昭和56年水害概要
 

  昭和56年の降雨量は気象庁東京管区気象台,東京観測所(千代田区大手町)によると1,463.5mmでほぼ平年並であった。(平年とは昭和26年から昭和55年までの30年間の平均値であり,平年値は 1,460.2mmである。)昭和56年の降雨の特徴は,1月,12月の降雨量が極端に少なく, 1 0月の降雨量が平年の約2.0倍になっている。又,7月22日の一時間最大降雨量77.0mmは累年第3位, 10月22日の日降雨量215.0mmは累年第4位の記録となっている。
都に於ける水害被害回数は4回となっている。(過去5ヶ年は,52年12回,53年2回,54年9回,55年2回)被害面積2,429.4ha,被害棟数55,712棟で共に過去5ヶ年の最高を記録し,昭和41年以来の被害となった。
昭和56年の水害は,4月20日,5月17日に集中豪雨による内水被害と.7月22日の集中豪雨で神田川,目黒川を中心に溢水被害が,10月22日の台風24号で都内全域に被害が発生した4回である。
上記の主な被害について概要を記すと,7月22日は寒冷前線の急速な南下により雷を伴った局地的豪雨となり雨量は品川で80mm/hr,新宿で75mm/hrを記録し都区部で軒並に50mm/hr以上の降雨量となった。このため河川の溢水等により被害面積470ha,被害棟数 13.662棟となった。
10月22日の台風24号は,雨を伴った大型台風で,関東の南東海上を通過した。この雨台風による雨量は葛飾で51mm/hr,丸の内で47mm/hrを記録し,都区内各所で日雨量200mm以上を記録した。
このため都内全域で被害が発生し,特に江戸川区,足立区,葛飾区等の低地は大きな浸水被害を受けた。都全域の被害は面積1,959ha、棟数42,021棟となり,1水害では昭和41年の4号台風以来の被害であった。
本資料は河川行政に必要な資料として建設省から毎年調査を依頼され実施している「水害統計調査」をもとに,都で観測している雨量,水位及び気象庁の速報天気図等を参考に全水害を収録したものである。
又,水害統計調査にさいし御協力をいただいた関係者の方々に深甚なる謝意を表わすと共により一層の御協力をお願い申し上げる次第である。

昭和56年水害一覧
月日 原因 一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上 半壊
4月20日 集中豪雨 0.30 20 4 0 24  
5月17日 集中豪雨 0.10 5 0 0 5    
7月22日 集中豪雨 470.00 10,588 3,074 0 13,662
8月22日 台風15号 0.00 0 0 0 0
10月22日 台風24号 1959.00 35,167 6,854 0 42,021
合計   2429.40 45,780 9,932 0 55,712