第四回議事録

開催日時 平成14年6月14日(金)14:00~16:30
開催場所 北区北とぴあ

第4回会議風景

議事

 今回の流域連絡会は「今年度の隅田川の整備工事について」をテーマに開催しました。都民委員14名、行政委員16名が出席し、平成14年度の隅田川の整備工事、及び沿川自治体における隅田川の水質浄化対策の取組について報告が行われた後、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。

■会議冒頭に、座長から挨拶があった後、事務局より平成14年4月の人事異動に伴い、新委員となった8名の紹介がありました。
 新委員は、(1)増田委員(土木技術研究所技術部主任研究員)、(2)宮本委員(中央区役所土木部公園緑地課長)、(3)仲俣委員(台東区都市づくり部道路交通課長)、(4)村井委員(墨田区都市計画部都市整備担当都市施設課長)、(5)清水委員(北区建設部河川公園課長)、(6)大塚委員(荒川区土木部参事(管理計画課長))、(7)岡野委員(足立区土木部計画調整課長)、(8)星野委員((財)東京都公園協会水辺事業課長)です。

■平成14年度、隅田川においては上流の岩淵水門に近い新神谷橋の付近から下流の河口に近い相生橋付近までの広い範囲で20件の整備工事が予定されています。
 工事内訳としては、テラス工事が10箇所、築堤工事が3箇所、被覆工事が4箇所、修景工事が3箇所となっています。
 20件の工事は3部署で施工することになっています。下流部の4件は江東治水事務所の内部河川工事課、中流部の十件は同じく高潮工事課、上流部6件は第六建設事務所工事課が担当しています。

■荒井事務局長から全般的な事業の概要について、また担当事務所から個々の工事の内容について報告がありました。
 隅田川の堤防整備事業の歴史的経緯としては、東京高潮対策事業として伊勢湾台風を契機に昭和34年から50年にかけていわゆる「カミソリ堤防」が整備され高潮に対する備えは済んでいます。しかし、この高い防潮堤は、高潮対策上は非常に有用でも人と水辺を隔ててしまいました。
 その後昭和55年から白鬚地区を皮切りに、より耐震性の安全性を高め、人を水辺に近づける「緩傾斜型堤防事業」に着手しました。さらに、昭和60年から新川地区で「スーパー堤防整備事業」に着手しました。
 「緩傾斜型堤防」の施工方法としては、まず、現在の防潮堤の前面に鋼管や鋼矢板を打ち込み、地盤改良等で補強します。次に、防潮堤の裏側に盛土をし、コンクリートの被覆をして安全性を高めた上で、既設の防潮堤を撤去します。
 さらに、背後地の開発に合わせ、幅50mぐらいの範囲を盛土し、さらに安全性の高い、まちづくりと一体的整備をする「スーパー堤防」が実施されています。(図1)
 その他に、「テラス整備事業」が行われています。「テラス整備」は、「緩傾斜型堤防」や「スーパー堤防」の根固めになるだけでなく、「緩傾斜型堤防」や「スーパー堤防」が実施されない箇所においても既設防潮堤補強になり、耐震性能を高めています。また、舗装や植栽などの修景工事をすることにより、遊歩道として利用することが可能となります。
 隅田川のテラス整備については、平常時の利用と生き物への配慮という二つのコンセプトを重視した、平成8年度建設局河川部より出された「隅田川テラス整備指針(案)」に基づいて工事を進めています。
 白鬚橋より下流は、耐震性能を高める治水空間と水辺に近づける親水空間の二つの機能を重視していましたが、白鬚橋から上流は、前記指針によりさらに生物の生息空間に配慮したテラス整備を進めることになっています。(図2)

(図1)
(図2)

■江東治水事務所藤井内部河川工事課長から下流側の工事についての報告がありました。平成14年度は、テラス工事2箇所と水門の取付護岸補強工事2箇所を予定しています。
 内部河川工事課は、江東デルタの中の内部河川を主に整備するとともに、白鬚橋から下流の隅田川も担当しています。
 白鬚橋下流左岸テラス工事では、干潟部と称して通常のテラスより50㎝低くし水が入る構造で整備する予定です。
 また、相生橋下流の佃三丁目地区では、中央区の公園と協力してスーパー堤防を整備していきますが、一部干潟の構造とする予定です。

■荒井事務局長より中流部の工事について報告がありました。平成14年度は、10箇所の工事を予定しています。
 テラス工事としては、尾竹橋下流右岸で、荒川区の不燃ゴミの積み出し施設のある箇所を、阪神淡路級の大震災にも耐えうるように緊急耐震対策事業として実施しています。
 スーパー堤防の修景工事として、町屋六丁目地区で都営住宅の建設工事に合わせて整備を行っています。住宅に隣接しているため車いす用のスロープを設けています。また、テラスの一部に水を引き込みアシ等が生えるようにしています。

■第六建設事務所の田中課長より上流部の工事についての報告がありました。
 新神谷橋上下流の右岸側でテラス工事、さらに新田地区といって隅田川と荒川に挟まれた箇所で都市整備公団、国土交通省と東京都が協力しあいながら、スーパー堤防を整備している箇所のテラス工事を予定しています。
 豊島団地の周辺で緩傾斜型堤防の被覆工事や修景工事を予定しています。完成すれば1㎞の長い良好な環境となるのではないかと考えています。

■事務局より、隅田川流域連絡会のホームページを、東京都のオフィシャルサイトに開設したこと。以前の流域連絡会で護岸にこれまでの高潮の水位を表示してみたらどうかとの意見があり、JR総武線上流左岸にこれを実施したことについて報告がありました。

■河川部計画課小川係長より、隅田川の明石町地区において、3月27日オープンカフェテラスを開き好評を得たことについて報告がありました。

■「隅田川水系浄化対策連絡協議会」事務局の北区生活環境課生活環境係長の野口氏より、4月に会の活動がテレビで取り上げられた際のビデオ上映と会の活動報告がありました。
 「白子川流域環境協議会」と合同で国土交通・環境大臣などの関係機関に浄化の要望活動を行うとともに年2回の水質調査、有識者を招いた講演会、合同視察等を行っています。
 昭和53年発足当時から比べて水質はかなり良くなってきています。

質疑応答

(都民委員)工事の計画段階で当流域連絡の議題にあがると色々ないい意見が出てくるのではないか。

(行政委員)整備指針等に基づき整備を行っていますが、試行的に1,2件の場所を選び住民の意見を取り入れた整備ができるようにと考えています。

(都民委員)北区の工事が多いようですが、今年度の工事は終わるのでしょうか。また、石神井川は、水に親しめるところができるのでしょうか。

(行政委員)本年度の工事は、年度内に完成する予定です。石神井川については首都高と近接していることもあり、親水的に整備することはなかなか難しいです。しかし、河川がカーブしていたところを直線的に整備する箇所では、三日月状に川幅が広くなるので、この箇所については、北区と相談しながら整備していく予定です。

この他に、次のような意見がありました。

  • 明石町のカフェテラスは、大変いいことなので、そのほかの河川でも増やしていったらいいと思う。また、大いにPRを行ったほうがよい。
  • 工事の施工担当部署や管理部署が不明確でわかりにくい。
  • テラスの管理があまりよくない。植木が枯れていたり、落書きがされていたり、ゴミが散乱していたりする。住民の協力を得るような仕組みづくりを考えたらよいのではないか。
  • テラスの利用者は多くなってきているが、日陰がなく、暑い日の利用ができない。

次回は、『他の都市河川における浄化対策の事例』他をテーマに、平成14年10月頃に開催する予定です。

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