河川の整備

 当事務所の法定管理河川は、一級河川8河川、二級河川1河川で、その延長は約47キロメートルです。水系別に分けると、多摩川水系、鶴見川水系、境川水系の3つに大別されます。
 これらの管理河川の未改修区間は、蛇行が著しく、河床勾配は急で、河道の洗掘が活発であるなどの特性を有しています。
 また、都市化に伴い地表面がコンクリートやアスファルトで覆われたことにより、土壌による保水・遊水機能が低下しており、河川への流出量が増加するだけでなく、雨水が短時間で河川へ到達するようになりました。
 加えて、近年では、短時間かつ局所的な降雨も増加しており、降雨時に河川の水位が急激に上昇する危険性が高まっています。
 当事務所では、これら管理河川からの氾濫・溢水を防ぐため、洪水を安全に流下させるための河道整備や、洪水を一時的に貯留する調節池等の整備を進めています。
 また、河床のしゅんせつ、老朽化した護岸の維持補修、河川敷及び遊歩道の草刈りや清掃など、河川の適切な維持管理を行っています。

 東京都における中小河川整備事業の紹介ページへ
 各河川の整備についての紹介ページへ

南多摩東部建設事務所管内 主要幹線道路と河川

主要事業

多摩川水系

三沢川

 三沢川は、神奈川県川崎市麻生区黒川にその源を発し、鶴川街道沿いに稲城市内を流れ、再び川崎市に入り多摩川に合流しています。 東京都管内は、5.67キロメートルありますが、5.49キロメートルが昭和49年に都市計画決定されています。 現在、稲城市坂浜地内の鶴川街道と交差する付近の完成を目指して取り組んでいます。

矢野口橋上流

三沢川分水路

 三沢川本川から多摩川への分水路を設置することで、三沢川の将来計画も1時間当たり100ミリの降雨規模に対応できることになりました。この分水路は昭和53年度から工事に着手し昭和59年度に全区間が完了しています。

三沢川分水路の取水口

大栗川・乞田川

 近年では、河川環境の持つ「いやし」や「うるおい」に対する住民の関心は大きなものがあります。河川は、気軽に利用できる「いこいの場」「レクリエーションの場」「自然との触れ合いの場」でもあります。 大栗川・乞田川では、河道内や管理用通路等の緑化を進めています。

  • 大栗川大栗橋付近
  • 乞田川落合橋付近

鶴見川水系

鶴見川

 鶴見川は町田市上小山田町を水源とし、多摩丘陵を流れ、川崎市、横浜市を大きく蛇行しながら東京湾に注ぐ、延長42.5キロメートルの一級河川です。このうち、東京都の管理延長は都県境から上流に12.78キロメートルとなっています。昭和50年代以降、総合治水対策特定河川として河川改修の促進を図ってきましたが、平成17年4月に流域が一体となって浸水被害対策を推進する特定都市河川流域に指定されました。
 東京都の管理区間には、良好な自然環境が残されており、それを活かした多自然川づくりも、鶴見川整備の特徴の一つです。

参道橋付近

恩田川

 恩田川は、町田市本町田に源を発し、町田市内を流れ横浜市緑区中山町で鶴見川に合流する全長12.4キロメートルの一級河川です。
 東京都の管理延長は都内の4.81キロメートルです。 鶴見川の支川であるため、全川が、鶴見川流域総合治水対策特定河川に指定されています。
 当事務所では、昭和63年から平成11年度末までに鶴川街道下流までの整備が完了しています。

高瀬橋付近

境川水系

境川

 境川は神奈川県との境を流れているため、昭和42年に神奈川県と管理協定を結び、鶴瀬橋(町田市鶴間)上流120メートルから根岸橋上流端(町田市根岸)までの10.49キロメートルを都が管理しています。
 都管理区間の上下流は神奈川県が管理しているため、神奈川県と調整を図りながら事業を進めています。

島橋付近

 平成20年8月末の豪雨では、河川からの溢水により都内約4.59haが浸水被害を受けました。また、平成28年8月の台風第9号では、幸いにも河川からの溢水はありませんでしたが、河川の水位が護岸天端まで上昇しました。


平成28年8月台風第9号により増水した境川

 【動画】平成28年8月台風第9号の際の境川の様子

 東京都では、これまで、1時間あたり50ミリの降雨により生じる洪水に対して安全を確保することを目標として中小河川の整備を進めてきました。しかし、近年はこれまでの目標整備水準を超える集中豪雨などが増加し、それに伴う水害が発生しています。
 このため、神田川や石神井川など区部の台地を流れる河川は1時間あたり75ミリ、境川や野川など多摩部を流れる河川は1時間あたり65ミリ(いずれも年超過確率1/20のレベルに相当)に目標整備水準を引き上げ、優先度を考慮しながら水害対策の強化を図っています。
 現在、境川の東京都管理区間では、1時間あたり65ミリの降雨に対応するため、河道や調節池の整備を進めています。

 境川における調節池についてはこちら:境川における調節池整備

河川の防災・維持

 管内の管理河川は、護岸の整備率が90パーセントを超えています。既設護岸の老朽化や河床の洗掘による災害の防止や、天然河岸の侵食による法面の崩壊の予防として、計画的な防災工事や緊急的な維持工事を行っています。
 また、快適な河川環境の保全を目的に、河川管理施設(護岸、転落防止柵等)の維持及び管理用通路や旧河川敷地等の草刈、除草、樹木剪定等を定期的に行っています。

  • 河床洗掘状況
  • 護床工施工済み

土砂災害対策(土砂災害防止法に基づく事業)

 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下、「土砂災害防止法」という)は、平成13年4月に施行された法律で、土砂災害のおそれがある土地の区域(土砂災害警戒区域)を指定して警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれがある土地(土砂災害特別警戒区域)においては、一定の開発行為の制限や建築物の構造規制を行うことで土砂災害から国民の生命および身体を保護することを目的とした法律です。
 砂防法や急傾斜地法などは、災害の原因地に着目しているのに対し、土砂災害防止法は、被害を受ける側に着目し、警戒避難体制の整備や住宅等の新規立地の抑制などといったソフト対策を推進しようとするものです。
 東京都では、土砂災害防止法第4条に基づく基礎調査を西多摩地区から実施しており、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域を指定しています。
 南多摩東部建設事務所では、管内の町田市、稲城市、多摩市を対象に、平成22年度から基礎調査に着手しました。平成25年3月に町田市野津田町、図師町の区域指定を行って以降、令和元年9月までに管内全域の指定を完了しました。区域指定後は、おおむね5年ごとに見直しのための調査を実施しています。

  都の土砂災害対策事業の紹介ページへ

 土砂災害警戒区域に関する相談や問い合わせは、以下のPDFファイルをご参照ください。
  土砂災害警戒区域等の対策工事の相談について[PDF 100kb]

 お住まいの場所が、土砂災害のおそれのある区域かどうか調べたい方は以下のマップをご活用ください。
  東京都土砂災害警戒区域等マップへ

水防活動

  • 境川洪水後状況
  • 排水ポンプ車訓練

 当事務所では、「東京都水防計画」に基づき、「地域水防活動の手引き」を策定し水防連絡会を開催し、水防管理団体(町田市、稲城市、多摩市)に水防活動内容を周知するとともに、台風や集中豪雨に際しては、水防活動を十分に行えるよう、情報提供や技術的援助を行っています。また、万が一に備え職員による排水ポンプ車操作訓練を毎年行っています。

 管内の4河川(鶴見川、恩田川、真光寺川、境川)は、平成18年度に「水位周知河川」及び「水防警報河川」に指定されました。町田市内に大雨・洪水注意報が発表されると、当事務所では、「連絡態勢」を取ることとなっています。

※水位周知河川
洪水のおそれがある河川の水位情報を都民に提供する河川をいいます。(水防法13条)
※水防警報河川
洪水のおそれがあるときに、水防活動に入るための河川水位情報を水防管理団体・水防団に対し提供する河川をいいます。(水防法16条)

 管内には、7箇所の雨量観測所と13箇所の水位観測所が設置されており、気象情報や雨量、河川水位などの観測情報をリアルタイムに自動収集し、水害防止活動を行う関係防災機関に提供しています。
 これらの情報の一部は、「東京都水防災総合情報システム 別ウインドウで開く」としてインターネットで一般に公開され都民の皆様にも情報提供されています。

お問い合わせ

事業に関すること
工事課工務担当 042-720-8641
設計に関すること
工事課河川設計総括担当 042-720-8644
土砂災害対策に関すること
工事課河川設計担当 042-720-8671
境川調節池整備に関すること
工事課境川調節池整備担当 042-720-8677
工事課境川調節池工事担当 042-720-8676
河川工事に関すること
工事課河川工事総括担当 042-720-8646
河川防災・維持に関すること
工事課維持担当 042-720-8648
測量に関すること
工事課測量担当 042-720-8649
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