第7回 議事録

開催日時:平成18年3月7日(火) 13:30~15:30
開催場所:大森西特別出張所

I.討議状況写真

討議風景の写真

II.議事次第

  1. 委員交代に伴う委員紹介
  2. 第6回流域連絡会議事録について
  3. 座長選出
  4. 行政からの報告
    1. (1)内川河川整備基本方針、河川整備計画について
    2. (2)内川護岸耐震補強工事(新橋上流)の検討結果について
  5. 意見交換
  6. その他
  • <配布資料>
    • 第7回 内川流域連絡会 会次第
    • 座席表
    • 内川流域連絡会設置要綱
    • 内川流域連絡会委員名簿(平成18年3月現在)
    • 内川河川整備基本方針(平成18年1月)
    • 内川河川整備計画(平成18年1月)
    • 内川護岸耐震補強工事(概要)

III.議事概要

1.委員交代に伴う委員紹介

委員交代に伴い、新委員の紹介が行われました。

2.第6回議事録について

 第6回議事録について、大田北地域行政センターまちなみ整備課課長より以下の説明がありました。

  • 第6回、平成17年3月23日に行われた内川流域連絡会の議事録の31ページの大田区北地域行政センターまちなみ整備課長(前任)の発言ですが、「それからいまご提案いただきましたカヌーの問題、あるいは総合的に言うなら不法係留船の問題ですが、これは大田区として許可を出しています。その意味において大田区にも責任が多いにあるという状況です」という表現になっております。
  •  
  • 不法係留船に対して許可を出していると読み取れるというご指摘がございましたが「私どもは内川の係留船に関しての許可を出しているセクションであり、不法係留船に対して許可を出すことは決してありません」ので、この点について改めて明らかにさせておきたいと思います。
  •  
  • 要約された議事録の最終ページですが、「カヌー、船の係留については大田区が許可を出しており、責任を感じている」という表現がございます。こちらについても趣旨的にはまったく同じ内容でございます。

3.座長選出

 事務局より、第7回内川流域連絡会の座長選出にあたり推薦があり、満場一致で都民委員の宮本周造委員(大森西地区連合会副会長)が選出されました。

4.行政からの報告

(1)内川河川整備基本方針及び河川整備計画について

  • 今年の1月6日に国から同意を受け、内川の河川整備基本方針と河川整備計画を策定しました。
  • 策定については2月2日の東京都広報を通じて皆様にご案内しています。
  • 河川整備計画を策定するにあたり、区の広報、大田区報、品川区報に掲載し、地域の方々および専門家の方々からご意見をいただき、東京都環境局、水道局などと協議した上で、最後に大田区長、品川区長の意見を伺い策定しました。
  • 今後、河川整備計画に基づきまして、今年度から始まる耐震対策事業などの具体的な事業を行っていきたいと考えています。
  • 河川整備基本方針は、今後、河川整備を実施していく上での基本となる事項を示しています。具体的には、河川に受け持たせる洪水流量(計画高水流量)、高潮に対する安全確保(高潮対策)といった包括的な内容になっています。
  • 河川整備計画はこの方針を受けて、今後20年から30年の間にどのような整備を行っていくかという具体的な内容を示しています。

(2)内川護岸耐震補強工事(新橋上流)の検討結果について

  • 内川の護岸整備は平成10年から平成12年までの間、下流の内川水門付近で環境護岸整備を行ってきましたが東京都の財政事情が厳しくなり、中断を余儀なくされています。
  • その後、東京都では護岸の耐震調査を行なった結果、内川については第一京浜より下流側について、護岸の耐震化を図っていくことになり調整を続けてきました。
  • 今回工事区間となりました新橋、内川橋間は非常に老朽化も激しく、ここから最初に工事を進めていくことになったものです。

<工事対象区間>

  • 内川は下流の内川水門から上流の東海道本線まで1.55kmの河川で、国道15号線の大森橋から下流がちょうど550mほどであり、その上流が1km程度です。
  • 今回は護岸の老朽化がとくに著しい大森橋から下流の区間から耐震事業を行います。
耐震事業区間

<現在の護岸状況>

  • この区間については護岸が傾いたりした関係もあり、一部で平成14年度に護岸の緊急の防災工事をしており、今回は、前回応急的に直した部分を含め、耐震工事を行います。
  • 現在の護岸の状況で、内川橋の少し下流の左岸は、護岸のはらみと、護岸の亀裂、それから護岸の継ぎ目でずれてくるという状況です。
  • 平成14年度に仮の工事として鋼材でつなぎ、応急的に前に石を置くという工事を行っています。
現在の護岸状況の写真1現在の護岸状況の写真2

<護岸標準断面>

  • 今の護岸の背後は通路が狭く、家屋が隣接している等の制約条件があり、新しい護岸はつくれません。
  • 今の護岸を壊して新たにつくるのも難しいため、既存の護岸の前に新たに耐震性を有する護岸をつくるとことを1年前に案1と案2で説明させていただきました。
  • 案1では鋼管の矢板で壁をつくり、コの字型の掘込河道の様な形になります。
  • 下流側の環境整備では、川に近づきやすくするために護岸に傾斜をつける配慮をしており、それに近い案2は鋼管矢板の上に鉄筋コンクリートの壁を載せる斜め護岸の形式です。
  • どちらが良いという皆様の直接のご意見はいただきませんでしたが、下流で生態系も配慮した斜め護岸にしているので、今回は案2を基本として断面を決めました。
  • 既存の護岸の前に8.5mの鋼管矢板の壁をつくり、その上にコンクリートを打ち、その裏に裏込石を入れ、背後の通路と一体的に通路整備をする構造を考えています。
  • 計画河床まで前のコンクリートを打つことで、背後の土砂が新しい護岸の前に流れ出ることがないような断面となっています。
標準断面図1標準断面図2

<工事作業手順>

  • 平成14年に緊急的に護岸の防災工事をしたときに、石を積んでいる左岸側から施工する予定です。
  • 最初に矢板を打って閉め切り、ドライな状態にして掘削します。その下の部分の床づけをして、鋼管矢板を打ちます。その上に鉄筋コンクリートの壁を載せて、背後に裏込を入れ、矢板を抜きます。最後に既存の防潮堤を切ります。
  • 今回の工事では最終的には背後の通路を一体的に整備しますが、修景整備の部分は大田区にお願いすることになっており、砂利で舗装し、転落防止柵をつけて片岸が終わります。
作業手順1作業手順2
作業手順3
  • 右岸も同様に矢板を打ちます。将来の断面を確保するために川の中を掘削、浚渫します。
  • 左岸と同様に鋼管を打って、コンクリートを打設して、裏込の石を入れ、矢板を抜き、既設の護岸を切り、砂利を舗装して転落防止柵をつけます。
作業手順4作業手順5
  • 今回の区間の工事を平成19年3月までの期間で完成させる手順で考えております。施工にあたっては、家屋が隣接しているので、できるだけその周辺に震動等の被害を与えないように、自走式の杭打機を採用します。それから材料になる矢板もその上から供給して、一番先頭に圧入により矢板を打ち、この機械が前に進んでいくことで施工します。
  • 先日、3月1日に地元でも工事の説明会をさせていただき、これから工事に入ります。左岸側を8月位まで、右岸側を9月から来年3月という施工工程を予定しております
自走式杭打機械(締切鋼矢板)自走式杭打機械(鋼管)

5.意見交換

行政からの報告を受けて、意見交換が行われました。

(1) 内川河川整備基本方針及び河川整備計画について

(都民委員)
・昔、東京都下水局に伺って勉強した時点では、1時間に50mmの降雨があった場合は内川の東海道線のところで水門が開いて放流すると聞いたが、最近聞いた話では、1時間30mmなどのもっと低い雨量で内川に放流するとのことだった。毎秒18m3の流量を確保しているということ、内川への放流量との整合を説明していただきたい。

(行政委員)
・毎秒18m3流れるというのは、1時間に50mmの雨が降ったときに河川で受け持つ量が毎秒18m3というので、水門が開いて放流を開始する流量とは異なる。水門が開き放流する流量については、時間雨量50mm以下であることは間違いありませんが、それが何mmというのは下水道整備状況にもよって違いますので、現段階では正確なことは言えない。
・一般的には、雨量が下水量の3倍に達すると川に放流されることになっていて、現在の東京都全体の下水道計画でも、そのような考え方となっている。

(座長)
・行政側は下水道局ともよく打ち合わせをして、次回までに回答をいただきたい。

(都民委員)
・現在、新大森幹線に洪水時にどの程度の流量が入るのか。また、建設中の馬込幹線が完成すると内川にはまったく雨水が入り込まないと聞いているが、どうなのか。

(事務局)
・内川と新大森幹線の分岐点に集まる流量は、毎秒33m3という計画である。そのうち内川には18m3/s流れ、残り15m3/sが新大森幹線に流れる計画になっている。
・下水道局からは、いまの計画では馬込幹線が完成すれば内川への放流量がなくなるという話を聞いている

(2) 内川護岸耐震補強工事(新橋上流)の検討結果について

(都民委員)
・川幅が狭くなった場合の水位変化は考えているのか。

(事務局)
・川底を浚渫することで、上流からの毎秒18m3の洪水を流しても、計画の余裕高を含めて川から溢れないことを計算で確認している。

(都民委員)
・護岸の形状について、人が落ちたときにつかまれる場所、または自分で上ることができるような手掛かりになる場所はあるのか。

(事務局)
・転落防止柵をつけるとともに、左右岸1か所ずつ、180m区間で2か所、護岸を上ってこられるような梯子をつける予定である。

(都民委員)
・いまの河床から平均的にどのぐらいの深さまで掘削するのか。

(事務局)
・平均的に1.5mぐらいの深さを掘ることになる。

(都民委員)
・私の家の横のところから側道までは、護岸が老朽化しており、潮の干満で地盤沈下を起こし、隣の家の側道が相当沈下している。矢板の深さは、新しい河床から7mぐらいになるのか。

(事務局)
・計画の川底よりも7m少し打ち込む。鋼管が連続した壁になるので、かなり深い壁が左右岸にできることになり、裏から土砂が漏れるといった心配は一切ない。

(都民委員)
・川底を浚渫する際には、ヘドロなども除去して掘るのかどうかを確認したい。沿川に住んでいる住民からのお願いとして、ぜひヘドロの除去をお願いしたい。

(事務局)
・川底を掘るというのは、川の断面を確保するために計画の河床まで掘るという意味である。その際、同時に川底をさらうので、河床のヘドロを取って川がきれいになる効果もある。
・大森橋から下流の耐震工事区間は計画河床まで掘削するが、上流側の部分については引き続き検討したい。

(都民委員)
・護岸の形状に関して、施工済みの左岸側100m程の区間は、当時の東京都第二建設事務所の担当者と話をして、カニの生息やカワセミの営巣に配慮して護岸に何本か穴を空けていただいた。
・今回の護岸に関しても、コウモリのねぐらにもなっているので、その点を理解して生物が存続できるような仕掛けをつくっていただきたい。
・寄洲を河口のほうにつくるということだが、現在も確認されるチゴガニあるいはアシハラガニといった砂浜系のカニが生息できるような形状にしていただければと考えている。

(事務局)
・護岸の表面には下流区間と同様に、花崗岩や溶岩を貼り付けたような護岸の形状に仕上げるよう配慮している。
・現在もカニが生息しているので、このコンクリートの護岸の背後に石を入れ、石の部分に生物が出入りできるように、水抜きパイプで穴を空け、小さい生物であれば水面と背後で行き来できるように配慮した。

(都民委員)
・山谷自治会の右岸の住民は、左岸よりも土地が平均的に低いため、今の堤防(旧防潮堤)を50cmも切ると、予想外の豪雨で溢れた場合、当然浸水するという不安感を持っている。
・温暖化などの異常気象による豪雨では大丈夫ということはありえない。極端だが、浸水した場合には保障してくれるのか。住民の不安感を少しでも解消してもらうかたちで計画して欲しい。
・遊歩道の手すりをつける護岸をある程度立ち上げるなど、何とかフォローをしていただきたい。

(事務局)
・旧防潮堤の頭を50cm程度切り、現在の防潮堤背後の通路と今回前出ししてつくる護岸とを一体的に舗装することで、できるだけ川沿いの通路を使いやすく、歩きやすくしたいということで、堤防の高さを切り落としている。
・河川整備計画の考え方としては、いま想定している50mmの雨に対しては安全な施設をつくるということはご理解いただきたい。
・今後、過去の洪水のときに水位がどの高さまで上がったのかを含め検討を進めていきたいと考えている。

(座長)
・右岸側の住民の方々にとって水位が上がった場合の不安が大きいという懸念からの発言であるので、その点は行政側でも配慮し、慎重に検討していただきたい。

(都民委員)
・護岸が完成したら側道に砂利を敷くということだが、そのあとレンガを敷き詰め遊歩道にする話を聞いているが、どの様な形状、材質にするのか。
・遊歩道が整備されると自転車で通る人が増えると思うが、歩行者や釣り人との接触などの懸念もあるので、自転車が通りにくい柵を途中につくり、降りて押していかないと通れない、スピードを出して通れないような構造をお願いしたい。

(行政委員)
・今回、護岸の基本的な整備計画が、東京都から発表されているが、その後の具体的な整備内容については、東京都と大田区の間では詰まっていない。
・最終的な工事については、大田区で実施するわけだが、修景工事として行うかということも含めて、具体的な設計時期、工事時期、予算を東京都からいただくことができるのかどうかなど、完全に詰まっておらず、構造、材質等については白紙状態である。

6.その他

 その他として、東京都建設局河川部防災課(維持担当係)から内川上流護岸整備工事について報告がありました。

内川上流護岸整備工事について

  • 内川護岸整備については、平成10年から12年にかけて下流側から工事をさせていただき、平成17年からは耐震事業として工事がスタートしました。
  • 上流側についても地元の皆さんから早く施工をしてほしいといった要望が強い中で、都の財政難からなかなか工事に入れないという状況でした。
  • 現在、平成18年度予算を審議中ということもございますので、詳しい内容のご説明はできませんが、皆さんのご要望を受けまして、上流側についても大田区と協力しながら、工事を進めていく方向で検討しているところであります。
  • 予算的なものについては東京都から確保させていただき、施工実施については大田区にお願いするというかたちで進めていきたいと考えています。
  • 過去に非常に要望の多かった開桜小学校の前からスタートさせていきたいと考えています。その後の場所については、地元の皆さんのご要望を受けて、順次進めていきたいと考えています。

行政からの報告を受けて、意見交換が行われました。

(都民委員)
・内川に架かっている橋は昭和初期につくられたもので、かなり老朽化し災害時に非常に危険と思っている。いつ橋を架け直してくれるのかお伺いしたい。

(行政委員)
・上流部についても川幅が若干狭くなることもあるので、今後、工事を進めていく中でそれに合わせて架け替えも進める方針で、いま案を練っている最中である。
・時期については、非常に高額で財政的にも厳しいため、予算の中で考えていかなければならない。老朽化していることは十分認識しており、今後の課題であると認識している。

(都民委員)
・遅きに失した感じはあるが、内川と新橋の区間は本当に崩壊している護岸であり、我々の生命と財産に対する危険もはらんでいる部分があったので、3月から始まる工事を諸手を挙げて賛成、協力したい。住民の若干の洪水に対する心配なども踏まえ、ぜひ立派な工事をしていただきたいと思う。待ちに待った護岸工事なので、ぜひよろしくお願いしたい。

(行政委員)
・総括的に区の方向性をもう一度お話ししておきたい。下流域は基本的に東京都でやっていただき、その後、遊歩道になるのかなど、区のほうの持ち分であるところは計画的にやるということで考えている。
・上流域は現在、具体的に東京都で検討している段階であるが、東京都と大田区の間で相談しながら、何年かかけて少しずつやっていくかたちになると思う。これが終われば、遊歩道になるのかなど、区のほうの持ち分であるところは基本的に大田区側でやることになる。
・大森橋より上流域の橋については、来年度の調査を受けつつ、上流域の護岸整備と併せ、どの橋が一番大事か検討しながらやっていくことになると思う。富士見橋に関してだけは、東京都のほうで鬼足袋通りの整備計画が入っているので、東京都第二建設事務所でやっていただく。それ以外の橋は、区で計画をつくりながらやっていく予定である。

(行政委員)
・東京都第二建設事務所からも一言申し上げたい。たしかに長い時間かかってしまったが、やっと工事ができることになり、一生懸命やらせていただきたいと思う。また委員からのご指摘についても検討させていただきたいと思う。

(都民委員)
・川の中の不法係留の船の話についてだが、第二建設事務所は、いつもでも不法係留か否か言っているのではなく、一定のところに置いて、それなりの処置をして、きちんと対処してもらいたい。この計画と同時に、並行にやっていただきたいと思う。

(都民委員)
・川の水自体は非常にきれいになっており、鳥もきているので、皆さん川を注視している。不法係留船の問題は全国的なものであり、行政側は毅然たる態度で処置をしなければ、不法係留船に対する悪例となる可能性もある。

(都民委員)
・不法係留船の問題だが、青べかカヌークラブは、大田区の水辺と親しむということで、区と協働、パートナーシップを積み重ねてきて、20年近く活動されている団体である。行政は、これからも連携して文化活動をしていかなければならず、価値のある団体の係留場所を確保することも重要な使命ではないかと考えている。

5.閉会

 事務局より「前回、第6回流域連絡会までの議事録を、東京都公式ホームページに掲載している。東京都公式ホームページ建設局の「都民とすすめる川づくり」の中の内川流域連絡会をぜひご覧になっていただきたい」との旨を伝え、閉会となりました。

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