赤色は酸素が低いという事で河口側から上流側の分派点までの間で同じ時間の深さ方向の水質を測定する事で分かります。上の図を見ますと分かる様に、河口側から上流側に向って塩水が潜る様になっています。塩水は比重が大きいものですから、沈むようになっています。

 溶存酸素は上流の方に酸素の多い水が入ってきます。今回の調査で特に注目する事は、隅田川から酸素を多く含む水が入ってきます。だから隅田川の水は日本橋川に比べて酸素が非常に多い良い水なのです。隅田川の水をうまく使えば良いかなという議論も出てきています。上流の河底部は溶存酸素の少ない汚濁の進んだ部分になります。この上の方は結構良いです。だからその下底部が問題になる所だと思います。

 8月6日にもう少し徹底して計測するのに多点同時観測を行いました。これは6日の午前10時の結果です。導電率なので、このように塩水が下から潜ります。潮位の差が大きい時を選んでやれば良かったのですが、残念ながら色んな状況でできませんでした。潮位に従って導伝率が動いています。

 この図は溶存酸素です。中心に赤色の溶存酸素の低い水があります。時間が経過するとまた動きます。水温はあまり変化がありません。要するに、深さ方向の分布と吊り合うものとの支川における感潮河川としての塩水の浸入状況ですが、上流から来ている酸素部分が成層状態の様になっています。下流からの水が良い水が含んであります。

 これは分派点での流量測定の結果です。下げ潮時と上げ潮時の結果です。この流量は面積ででています。表に従って上流、下流へ流れたりします。表層付近は動きがありますが、下層付近はあまり動きがありません。下の方に汚濁物質が溜まりますと動かずに困っている。上の方が動いているという状況が流速から分かります。

[結果の総括]
 結果として、雨が降らない限り見た目の水はきれい。雨が降ると著しく水質が悪化。濁り、ゴミ、スカム、干潮時は特に臭い。pH、BOD、SSは環境基準(C類型)を満足。C類型とは川や海に関して水質のレベルの類型を見ていまして、AA、A、B、C、DのCという事でまあまあの水質になります。これは表層に近い部分の水質です。BODやSSが良いというデータもありますが、何処の深さによって違うので詳しく見ていく必要があります。DO(溶存酸素量)は低い。環境基準を満足していない。下流側から塩分濃度の高い。水が浸入。水温分布も塩水浸入の影響。流速分布は感潮河川特有の形状となっています。

 以上の結果を踏まえてモデルをつくりどういう状況かを調べてみました。上流からは酸素を多く含んだ水が入ってきます。下流からの水はDOが比較的高い。塩分濃度は高い。窒素、リンは低い。上流からの水はDOが高い。塩分濃度は低い。窒素、リンは高い。滞留して水質が著しく悪いゾーンが上流の下層部にあります。今後の対策を考える場合に何処にエアリングをかければいいかとなります。水質が悪いゾーンを集中的にやるなど対策を考えれば細かくできます。

[雨天時の結果]
 これは雨天時の結果ですが、連続で測っていないのであまり良い結果ではないですが3つ比べました。真ん中が晴天時の結果です。深さによって水質の性質が違う成層状態になります。雨天時になると、色んなものが入ってきて深さ方向に関係なくかく乱される。雨が止むと徐々に落ち着いて晴天時のデータの様になってきます。雨天時の深さ方向に関係なくかく乱するものと晴天時の成層状態の水質状態が交互になる結果になります。

 結果の総括として、晴天日には、感潮河川として塩水が浸入して成層状態をなしている。雨が降ると流量増加により、水質は攪拌され成層状態は崩れる(深さ方向の導電率の違いがなくなる)。日本橋川の水質については、洪水時と平常時とで異なったモデルが適用されます。

 洪水時は下水、外堀からの流入により汚濁が入って、水質の撹乱もあります。それが終わりますと、下に溜まり嫌気性分解が起こり塩水浸入があります。日本橋川の水質はこの2つの相があります。今後は雨天日の結果が詳しく調査できていないので調べる必要があると思います。

 
[水質浄化の方向性]
 水質浄化の方向性として、2つの相に分けました。洪水相は下水道の汚濁流出の抑制(合流改善)、外堀の水質浄化または汚濁水の流入抑制。

 下水道からの汚濁の流出はどうなっているかという事で、現在日本橋川の下水、雨水管を調べて何処から入ってくるかを検討しています。もしかしたら日本橋川の汚濁は日本橋川から出ているのではなく上流からきているのかも知れません。そうすると日本橋川の所だけ改善しても仕方がないとなりますのでこれから調査致します。

 感潮相は、エアレーション(低層の貧酸素水域)これはどういう場所、深さで行うかが問題になります。河床の浚渫、流動制御(堰や閘門)、導水は地下水、表流水。隅田川の水に地下水を入れてもいいのではないか。微生物利用。植生浄化。恐らく、選択としてこの中のものになると思います。どの方法が可能性が高いかどういう様にやることが効果的か今後検討していければと思っています。

[今後の調査研究の計画]
 今後の調査研究の計画ですが、
[1]降雨時の水質変化についての詳細な調査。
[2]降雨時の雨水流出・汚濁流出の実態の解明とモデル化。
[3]感潮河川としてのモデル化。対策の有効性を評価できるシミュレーションモデルの作成。
[4]有効な水質浄化の対策についての検討。
  という事で今日の報告はまだまだですが、水深の状況が分かってきたのでこれから焦点をしぼって対策をとって研究を進めていきたいと思います。
【都民委員】
 2、3質問なのですが前に日建設計の佐治さんからこの席で、日本橋川の汚れの原因の一つは外堀から流れてくる川だと神田川の本流と外堀から流れてくるのが日本橋川に入ってくるので、もしかしたら日本橋川の水の断面で調べた時に、外堀から流れてくる水の性質と外堀から入ってくるものが二重の層になっているのではないかという気がしたのですが、その辺はもう一つはっきりしていませんか。
【守田教授】
 今回は特に調べていないので分かりません。特に外堀から入ってくるのは雨の時で、雨天時にやるのはいつかわかりませんので一つそういう事があります。
【都民委員】
 外堀の場合は雨の時と大雨が降って市ヶ谷堀に溜まったものが、あそこは一番汚くなるので何日か経って汚いものが汚れた時に出てきます。だから一番多く降った時に生活雑排水がストレートに流れる汚さと、堀に一旦入ったものが腐って出てくるという2つの側面をもっていると思っています。その辺は僕らも調べたいと思っています。

 もう一つは最後に洪水対策の方法が幾つかでましたが日本橋川はたった5kmなので完全に隔離した形で神田川本流とは別の良い水質にするべく水道橋の新三崎橋の所で、何か造作をしてきれいにして一部は感潮河川の海の水を上から流していく事もあるかもしれませんがその様な事は考えられるのでしょうか。

【守田教授】
 そうです。充分考えられると思います。洪水の対策をどうするかというのがあります。日本橋川は短いのでやる事は選択としてあると思います。
【都民委員】
 もし日本橋川全域が5.5kmでお金が大変だという場合に、ちょうど良い事に1.1kmの亀島川があるのですが予算が少ないと思ったら、亀島川くらいの1.1kmのコースでやるのは可能でしょうか。1/5の予算でできるでしょうか。
【守田教授】
 今回亀島川についてはまだ分かりません。雨が降った時の水をやりたかったのですが、来年辺りに数日間やりたいです。外堀や下流についても別の形で調べていきたいです。
【都民委員】
 下水道の合流式の部分を改善というのがありますが、神田川、神田川水系、妙正寺川を含めて考えると老朽化していて50mm/時 対応にはなっているけども、10mm/時降ったら雑排水が出てくるというのもあります。5mm/時でも溢れる所もあるという事を調査している人もいます。そういう様な事は今回調査した流れを継続していけば変化等分かるのでしょうか。
【守田教授】
 神田川は良く見ますが、崖淵の所に管みたいな丸いものがあります。雨が降るとすぐそこから出てくる場所が雨水によって違うのです。その辺が出てくる所が分かればそこを重点的に調べる事はできます。
【都民委員】
 飯田橋に住んでいるのですが、橋の上から見ていますと雨が降ると始めに下水関係の水が河川に流れてきます。それは茶色で時間が経過すると外堀の溢れた水が流れてきます。それはアオコを多く含んでいますので、帯状になってはっきりと変化がわかります。飯田橋付近では分かるのですが、新三崎橋くらいに入った所からは混じりあった様な汚い水が流れてくる状況になっています。
【守田教授】
 実際見てもらった情報というのは非常に大事なので今後とも宜しくお願い致します。
【都民委員】
 私の所属している名橋「日本橋」保存会が中心になっているEMですが、毎週流しこんでいます。日本橋のイベントの時も、何千個も川底に落とす為に団子状で落しました。きれいになったという人もいますが、合流の弊害で雨が降ったらすぐに濁ってしまうという繰り返しでどこまで効果があるのか。大阪の道頓堀の様に両方仕切ってしまえば、どんどんEMを入れるのですが、日本橋川は厄介でして、感潮河川でもあるし上からも来ますし、その辺も調査の項目として挙げる事はできるのでしょうか。EMの効果測定のようなものです。
【守田教授】
 水質の専門ではないので、浄化に関しては今の所は分かりません。詳しい知人もいますので情報を集めてやっていく事は可能だと思います。私自らやる事は考えておりません。
【都民委員】
 同時多点観測のグラフを見ると新三崎橋から茅場橋まで見るとほとんど溶存酸素がないです。鯉なら多少2時間くらいは陸上に上がっても生きていますから、なんとか逃げていく力があるかもしれませんが、小魚、えび、かに、等のレベルの水生生物はこれだとほとんど駄目だと思います。もう少し良いかと思っていましたが、ショックです。一建さん早めに何かやりましょうよ。
【都民委員】
 これを見させて頂くと高速道路の支柱も関係あるのではないですか。茅場橋から上流は特にひどいです。これは高速道路撤去して頂く他ないと思っています。川の中に支柱が立っているというのはどうでしょう。この結果は夏だけですから春夏秋冬やれば色々出てくると思います。
 神田川と日本橋川では流れが全く違います。神田川はスムーズで日本橋川は流れがないです。その点でもかなり違うと思います。
【都民委員】
 これはお日様が当らないという事はありますか。
【守田教授】
 それはあると思います。光合成の問題もありますし、流れの問題もあります。
【行政委員】
 垂直方向に流速分布や水質調査をしているのは、川のセンター、中心線で行われているのですか。
【守田教授】
 中心と横3点でやりましたが、そんなに大きな違いはありませんでした。
 流速は橋脚部分の影響はあります。
【都民委員】
 日建設計の佐治です。先ほどの流速のお話ですが、私共も一回計測したことがあります。横断方向2mピッチくらいで測りました。表層部が15~20cm、低層部は10cmもない7cmくらいでした。低層部は流速が遅い、表層部は早く、横断方向にはあまり差はなかったと思います。上げ潮下げ潮のある時でした。垂直方向の水質分布で溶存酸素が非常に低く凄いなと思いました。これは室内分析も兼ねて一緒にされているという事で、室内分析の方も溶存酸素が低いのですか。
【守田教授】
 サンプリングしたものはDOが変化してしまうので、サンプリングに関してのDOは測っておりません。その場で測りました。
3.報告事項
・日本橋川の浚渫工事について
  浚渫係立石委員による説明。
【行政委員】
 日本橋川・亀島川の浚渫工事事業という事で前段としまして東京都の河川浚渫事業という事で説明させて頂きます。目的と致しまして河川浄化による環境改善。これは特に日本橋川、亀島川があたると思います。洪水を流すために必要な川の断面積の確保、船舶の安全航行のための水深確保、隅田川、神田川、日本橋川にもありますが、防災船着場の機能維持、こういった目的としまして浚渫事業を行っています。浚渫事業範囲としましては、区部23区部の河川のうち機械式浚渫船団が航行可能な範囲は27河川、延長で約130kmです。この中で平成19年度につきましては、6河川、延長にして約1.5kmの浚渫を実施する予定です。ですから27河川、130kmある中で1年間に1kmないし2kmしかできないという事で、できるのは非常に限られています。その中で、日本橋川、亀島川はかなり大規模に浚渫していきます。

 浚渫事業の流れという事で、川底に溜まっている土砂がどのくらいあるのかを河川の横断測量で堆積している土砂の把握をしています。その土砂の中に有害物質が土砂を受け入れる側で決めている基準値を上回らないかどうかの確認をしています。その為に底質調査を行います。その結果の確認をしてから浚渫工事を行います。概ね一年間のサイクルで行っています。

[河川横断測量]
 河川横断測量は川底の高さを測るにあたって、例えば道路や公園や学校の校庭等に既存水準点(地面の高さ)が測れる点がございます。こういう所から川の近くまで高さをだんだん追っていき、護岸上に仮ベンチマークを設定しましてこの高さを確定しておきます。これを元に川の中の高さを測りますが、川の水位は感潮河川で常に上げ下げがあり測量する時の水面の高さをこの点を元に測って決めています。

 これは川の中を測る状況なのですが、護岸からの距離を双眼鏡の様ですが、この機械を使い護岸からの距離を測りながらその地点の深さを測ります。深さを測るにはこの船のえりに付いていますが、音波探知機で深さを測ります。こういった作業をして最終的に図面を作成して堆積状況を確認しています。この図の黒線が護岸、青線が水面の高さです。表示している水面の高さは干潮時の高さです。これに対して砂がこれだけ溜まっているというような状況が測量の結果から示されます。浚渫の断面図は赤点線で示します。ここより上に溜まっている緑色部分の土を除去する事になります。こういった図面を作成することになります。

[低質調査]
 土の状況を確認しまして、底質調査になります。川底の土を採取して分析しますが、川底の表面を採るのにエクマンバージ型採泥器を下ろして土を採取します。川底よりも更に下の土、川底の表面から1m、2m、3m下がりと分析しています。
 これについて筒状の先にバイブロータがありまして振動により土を掘り出して1m、2m先の土を採取しています。
 それを分析室において全部で40項目くらいの試験をして搬入先に受け入れられる土かを判断します。
[浚渫工事]
 受け入れてもらえる土と確認したら浚渫工事に入ります。浚渫の際にはグラブ浚渫船、比較的狭い日本橋川、亀島川の様な場所で使うバックホウ浚渫船。こういった船を使いまして川底の土を浚渫していきます。
 採取した土を載せる船を土運船と言います。これは船底が開いて起こせるようになっていますが、土を積んで処分先へ運んでおります。
 東京湾にでて中央防波堤外にある新海面処分場という所で処分をしております。右の写真は勝鬨橋の下、レインボーブリッジの下を潜っています。

 新海面処分場に「てんゆう」という船があります。この中に土を降ろします。「てんゆう」は大きい船です。この中に入ると後ろの扉が閉まるようになっています。この中で土を降ろし土が東京湾に広がらないようにしています。扉が閉まるのを確認した後、土を降ろします。土砂投入前と投入後で比較すると、喫水が違っていて軽くなって持ち上がっている状況が分かります。「てんゆう」の中に降ろした土はポンプアップで埋立地まで運んでいきます。浚渫工事の流れは全般としてはこのようになっています。

[日本橋川・亀島川の浚渫事業]
 次に日本橋川・亀島川の浚渫事業という事でご説明させて頂きます。日本橋川は神田川から分かれまして、日本橋川の下流の方で亀島川が分かれます。概ね日本橋川で約4.8km、亀島川で約1kmという延長になっています。この中で土砂の堆積状況を見ますと上の図が日本橋川、下の図が亀島川です。上の図の左が神田川の分かれる所、右が隅田川の河口となっています。下の図の左は亀島川に分かれる所、右は隅田川の河口となっています。棒線が土の量を示しています。これは平成15年度に測定したデータなので少し古いですが、日本橋より少し上流の西河岸橋から下流に多く土砂が堆積しています。100m当りの土の量ですが概ね3000m3~4000m3堆積している状況になります。亀島川に関しては日本橋川と分かれた所から全体的に土砂が堆積していて概ね100m当り2000m3~3000m3堆積しています。そこで堆積している部分を集中的に浚渫しようと平成17年度から日本橋川の浚渫に着手しています。

 平成17年度は図の青い部分の日本橋と江戸橋の間の日本橋寄りを着手しました。平成18年度はその下流江戸橋寄りを着手しました。平成19年度は日本橋の橋下を浚渫しようと考えています。20、21年度と上に向って浚渫していく予定ですが、このペースでいったら日本橋川・亀島川終わるのに何年かかるかわからないので、本庁とも協議致しまして、平成19年度東京都重点事業に採用されまして、うるおいのある水環境の再生という位置づけで大幅に予算をつけて頂く事ができました。

 今年度重点事業として日本橋川・亀島川の浚渫を行いたいと思います。重点事業は来年度から名前が変わるようではあるのですが、引き続き3年間に亘り日本橋川・亀島川をやっていきたいと考えております。まだ決定ではないですが、私共としてはやりたいと考えております。20、21年度と続けていけば、3ヵ年で土砂が堆積していた部分は概ね浚渫できるのではと考えています。ただ決定した訳ではないので予定通りいくかわかりませんがこのように考えています。

 平成19年度の浚渫に関してですが、先ほど説明しましたが日本橋川と亀島川の測量は終わっていまして、引き続き底質調査を11月の頭からとりかかる予定です。この底質調査の結果を待ち2月3月に浚渫工事を行いたいと考えております。
 以上で日本橋川・亀島川の浚渫事業という事でご説明させて頂きました。

【都民委員】
 東京都のにぎわい振興の施策の対象領域は日本橋川、神田川、江東内部河川、東京湾、隅田川という形の領域で施策をしていると思いますが、そちらの方もやることになるのですか。
【行政委員】
 河川の浚渫としましては日本橋川と亀島川だけです。
【都民委員】
 3年間でほぼ完了するというお話ですか。上の方からは浚渫が終わると今後それほど溜まるという事はないと考えていいのですか。あるいは10年くらいで元に戻ってしまうと考えるのですか。
【行政委員】
 浚渫事業に関しましては3ヵ年で下流まで終わったとしたら上流の方をやっていこうと考えています。それをやらなかったとしたら日本橋川・亀島川は過去も浚渫事業を繰り返していまして溜まりやすい河川のようなので、浚渫を止めるとまた溜まってくると思います。
【都民委員】
 初歩的な質問ですみません。川の底というのは自然の形のレベルが茶色の部分ですよね。緑の部分は溜まってきたヘドロという認識では駄目なのですか。
【行政委員】
 一度浚渫をした場所ですと緑色の下の部分の形に掘りますので、その後に土砂が溜まると当然溜まった土砂になります。
【都民委員】
 私は浚渫というのはヘドロを採る事を認識していたのですが、都心の河川の場合必ずしもそういう訳ではないのですか。
【行政委員】
 都心の河川で例えば川を改修した時に深くきれいに平らに掘ったとします。そういう時は更に上流から土が流れてきて、潮の関係で溜まったりした土を浚渫します。
【都民委員】
 だから新中川みたいに人工的に深く掘り下げる場合は別として、日本橋川のように自然の流れの中で浚渫するような場合、原則はヘドロとして溜まっている部分を採るというように考えていい訳ですか。
【都民委員】
 その底質調査して浚渫する部分はほとんど土みたいなものなのか、ヘドロの様な有機物を含んだものなのかどうですか。
【行政委員】
 日本橋川、隅田川合わせて色々やっていますけど砂分が多くヘドロはあまりないです。私も浚渫工事係に来て初めてそういう認識を持ちました。それまではヘドロみたいなものが溜まっているのかと思っていましたが、実は砂分が多いです。日本橋川の表面は割りとヘドロみたいなものはありますが、下の方は砂分が多いです。
 ただ汚れで黒い砂になっています。性状としてはヘドロというよりは砂に近いです。
【都民委員】
 私達は常盤橋の所で船の舟運のイベントをしたりするのですが、干潮時になると船のスクリューで巻き上げられて真っ黒のものが出てくるから完全にヘドロかと思っていたら砂の汚くなったものなのですか。
【行政委員】
 巻き上げられるのは恐らく砂より細かい粒子で、ヘドロに近いものだと思います。
【都民委員】
 日本橋の下をやるとおっしゃいましたね。あそこに地下鉄がありますよね。そういう時に浚渫ができるかできないか限界があるみたいです。特に銀座線は古いものですから浅いと思います。
【行政委員】
 それぞれ地下鉄、水道局と協議して危険がないように作業します。日本橋の橋の下と説明させて頂いたのですが、銀座線のある所までは掘らない予定でございます。来年再来年になればそこへかかってくるかもしれないので、その時は協議します。
【都民委員】
 いつから浚渫しなければいけなくなったかという判断と、土砂がどこから来ているかと考えられるのは神田川と隅田川、満潮時で溜まると思いますが、その辺を教えて頂きたいです。
【行政委員】
 日本橋川、亀島川を前に浚渫をいつ頃やったのかというお話ですが、手元に正確な記録がなく記憶になりますが、昭和末、平成に入って直前くらいになると思います。

 砂がどこから来るのかという点に関しては申し訳ないですが分かりません。27河川をやっていて延長もすごくある中で何処を掘っていくと決めていくのは5年くらい置きに全河川の堆積土量がどのくらいあるか調査を行っています。それで堆積の多い所。それから日本橋もそうですが臭いが酷いので掘って下さいと要望が多い川等、優先順位を考えて検討を行っています。全部はできないので浚渫して効果のある所を少しずつでも優先的に浚渫しています。

【都民委員】
 日本橋川、亀島川はほとんど川の流れがないので将来的に浚渫する際傾斜をつける考えはないのですか。
【行政委員】
 基本的に川底の高さは神田川、日本橋川一緒で隅田川に出た所もほぼ高さは一緒だと思います。そうすると神田川のこの距離でこの高さを流れ下ると日本橋川、亀島川の神田川より長い距離で下ると自然と緩やかにせざるをえないです。日本橋川、亀島川の距離を神田川の距離にするしかないのだと思います。かといって神田川と同じ流れになるように日本橋川を掘っていくと下流でもの凄い深さになって、逆に隅田川に流れていかないという事になってしまいますので物理的に難しい所があると思います。
【都民委員】
 河口付近に土砂が堆積するというお話がありましたが、中流より上ですとだいたい計算すると浚渫する深さは1mくらいですか。
【行政委員】
 川は割りと真ん中が掘れて外側が溜まっている状況ですので一概に何mとは言えないですが、上流の方は平均すると1mにはならないかもしれません。
【都民委員】
 河口はどのくらい掘るのですか。
【行政委員】
 これも場所によりますが1mないし1.5mだと思います。下流の方は川幅が広いので掘る深さはそんなになくても土の量は多くなります。
【都民委員】
 新亀島橋の近くに住んでいるのですが、10年位前浚渫をしている工事の人に掘って何が出てくるのですか。尋ねたらヘドロとドブネズミの死骸だよ。と言われたのですが、今は砂だと聞いて安心しました。
【行政委員】
 私がお話したのは日本橋で浚渫という話をしていたので日本橋川の現状です。亀島川の底質調査はこれからやりますので新亀島橋まではまだ分かりません。
 10年前の方が今よりも汚い状況だったと思います。その頃よりは多少良いかも知れません。
【都民委員】
 ちょっと心配なのは亀島川の浚渫工事が2月3月と予定が入っていますが、渡り鳥が11半ばから3月初めくらいまで来てくれるので工事をする時期に渡り鳥が何処か行ってしまうのではないかと心配です。
【行政委員】
 測量をまずやりまして、底質調査の結果を待って浚渫工事を始めます。これも役所の悪い所なのですが、1年間のサイクルで動くのでどうしても工事が後ろの方になってしまいます。川全部を掘ると鳥の居場所がなくなりますが、工事している期間は一部避けてもらうしかないと思います。すみません。
【都民委員】
 ついでに関連する質問なのですが、折角浚渫して水質を変えようとするなら一緒に環境調査みたいな事もやって頂きたいなと思います。上の水鳥もそうですが下の水生物がどうなるかと気になります。実はこの会で数年前に常盤橋の所から水中カメラで映した事があります。スクリューのついたカメラでは逃げて見えないのですが、固定型のカメラを設置して10分でエビがすごく見えるようになりました。生態的には色んなものが上ってこれる状況になると思うので、是非環境局なり土木研究所と一緒になり調べて頂きたいと思います。あるいは私達がお手伝いできる部分で調査ができるものは時間を作ってお手伝いしても構いません。折角やるなら何かやって頂きたいと思います。
【行政委員】
 私共建設局だけではやりにくい部分があるので、他の所と調整したいです。
【都民委員】
 今度の賑わい創出は東京都の6局が連携してやっている訳ですよね。環境局、観光部、生活産業労働局、港湾局も入っている訳ですからその中でやるなり、市民に呼びかけて参加してもらうとか何かやった方が良いと思います。
【行政委員】
 日本橋川の話ではないのですが、他の隅田川や新橋川は浚渫をした後、魚が非常に集まってくるみたいです。漁師や釣り人に尋ねると浚渫後は魚が集まるという話は聞いています。
【都民委員】
 先ほど泥の成分分析を40項目くらいして、結果良ければ中央防波堤先の新海面処分場に持っていくというお話でした。もしその分析で悪いものが出てきた時に、例えばダイオキシン、PCB、六価クロムだとかそれ処分しなければなりません。
 その場合には2つ質問があって、1つは予定した工事を止めてそっちのほうに予算が取られてしまうのかと、もう一つは悪いとした場合の土の処分の仕方をどうするのでしょうか。
【行政委員】
 まず一つ区別して頂きたいのはその場にある環境基準と受け入れ先での条件の基準が違うことがあります。その場にあるなら平気だけど、持って行くと受け入れてくれない時があります。そういった状況の中で調査したら受け入れ先の土の基準を超えてしまった時は掘っても持っていく所がないので、基準を超えない所を掘る事にすることはあります。
【都民委員】
 城南島のように焼却してタイルか何かにして処分する事はないですか。
【行政委員】
 土を分析して受け入れ先の基準値をオーバーしてしまう。何がオーバーしたかにもよるのですが、例えば護岸工事で掘る土量と川底を浚渫する土量は桁が違います。城南島の様に処理をする工場とかあるかと思いますが、そういった所で処理しきれる量ではないです。ですから掘るのを止める事もできないのでそれ以外の場所で掘るという形で対処しています。
 多少離れた場所で掘ればそこへ流れて全体的に深くなるというのもあります。
・都民委員の改選について
  事務局による説明。
【事務局】
 報告事項の二つ目、都民委員の改選についてですが事務局から説明させて頂きます。お手元に日本橋川・亀島川流域連絡会設置要綱をお配りしてございます。第4項に委員の任期は2年とし、再任を妨げない。という事にしております。第四期今回の最初の会が平成17年2月16日に開催しておりますので満期という事で、都民委員の改選を行います。次回からは第五期としてスタートしたいと考えております。
 第五期の委員の募集につきまして千代田区は11月20日の午後、中央区は11月15日午後に日本橋川・亀島川流域連絡会委員募集という事で掲載することになっております。応募方法は400~800字程度の作文です。「日本橋川・亀島川について思うこと」を添えて12月26日まで郵送して頂く様になっています。再任は妨げないとしていますので是非多くの委員の方も作文を書いて頂く事にはなりますが宜しくお願いしたいと思います。
 都民委員の改選についての報告は以上でございますが何かご質問はありますか。
【都民委員】
 団体委員の場合はどうなるのですか。
【事務局】
 同じ様に団体名で応募して頂ければ結構です。
【都民委員】
 こういう会議というのは連続性みたいのも必要だと思うのですが、今参加している委員で次も希望する場合はできるだけ配慮はして頂けるのでしょうか。
【事務局】
 選考については中央区、千代田区、建設局で選考委員会を開いて選考しますが、当然連続性と流域連絡会をどういう方向に進めていくか検討資料にさせて頂きたいので、是非作文を書いて応募して頂きたいです。
4.その他
【事務局】
 次にその他となります。今回第四期最後になりましたが、第四期委員会の経過をまとめさせて頂きました。日本橋川・亀島川流域連絡会意見集約という形でまとめています。2年間の連絡会の活動状況を思い出して頂こうと思いまして、ここで内容を確認致しませんけど、ご確認して頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
 他に全般で質問はありますか。
【都民委員】
 日本橋の清掃に関してドイツの企業が請け負う様な話が新聞に掲載されていました。排気ガス等で汚れた橋を清掃する記事が掲載されていました。実績のあるドイツの企業が受注するというのが掲載されていました。いつ頃から実際に動き始めるのですか。
【事務局】
 日本橋について管理者は国土交通省がしていまして情報が分かりません。
【都民委員】
 私は知らないのですが、その情報はいつ頃ですか。
【行政委員】
 まだ調べてはいないのですが、汚れているという事で東京国道と話し合いをしながら企業の技術を用いてきれいにすると、私共の方にも船で調査したり、概要が回っていたのですが、日時についてはしっかり覚えてなかったもので、後で調べたいと思います。
【都民委員】
 橋の清掃をするのにそのような高度な技術があるのですか。
【行政委員】
 汚れがとれるそうです。
【都民委員】
 洗い流せばいいのではないのですか。
【行政委員】
 単にそれだけではないみたいで、日本橋には関東大震災で燃えた後だとかあって、単にきれいにすれば100%良い訳ではないので微妙な所もあり色々書いてありました。ちょっと細かい所まで記憶にないので後でご報告させて頂きます。
【都民委員】
 オリンピックで10年後の東京の姿というのを表現していますね。その中で水と緑は重点的に与えていますが、日本橋川、神田川はどの程度緑化が計画されているのかが分かる資料はありますか。
【事務局】
 それも手元に資料がないので調べましてどの程度の事が書かれていたかを報告したいと思います。
【都民委員】
 日本橋の清掃ですが、古い有名な建造物をきれいにする機械があります。それを見せてもらったのですが、日本橋は一部分だけ花崗岩でできていて、グラインドというか、石そのものは損傷しないで石表面の汚れを吹き落とす高圧のものらしいです。一つ問題があってあまりにもきれになりすぎて、今の日本橋は100年近い歴史があって風化の良さ、味わいがなくなります。構造そのものが問題なら分かるけどそれをやると昨日できた橋の様になってしまうので、真っ白になってしまいます。
【都民委員】
 バフ(「バフ研磨」)でやればいいのではないのですか。
【都民委員】
 それをやるのはいい事がどうかというのは地元では論議した方がいいです。
【都民委員】
 それやる前に上を撤去してもらった方がいいです。それだけのお金があるならやってもらいたいです。
【都民委員】
 そんな事をしても意味があるのと意見もあったのだけど、その先はちょっと分からないです。
【都民委員】
 戦争中の手榴弾の後も残っているのです。そういうのは残して残しておくべきだと思います。私もまち歩きの案内をしていますが、その時皆さんに説明するのですがきれいにされては新しい話になってしまいます。
【都民委員】
 汚れの落とし具合を調節できる様な事は聞きました。あまりピカピカは宜しくないですね。
【都民委員】
 そんなの人手でやれば調節なんていくらでもできるのではないですか。
【都民委員】
 今新聞を見せて頂いたのですが、清掃メーカーみたいです。恐らくきれいにしてしまうでしょう。日本橋がメインだからこれをきれいにして日本中の至る所に仕事をしようという意図が窺えます。だから必ずしもそういう事をしていいのかと思います。
【都民委員】
 本来こういう事もこの会で議論した方が良いです。市民が関わる事が大きいですから。
5.閉会

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