平成7年水害概要
 

 平成7年の天候は、冬は9年連続の暖冬であった。6月上旬前半に梅雨入りし、7月下旬前半に梅雨明けするまでは、低気圧や前線の影響で雲や雨のぐずついた日が多く、春から初夏にかけては低温・多雨で、梅雨明け後は太平洋高気圧の勢力が強まり暑夏となった。
秋から初冬は−時低温となったが、気温の高い状態が続いた。
 平成7年の降雨量は、気象庁東京管区気象台・東京観測所(千代田区大手町)によると1,220.0mm、平年値(平年値とは、昭和36年から平成2年までの30年間の平均値であり、1,405.5mmである)の約87%程度の雨量であったが、東京地方では局地的な大雨による被害が数回にわたって起こった。
 都における水害被害(一般資産被害)は、4回(5月13日、7月25日、8月2日、8月22日)となっている。
 特に、8月2日(集中豪雨)、8月22日(集中豪雨)の2回にわたって水害被害が大きかった。

〔8月2日 集中豪雨〕
 関東地方上空に寒気が入り込んだ影響で大気が不安定になり、局地的な雷を伴った大雨に見舞われた。
 上祖師谷観測所あたりの60分最大降雨量は83mm(2日15時40分〜2日16時40分)に達した。久我山あたりでは2日15時20分〜16時20分の60分間に77mmの雨量が記録された。
 石神井川の溜淵橋観測所や谷沢川の谷沢川水位観測所では、最高水位が護岸天端高よりそれぞれわずか0.05m、0.07mの下がりであった。
 東京23区や多摩東部には、一時「大雨、洪水警報、雷注意報」が出され、局地的に道路冠水や床下・床上浸水などの被害が出た。
 都内では、一般資産被害面積は2.73ha、被害棟数167棟(その内、床下浸水116棟、床上浸水51棟)に達し、公共土木施設被害も1ヶ所生じた。

〔8月22日 集中豪雨〕
 連日厳しい残暑が続く関東地方で22日午後、局地的に雷を伴った激しい雨が降った。 東京23区、神奈川県、埼玉県、栃木県南部などでは、一時、大雨・洪水警報が出された。
 東京地方で降雨量が最も大きかった所は世田谷区や青梅市等である。玉川(世田谷区)と成木(青梅市)の両観測所で観測された60分最大降雨量はそれぞれ73mm(22日14時00分〜15時00分)、65mm(22日13時30分〜14時30分)であった。
 谷沢川の谷沢川水位観測所では、14時50分頃、最高水位が天端高を0.01m超え溢水した。また、川口川の片井戸水位観測所では、13時50分頃、最高水位が天端高を0.09m超えたことが記録されている。
 激しい雷雨による住宅への浸水や道路冠水等の被害が出たほか、JR中央線などが冠水し、一部区間で運転を見合わせたり、運休したりした。
 都内では、一般資産被害面積1.22ha、被害棟数44棟(その内床下浸水が31棟、床上浸水が13棟)であった。
 また、公共土木施設被害は道路冠水や堤防破損などが原因で5ケ所にのぼり、公益事業被害が1ヶ所生じた。
 総じて、平成7年における水害の被害規模(一般資産被害)の総計は被害面積4.23ha、被害棟数220棟(この内、床下浸水が152棟、床上浸水が68棟)であり、また、公共土木施設被害と公益事業被害も出て、公共土木施設被害は合計21ケ所、公益事業被害は1ケ所であった。
 なお、平成7年における一般資産被害回数は4回で、過去5ヶ年における一般資産被害回数は、平成2年7回、平成3年10回、平成4年4回、平成5年6回、平成6年7回であった。昭和49年から平成7年までの22年間の一般資産被害規模平均値は、被害面積441.3ha、被害棟数8,812棟(その内、床下浸水が7,137棟、床上浸水が1,675棟)である。
 本資料は、「水害統計調査」をもとに、都で観測されている雨量・水位及び気象庁の速報天気図等を参考に被害のあった全水害を収録したものである。
 なお、水害統計調査に際して御協力をいただいた関係者の方々に深甚なる謝意を表すと共に、より一層の御協力をお願い申し上げる次第である。

平成7年水害一覧
月 日 原 因 一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上
5月13日 集中豪雨 0.08 4 0 4     
6月13日   0.00 0 0 0   
7月4日   0.00 0 0 0    
7月25日 大雨 0.17 1 4 5    
8月2日 集中豪雨 2.73 116 51 167  
8月22日 集中豪雨 1.25 31 13 44
9月16日   0.00 0 0 0  
合 計   4.23 152 68 220