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地域の取組紹介

NPO法人 江東区の水辺に親しむ会

江東区の水辺に親しむ会 理事長・須永俶子さん

水辺に触れ、川を知り、水の恵みを感じて東京に生きる

水辺の建築物に端を発した川への興味

川の大切さをたくさんの人に知ってほしい、水辺の素晴らしさを体感してほしい――。私たち「江東区の水辺に親しむ会」は、その思いから始まりました。

私が川に興味を持ったきっかけは、私の仕事場の近くを流れる小名木川沿いにあった銅の工場です。私は緑豊かな街づくりや造園設計などの仕事をしておりますので、普段から街の景観や建築物が気になるのですが、その工場は煉瓦造りのとても素敵な建物で目を引かれていました。けれどある日工場がマンションに立て替えられると聞き、その貴重な煉瓦の建造物を何らかの形で残したいと思ったのです。そしてそれとともに、なぜ工場が川沿いに建てられたのか、川がどう使われていたのかを知りたくなりました。

調べてみると、昔は川が道路のような役割を果たしていたんですね。商品を船で運んで、川から直接荷揚げしていたんです。だからそこに限らず、川沿いの大きなマンションや団地がある場所には、かつて工場や倉庫が建っていたのです。今と違って川が日常でちゃんと活用されていたんですね。

私はそれまで川、そして水についてほとんど知らなかったので、その歴史と文化を知るたびに目を見開かされるばかりでした。

川の魅力を伝えたい

そうして川に触れるうちに、もっとたくさんの人にこの魅力を知ってほしいと考えるようになりました。そこで、水辺で遊びたい人や研究をしたい人など、私を含む四人が集って「水辺に親しむ」ための活動を始めたのです。

設立当時から続けているのが「水彩フェスティバル」です。小名木川、横十間川のクルーズや和船の乗船体験、水上での和太鼓演奏会、そして水辺のオープンカフェなど、さまざまな催しを行ってきました。

それから「水彩サロン」といいまして、水に造詣の深い方たちのお話を聞く場も作りました。水辺の地域に長年お住まいのお年を召した方が「昔、水はこうして使っていたんだよ」と若い学生さんに教えてくれたり、海洋大学の元教授が水辺を活かした防災のお話ししてくださったりする会です。 "サロン"としたのは、単なるトークショーではなく、話す側と聞く側が自由に交流できる場にしたかったからです。ただ話を聞くよりも意見を交換し合える方が楽しいですし、さらに興味が湧いてきますよね。

その他にも、船からお花見をする「さくらまつり」や、昔の東京の川の光景——人々がイカダに乗って荷物を運んだり、家の前に船を着けたり——が描かれた絵の展示などを行ってきました。

それらの活動を続ける中で、私たちはより多くの方に東京の川を広めるために、水の語り部を養成しようと考えました。川の自然や防災、将来像といった、観光案内に違う視点も加えてガイドできる人がいてくれたらいいな、と。それで募集で参加してくださった皆さんに勉強していただいたのですが、彼らは知識を得るたびにどんどん川に夢中になってくれました。例えば、自ら江東治水事務所に話を聞きに行き「この閘門はいつできたのか、なぜ必要なのか」ということを調べてきて、それを一般の方たちにお話ししてあげたり。そうして川のことがたくさんの人に伝えられていくのは、とても喜ばしいことだと感じています。

川文化の上に生きる

かつて江東区は「水彩島」と呼ばれてもいいほど水に囲まれていました。昔の地図を見ると、街の中にたくさんの川が走っていたのがわかります。門前仲町の富岡八幡宮だって、小さな川に囲まれていて、水から上がれるようになっていたんですから。昔は人々の交通手段として川が日常的に使われていたんですね。私はそういうこともぜひ皆さんに知ってほしい。

海外では川を上手に利用している街がたくさんありますよね。例えばオランダでは、船で美術館を巡ったり、レストラン船でナイトクルーズを楽しんだり、内部河川を走る船の上で恋人たちがデートしていたりします。素敵ですよね。私は、東京でももっとゆとりのある川や水辺の空間の使い方ができるのではなないかと思っています。昔のように日々の生活の中で川を利用してほしいのです。それが観光にも大きな効果をもたらすと考えています。それにはやはり、実際に水の上に出ることが大事です。体験しないとその良さがわからないですし、理解することはできませんから。

私たちの会に初めて参加される方も、船に乗る時は一言も発しないのですが、降りる頃にはみんな気持ちが高揚して、口々に「楽しかった!」とおっしゃいます。そして「今度は船でこれをやってみたい、あれを見てみたい」という声が次々に上がるんです。船に乗ると、皆さん必ず意識が変わるんですよ。そしてそれが川、水へと興味が繋がるんですね。

私たちはこれからもより多くの方が、川の魅力を知ることのできる土壌をつくっていきたいと考えています。そして自分自身も川の文化の上に立脚しているんだということに気づき、川、水辺をもっと身近に感じてほしいと思っているのです。

江東区の水辺に親しむ会

「水辺に親しみ、豊かな水辺を作ろう」をテーマに、水辺を身近に感じ、地域がさらに豊かで楽しいものとなるよう、河川や水辺そして緑に関する街づくり、環境、景観、防災、歴史の学習、研究、交流を通した事業などを行っている。行政、企業、大学、地域の住民と協力した活動は地域の魅力を向上させ、観光事業にもつながってきている。最近は上下流のつながりを生かした事業にも発展。

活動紹介

毎年9月「水彩フェスティバル」を区・大学・地域団体と共同で開催。(事務局も担当。)模擬店や水辺のオープンカフェ、カヌーや和船、動力船の乗船体験を実施。毎年3〜4月には、「お江戸深川さくらまつり」を区・大学・地元観光協会と共同開催。船を使った体験や橋の上のお花見カフェなどを、江戸深川を切り口に実施。冬場を除き東大島文化センターとリバーツアーを月1〜2回開催。リバーガイドによる地域資源の発掘と、来街者への説明も行っています。