第二回議事録

開催日時  平成13年9月7日(金)13:00~17:30
開催場所  隅田川 東京都公園協会の水上バス(さくら)

連絡会船内風景

議事

■当日は、午後1時に両国の水辺ライン発着場を出航し、隅田川河口付近まで航行の後に折り返し、越中島の船着場で停泊しました。各委員は、担当職員の説明を聞きながら、越中島のスーパー堤防の完成箇所を歩いて見学しました。

越中島にて

 その後再び乗船し、上流に向かって航行し、岩淵水門付近で折り返して、両国の船着場に戻りました。船内では、スーパー堤防やテラスの整備箇所について図面などを用いた説明があったほか、9月に上陸した台風15号による河川の水位上昇についての説明などがありました。
 岩淵水門から両国まで帰路では、都民委員と行政委員との意見交換などの活発な自由討議が行われました。

■自由討議の冒頭、今後の連絡会の運営などについて、事務局より説明や提案がありました。
 第一には、第1回の連絡会で都民委員から意見のあった連絡会の開催回数について、事務局より「事務量等を考慮した結果、設置要綱には年3回と記載する。ただし、委員のご意見を聞きながら出来る限り多く開催していきたい」との説明があり、了承されました。
 第二には、連絡会の議事要約版として作成した本紙の名称を各委員より募集し、四件の提案がありました。これらについて、当日各委員にアンケート調査を行い、その結果「新世紀・すみだ川」と決定しました。
 第三には、今後の連絡会の運営について、各委員からの企画を募集することを提案しました。これまでの隅田川に関する活動成果の発表、流域連絡会で詳しく議論したいテーマ、他の委員に紹介したいポイントの現地調査などを、都民委員に自由に提案していただき、行政委員も含めて各委員が隅田川についてより深く知ることを目指しています。提案の内容については、事務局で検討した後、第4回以降の連絡会に反映させていきたいと考えております。

■都民委員に隅田川の水質により関心を持っていただくため、土木技術研究所の黒羽委員を中心に簡易的な水質調査を行いました。
まず、直径30cmの白い円盤を水面下に沈め、円盤が見えなくなった深さを測定することで、透明度を調査しました。これは、見た目のきれいさの程度を調査する方法で、越中島、あらかわ遊園、岩淵水門の三箇所で行い、それぞれ2.1m、0.7m、0.7mとなり、越中島付近が最も透明度が高いという結果となりました。

水質調査状況(越中島)

 また、この3箇所で川の水を採取し、土木技術研究所の簡易水質計測器を用いて、水質の分析を行い、その結果を船内で発表しました。これは、短時間で分析が可能な項目について、簡易的に水質を分析する機器で、調査後すぐに水質の目安となるデータを得ることができるという利点があります。
分析結果は、水温、塩分、潮の干満、流れの状態などによって変化するため、隅田川の水質について議論するためには、さらに詳しい分析が必要ですが、都民委員はこの調査を通じて水質の問題をより身近に感じた様子でした。

■本年の9月に首都圏を直撃した台風15号による水位の上昇について、河川部計画課の西野主任より説明がありました。台風15号は、上陸時の中心気圧は970hPa、最大風速は30m/s、中心から半径60kmの暴風域を伴っており、戦後に首都圏に来襲した台風としては非常に大型の台風でした。9月11日の午前九時半に神奈川県鎌倉市付近に上陸し、昼前には東京の中心部を通過しました。この台風は、東京湾の潮位に最も影響を与えやすい南西方向から進行してきたうえ、台風の接近時が満潮時と重なったため、河川の水位が大幅に上昇しました。隅田川の亀島川水門付近では昭和24年のキティ台風に匹敵するA.P.+3.15m、中川の上平井水門付近では戦後最高となるA.P.+3.72mを記録しました

吾妻橋下流 台風15号高潮状況

 これまでの大規模な台風では、東京の東部低地帯は多くの死傷者や家屋への浸水などの大きな被害を受けてきました。その後、高潮防潮堤や水門・排水機場などの整備が進んできたことにより、今回の台風では被害はありませんでしたが、改めて東部低地帯が水害を受けやすい地形にあることを思い知らされました。

質疑応答

(都民委員)高潮が橋桁近くの高さまできているが、水が引くのにはどのくらいの時間がかかるのか。また木材などが流されてきて橋桁が破損することはないのか。

(行政委員)高潮による水位の上昇は、台風による気圧の低下によって起こります。したがって、台風が通過すれば水位は低下するので、時間にして30分から1時間程度で水は引きます。
また、高潮は洪水と違って流れはないため、浮遊物が流れてくることはありません。隅田川は河口に近いため、洪水で水位が上ることは少なく、橋桁に物が衝突するということはないと思います。隅田川の堤防の高さは高潮の水位によって決められており、洪水に対しては比較的安全であると言えます。

(都民委員)コンクリート堤防の前面のテラス整備はどのように整備しているのか。

白鬚橋上流右岸

(行政委員)テラス整備の目的は、コンクリート堤防の前面を固めて耐震性を高めるという側面と、水辺に親しめる空間を創出するという側面があります。白鬚橋下流については、テラスの高さをA.P.+2.5mとして整備していますが、上流についてはテラスの高さを少し低くし、中に水が入るような構造とするなど、生物等に配慮した設計を取り入れるように工夫して整備を進めることとしております。

この他に、次のような意見がありました。

  •  都民が隅田川に関心を持つように、「隅田川の日」を設けてはどうか。また、両岸に樹木をもっと植えた方がよい。
  •  堤防の意義を周知するために、堤防に台風時の水位を目立つように記録してはどうか。
  •  テラスに降りるスロープがもっと必要である。
  •  隅田川は、国際都市東京の顔であり、東京都は、国や区と協力して、積極的に整備を進めてほしい。
  •  一般的に、都民は川や治水に対して無関心で、知識がない。行政は、もっと周知徹底を図ることが必要である。
  •  水に親しめる空間を大切にし、川をきれいにしていくことに私たちも努力したい。

次回は、「隅田川の水質」をテーマに、平成14年2月頃に開催する予定です。

降雨時に役立つ情報

事業別に見る