池だより31 6月

2019年6月25日(火)

井の頭池を飛び交うトンボたち
 
夏が近づく井の頭池では、さまざまなトンボが見られています。井の頭かいぼり隊によるトンボのモニタリングの結果を速報でお知らせします。
2018年の調査(3回目のかいぼりが行われた後)では、かいぼり前の2017年を上回るトンボの種数・個体数が確認されました(既報、2018年10月の池だよりほか)。今年はさらに多く、昨年同時期の約3倍の個体数が確認されています。
 
図.月別トンボ確認数(左:2018年、右:2019年)

増加が顕著なのは、沈水植物などが多い環境を好むイトトンボの仲間。水面に広がるツツイトモにとまっているところをよく見かけます。
 
ツツイトモに産卵するクロイトトンボ

体に目盛のような斑紋のあるモノサシトンボは、昨年は少なめでしたが、今年は普通に見られています。
 
モノサシトンボ

コシアキトンボとコフキトンボも増加が目立ちます。コシアキトンボは黒い体に羽の付け根が白いトンボで、広い水面を低く飛び回ります。コフキトンボはシオカラトンボに似ていますが、短くずんぐりした印象です。水辺にあるヒメガマなどの植物の先端に止まっているのをよく見かけます。
 
コフキトンボ


昨年トンボが増加した要因としては、直前に行われたかいぼりによって以下のような効果があったためと考えられます。
1.肉食性の外来魚(ブルーギル、コイなど)が取り除かれ、ヤゴの生存率が上がった。
2.水草の生育が維持され、トンボの食物となる生物が増加したり、トンボの産卵環境が向上した。
3.浅場の拡充により、トンボの生息環境が増加した。
4.良好な水質が保たれ、トンボの生息環境が維持された。
 
こうして増加したトンボが定着して、今期のさらなる増加につながったと考えられます。
 
新たな種類のトンボも飛来しています。5月にムスジイトトンボが初確認されました。沈水植物が繁茂する池などに生息する種で、都内では生息地が少なく、東京都レッドリスト(北多摩)で情報不足(DD)に選定されています。生息数は少ないですが、水面のツツイトモにとまる様子を見ることができます。

 

初確認されたムスジイトトンボ

トンボからみると井の頭池の環境は、まだ十分ではないかもしれません。ヨシなどの抽水植物帯や岸辺の植生が充実すれば、さらに多くの種類や個体が飛び交うようになるかもしれません。

2019年6月12日(水)

井の頭池、泥水対策奮闘中

関東地方が梅雨入りしました。毎日の降水量が気になる今日この頃です。井の頭池の水源は湧水と井戸水なので、たくさん雨が降って地下水位が上がるのは喜ばしいことです。しかし、雨水と一緒に泥や落ち葉が池に流入すると、水が濁ったり、池底に大量に堆積したりしてしまいます。
井の頭かいぼり隊では、池に泥水が流入しないように、あの手この手で対策に取り組んでいます。
 
対策の主力が、2017年度から設置を進めてきた“しがら柵”や“土留め”です。
しがら柵は、木の枝を密に編み込んで作る柵で、落葉や泥をせき止めて、雨水だけを流す仕組みです。雨水の流れで表土が流亡しやすい斜面地に設置すると効果的。園内作業で発生した枝を活用しています。
 
完成したしがら柵
木杭に枝を編み込んで作ります

昨年度から整備を始めたのは雨水浸透用の“空堀”です。
泥水の流れを空堀へ誘導して、泥を沈殿させながら、水を地中に染みこませます。かいぼり隊のほかにも、公園との協働で泥水対策に取り組むグループもあります。
 
ここぞ!という場所に溝を掘ります

雨が降った日には、しがら柵や空堀が効果を発揮しているか、嬉々として見に行く人もいます。雨の日は、次に対策が必要な場所も確認できます。
 
よく堆積しているゾ

池水をきれいに保つしがら柵。散策中に見かけたら、枝を拾ってどうぞ積んでください。


 

お問い合わせ

建設局西部公園緑地事務所 工事課 0422-47-0192
ページトップへ戻る