第3回 議事録

開催日時:平成13年11月22日(木) 14:00~16:30
開催場所:大森西特別出張所

会議風景

議事次第

  1. 委員交代に伴う委員紹介
  2. 座長挨拶
  3. 行政からの報告説明および意見交換
  4. 川づくりの視点についての議論
  5. 今後の進め方
  6. その他
  • <配布資料>
    • 会議次第
    • 委員名簿
    • 平成13年台風15号の記録(カラー)
    • 内川水門外水位(A3折れ線グラフ)、水門ブロック別の図、雨量集計表
    • 内川流域の下水道計画
    • 川づくりの視点(7項目)
    • 内川の概要図

議事概要

1.委員交代に伴う委員紹介

  • 年行政委員交代に伴い、新委員の紹介が行われました。

2.座長挨拶

  • 前回(第2回)から引き続き、東京都建設局第二建設事務所工事第二課長が座長を担当しました。今回臨時委員として下水道局から出席する4名を紹介し、議論を進めていきました。

3.行政からの報告

(1) 台風15号(平成13年9月10~11日)の記録

台風時の降雨は内川流域で20mm/h、総雨量96mmとそれほど多くはなかったが、東京湾満潮時と台風通過時刻が重なったため、東京湾の記録史上3番目に高い潮位となった。一般被害はなく、公共施設では環状八号線羽田空港トンネルの一部が水没し車に被害があった。

過去の台風との比較
  昭和24年 キティ台風 昭和54年 台風20号 平成13年 台風15号
浸水被害(戸) 137,878 1,730 0
死傷者(人) 122 99 0
潮位 内川水門外 - - AP+2.97m
亀島川水門 - AP+3.55m AP+3.15m
上平井水門 - - AP+3.72m
明石町(中央区) AP+3.15m - -

内川水門の操作は、下表の通り。

日時 潮位 水門 排水機場ポンプ
平成13年9月11日10時08分 AP+2.35m 閉鎖 稼働
11日13時15分 AP+2.30m 開放 停止

内川水門、排水機場は東京都建設局江東治水事務所で管理しているが、管理人不在時は木下川排水機場で24時間体制の監視を行い、遠隔操作で水門の開閉を行う。

(2)内川流域下水道事業の現状

[1]現状

23区の下水処理区は10処理区に分割されており、合流式は全体の82%、分流式は18%である。

合流式のメリット・デメリット
メリット 1)1つの管で雨水と汚水が処理できるので、道路に埋設管の多い区部で設置し易い。
2)路面の汚れも雨水で運ばれ、処理場で処理できる。
デメリット 1)降雨が一定以上だと、希釈された汚水が河川や海の公共水域に流出する。
[2]合流式の改善対策

平成6年に区部の下水道は完成したが、千代田区、中央区では施設の老朽化に伴って作り替えが始まり、合流式の改善策が行われている。

改善策の目標
目標 1年間で放流される総汚濁負荷量を、分流式の負荷量と同じ程度にする。
対策 1)遮集管の送水量を2倍希釈から3倍希釈にする。
2)雨水貯留池(降雨初期に汚濁水をポンプ場等に貯める)を設置し、降雨後に処理場に送る。
[3]改善クイックプラン策定

東京湾台場海浜に下水道内に、溜まった油分が雨によって攪拌され東京湾に流出したことが原因とみられるオイルボールが発生し、早急に改善すべく、平成12~16年の5ヶ年で対応することとした。

改善クイックプラン
対策 1)オイルボール流出防止のため、雨水の吐口に網目幅を細かくしたスクリーンを設置する。
2)ゴミの流出を防止するため、吐口等にろ過式スクリーンを設置する。または、渦を起こしてゴミと下水を分離する。
[4]下水道汚濁対策

内川流域内の下水が送られる森ヶ崎処理場では、スクリーンの目幅の縮小、オイルフェンスの設置等、ごみ浮遊物が出ない対策を行っている。

[5]雨水整備クイックプラン策定

馬込東二号、馬込西二号、馬込幹線(下図緑線)は、平成11年集中豪雨による馬込流域の床上・床下浸水の経験を踏まえ、内川流域の浸水対策を図るために計画され、重要施策として取り組んでいる。

内川流域の下水道計画 平面図と断面図のイラスト
[6]馬込幹線下流部の事業

厳しい財政難のため、馬込幹線下流部約3,000m(東海道本線付近から下流部)の着工は未定である。馬込幹線上流部は、平成15年度末竣工を目処に施工している。これは既設管満水時に受ける管で、下流部完成時までは管内貯留による浸水対策を行う。全幹線完成時には馬込幹線の流水は三角島で放流されるが、三角島に一時沈殿施設・ろ過式スクリーンを設置予定であるため、放流される水質はかなり改善される。

[7]三角島に初期雨水貯留施設による合流式改善対策

降雨初期の汚濁濃度の高い流水を約20,000m3貯留できる施設建設を計画している。これを含め、合流式改善対策として、区部では流域平均8mm/h対応の施設を将来順次設置していく予定である。

(都民委員)
新大森幹線の機能について聞きたい。
(臨時委員)
新大森幹線は大森東ポンプ所に行く幹線で、既に完成している。馬込西幹線の33tが内川に18t、新大森幹線に15t取り込まれる。この15tをポンプ所に流す。50mm/h降雨でも内川への流入は18t止まりで排水機場の能力が20tあるため、50mm/hまでの降雨には十分対応できる。
(都民委員)
下水道との関連で、内川の水位はどの程度高くなるのか。
(座長)
満潮時に50mm/hの降雨があった場合、満潮位よりも高い水位で流速1.0~1.5m/sで河口に流出する。計算では、護岸高-60cmの水位となっており、危険な状況にはならないと考えている。
(都民委員)
水位が一定の変化を持っていれば、水中昆虫やハゼの名所になり、子供の生物観察の教育の場となる。
(都民委員)
内川排水機場前の埋め立ては、将来的に排水機場の機能を損なわないか。
(行政委員)
内川の河口部に流れるよう、内川水門よりも海側に付け替え工事を行う予定である。
(都民委員)
流域内の地形断面図を知りたい。
(臨時委員)
次回までに事務局に提出する。
(都民委員)
内川に流出する18tのうち、雨水と汚水の比率はどのくらいか。
(臨時委員)
満杯時を100とすると、汚水は1~2%である。ただし、特に晴天が続いた後、降雨初期の部分にそれまで下水道管に堆積していたものが出てくる。合流式の欠点であるが、分流式の場合と比較しても内川に流出される水質はそれほど悪いものではないと考えている。
(都民委員)
流出時の最悪の場合の汚水処理対策はされているのか。
(座長)
初期汚濁対策は取られていないが、今後検討していただき、連絡会でも議論していきたい。
(都民委員)
内川から海への流出時、海の汚染の指標となる大腸菌はどれくらいになるのか。また、内川にある曝気設備の目的と効果はどうなのか。
(臨時委員)
合流式の欠点であり、現状では大腸菌はポンプ場から処理しきれず放流される。今後は合流式に消毒設備設置を検討しており、既に設置している箇所もある。
(行政委員)
曝気設備は水中の溶存酸素量を増やし微生物を活性化させるためで、大腸菌の減少には効果はない。
(都民委員)
分流式と合流式の初期汚濁は、別に捉えていくのか。合流式は汚水が混じるため分離や浄化が必要となる。分流式の場合、雨水に路面の汚れが入るだけなので、放流前に沈殿等を行えば汚濁はほとんど出ず、大した費用もかからないのではないか。
(臨時委員)
合流式の欠点もあるが、分流式並みの年間総汚濁負荷量を目標とし、対策を行っている。初期汚濁は、合流式では高い率で処理場で処理されている。分流式はそのまま公共水域に放流されるが、沈殿槽設置などのシステムがある分流地区流域はない。合流式では雨水流出抑制型下水道浸透貯留形式(放流前に貯留し浸透させる)を取っている区部があるが、分流式もそのようなシステムを採用するのが望ましい。
(都民委員)
馬込東・西二号幹線は2本目なので、分流式にすることはできないのか。既設U字溝が残る流域は雨水分離が可能と思うが、詳細を説明して欲しい。
(臨時委員)
能力的には2本合わせて計画目標値となる。分流式にするためには、既設管に接続している宅内排水・汚水・雨水を分け、接続管等を含めて全部作り変えとなるため、期間と費用の関係で難しい。詳細については、持ち帰って内容を整理したい。
(事務局)
新橋~内川橋間左岸側の老朽化護岸について、河川部との調整の結果、今年度に調査、設計委託、地元との調整を行い、来年度(平成14年度)施工を行うとして予算要求をしている。

(3)川づくりの視点

川づくりの視点イメージ写真

前回要望や意見のあった内容を、事務局で7つの項目にまとめた。今回はある程度優先順位を付けて検討していき、さらに追加意見を頂きたい。

~川とのふれあい~

  • 内川と呑川に共通することで、神田川など他の河川と比較して金網が貧相に感じるが、必要なのか。
  • 転落防止やごみ投棄防止の背景があると思う。撤去の提案である。
  • プロムナードを含めて、整備はどうなっているのか。
  • 都が内川河口で護岸整備を行っているが、現在は財政難のため休止している。区は護岸整備後に遊歩道の整備を行うため、都に整備を進めるよう要望を出している。
  • 飛び込み自殺未遂があったが、金網があって助けられなかった。
  • 金網柵の設置・撤去を含め、議論していきたい。例えば、浮き桟橋の通路のようなものを設置すれば、もっと水面に近づける。工夫すれば、色々できると思う。

~平常時の水環境~

  • 下水道合流式の改善は、分流式と比較した上で行って欲しい。

~流域の資産~

  • 雨水は流域の資源として、もっと利用することを考えていきたい。

~地震・火災時の対応~

  • 地震や火災が発生した時に、道路の幅員が非常に狭く大型消防車が進入できない。橋梁の老朽化や耐震性はどうか。避難通路確保として、現況の橋梁活用を含めて検討して欲しい。
  • 橋梁については耐震性の調査、補強を行っている。
  • 今回新たに提案されたことを事務局で整理し、7つの視点を充実させて次回提案したい。今回は下水道局から出席いただいたが、川づくりの視点を議論する中で内川の歴史を共通認識として持つ必要があると思う。次回冒頭に「内川をよみがえらせる会」から講義頂きたいと思う。

4.今後の進め方

事務局より、次回第4回開催予定は5月頃との提案がありました。ただし、第二建設事務所の組織改正があること、休暇を取って出席している委員もいるため夜間開催も検討するなどから、開催日時を調整したいとの説明がありました。

5.その他

事務局からの提案で、議事録と要約版を作成することとしました。必要であれば、要約版は地元に配布したり、東京都のお知らせや区報に掲載したい旨の説明がありました。

6.閉会

降雨時に役立つ情報

事業別に見る