昭和54年水害概要
 

 ○昭和54年水害
昭和54年の降雨量は気象庁東京管区気象台、東京観測所(千代田区大手町)によると1,454mmでほぼ平年並であった(平年とは昭和16年から昭和45年までの平均値〔1,503mm〕)都における水害被害回数は、9回と比較的多く過去5カ年の順位では3位を記録した。(1位50年及び52年の12回、3位54年9回、4位51年5回、5位53年2回)
又被害棟数は5,778棟で4位を記録した。(1位51年8,335棟、2位50年8,079棟、3位53年7,691棟、4位54年5,778棟、5位52年2,891棟)
昭和54年の水害は3月24日と5月15日に神田川、石神井川、目黒川等の各流域に大きな溢水被害をもたらした集中豪雨と10月19日に都全域に広範囲な被害をもたらした台風20号とに代表される。上記の被害について概要を記すると、3月24日は発達してきた低気圧の通過により局地的豪雨となり、雨量は池尻で38mm/hを記録し、神田川、石神井川、目黒川の各流域に特に強い雨を降らせた。このため河川が溢水するなど都内総被害棟数は1,170棟となった。5月15日は発達した低気圧の通過により局地的豪雨となり、雨量は赤塚で45mm/hを記録した。このため神田川、石神井川、目黒川の各流域は3月24日に次ぐ今年2度目の溢水被害に見舞われるなど都内総被害棟数は今年最大の2,091棟になった。
10月19日の台風20号は大型で風雨共に強く、風は最大瞬間風速38.2m/sec、雨量は五日市で47mm/h、潮位は中川の上平井水門で A.P.+3.66mを記録するなど、都全域にわたり猛威を振い都民生活を混乱させた。
このため被害も各地で発生し、特に綾瀬川流域の足立区花畑においては溢水のため大きな被害に見舞われるなど都内総被害棟数は、1,730棟となった。このほか昭和54年においては5月8日、7月18日、7月27日、8月29日に集中豪雨による被害と9月4日、9月30日、10月7日の台風による被害があった。

昭和54年水害一覧
月日 原因 一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上 半壊
3月24日 集中豪雨 53.40 1,118 52 0 1,170  
5月8日 集中豪雨 15.30 237 5 0 242    
5月15日 集中豪雨 74.50 1,061 1,030 0 2,091  
7月18日 集中豪雨 0.00 0 0 0 0  
7月27日 集中豪雨 0.50 5 0 0 5    
8月29日 集中豪雨 0.10 0 9 0 9  
9月4日 台風12号 16.40 336 72 0 408    
9月30日 台風16号 0.30 5 0 0 5  
10月7日 台風18号 15.60 114 4 0 118  
10月19日 台風20号 146.80 1,550 180 0 1,730
合計   322.90 4,426 1,352 0 5,778