昭和53年水害概要
 

 昭和53年気象庁東京管区気象台(千代田区大手町1丁目)に設置してある雨量観測所(名称東京)で観測された年降雨量は平年の69%と少なく、特に7,8月においては平年の32%、17%と異常に少なかった。このためか昭和53年の水害発生回数は4月6日及び7月11日の2回であり、昭和49年12回、50年12回、51年5回、52年の12回に比べ最低を記録した。
昭和53年の水害は、4月6日、発達した低気圧の通過により、区部では足立区、新宿区等、多摩地区では町田市等に発生した被害に代表される。この水害は前線を伴った低気圧が小型台風なみに発達しながら東海、関東地方の大平洋沿いに通過したため、午後から夜にかけて、ところにより1時間に60mmを越す降雨があった。このため都内各所の中小河川流域で水害が発生し、特に神田川、石神井川及びこれらの支川流域で溢水等により大きな被害を出した。また綾瀬川、荒川、流域の足立区において内水により、多数の家屋が浸水したほか、多摩地区に於ても内水等により被害が発生し、都内全域で6,944棟の浸水被害を出した。これは過去5年間に発生した水害のうち、昭和51年9月9日の台風17号による被害(浸水棟数8,212棟)に次ぐものである。
昭和53年に於てはこのほか7月11日弱い熱帯性低気圧により強い雷雨となり日野市を中心に発生した被害のみであった。本資料は、河川行政に必要な資料として建設省から毎年依頼され実施している「水害統計調査」をもとに、都で観測している雨量・水位記録及び気象庁の速報、天気図等を参考に昭和53年の全水害を収録したものである。
また、水害統計調査にさいし御協力いただいた関係者の方々に深甚の謝意を表すると共に、今後一層の御協力をお願い申し上げる次第である。

昭和53年水害一覧
月日 原因 一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上 半壊
4月6日 集中豪雨 229.40 4,863 2,081 0 6,944
7月11日 集中豪雨 54.80 490 257 0 747
合計   284.20 5,353 2,338 0 7,691