平成4年水害概要
 

 平成4年の天候は、東日本は6年連続の暖冬であった。春は低温多雨、夏は少雨、秋の10月には平年より2倍の降雨量が記録された。
  平成4年の年降雨量は、気象庁東京管区気象台・東京観測所(千代田区大手町)によると、1,619.5mmで梅雨前線、秋雨前線等の影響で、平年(平年とは、昭和36年から平成2年までの30年間の平均値であり、平均値は、1,405.5mmである)の約1.15倍程度の雨量であった。
 都における水害被害(一般資産被害)は、4回(7月9日、7月15日、10月9日、12月8日)となっている。
  特に、7月15日の雷雨、12月8日の大雨の2回にわたって水害被害が大きかった。
 
〔7月15日  雷雨〕
 梅雨前線に向かって太平洋から暖かい湿った空気が吹き込んでいたうえ、大陸からは強い寒気が流れ込んで、大気の状態が不安定になっていたため、発達した雷雲が関東を中心に局地的な大雨をもたらした。
 降雨量が最も大きかった所は多摩地区であり、羽村と小曽木両観測所で観測された60分最大降雨量は70mmであり、発生時間がそれぞれ15日19時30分〜15日20時30分、及び15日18時50分〜15日19時50分の間であった。
 奈良橋川の水位観測所では、夜9時20分頃、最大水位は天端高からわずか0.03mの下がりであった。
 激しい雷雨による浸水、電車の運休や遅れ、及び飛行機の欠航や遅れが相次いで、東京都では、一般資産被害面積13.91ha、被害棟数 290棟(その内床下が 275棟、床上が15棟)であった。また、公共土木施設被害と公益事業被害も発生し、公共土木施設被害は2ヶ所、公共事業被害は線路冠水原因で1ヵ所となった。

〔12月8日 大雨〕
 発達中の低気圧の影響で、関東方は7日から8日朝にかけ、台風も顔負けの蒸し暑さと暴風を伴う“冬の嵐“が現れた。冬の気候だが、稲妻・雷雨などの現象が起こった。
 越後山橋あたりの60分最大降雨量は56mm(8日9時30分〜8日10時30分)に達した。新宿あたりは7日14時〜8日18時の間に総雨量80mmが記録された
 大雨の影響で、浸水、フェリーが欠航、電車が運休や遅れ、及び道路の冠水による通行止めなど朝の通勤、通学の足に影響が出た。
 都内では、一般資産被害面積は3,17ha、被害棟数 180棟(その内、床下が98棟、床上が91棟)に達した。
 谷沢川水位観測所では、午前10時10分頃、最大水位は護岸天端高よりわずか0.63mの下がりであった。

 総して、H4年における水害の被害規模(一般資産被害)の総計は、被害面積21.97ha、被害棟数 533棟(この内、床下 427棟、床上 106棟)であった。また、公共土木施設被害と公益事業被害も出て、公共土木施設は6ケ所、公益事業被害は2ヶ所となった。
 なお、H4年における一般資産被害回数は4回で、過去5ヵ年における一般資産被害回数は、62年7回、63年5回、H2年7回、H3年10回むであった。昭和49年から平成4年までの19年間の一般資産被害規模平均値は、被害面積516.6ha、被害棟数10,240棟(その内、床上8,361棟、床下1,879棟)である。

 本資料は、「水害統計調査」をもとに、都で観測されている雨量・水位及び気象庁の速報天気図等を参考に被害のあった全水害を収録したものである。
 なお、水害統計調査に際してご協力をいただいた関係者の方々に深甚なる謝意を表すと共に、より一層のご協力をお願い申し上げる次第である。

平成4年水害一覧
月 日 原因  一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上
6月20〜21日   0.00 0 0 0
6月23日   0.00 0 0 0  
7月9日 集中豪雨 0.44 33 0 33     
7月15日 集中豪雨 13.91 275 15 290
10月9日 集中豪雨 4.45 21 0 21    
12月8日 集中豪雨 3.17 98 91 189    
合 計   21.97 427 106 533