昭和57年水害概要
 

 昭和57年の降雨量は,気象庁東京管区気象台・東京観測所(千代田区大手町)によると,1,575.7mmでほぼ平年並であった。(平年とは,昭和26年から昭和55年までの30年間の平均値であり,平均値は1,460.2mmである。)昭和57年の降雨の特徴は,12月の降雨量が極端に少なく,9月の降雨量が平年の約2倍になっている。
都における水害被害回数は7回となっている。(過去5ヶ年は,53年2回,54年9回,55年2回,56年4回)
被害面積2,539.0ha,被害棟数34,159棟で過去5ヶ年で面積1位,被害棟数2位の被害となった。
昭和57年の水害は,6月20日と11月30日に集中豪雨による内水被害を中心とした被害と,8月1日の台風10号による多摩部を中心とする被害,そして9月12日の台風18号による都内全域に及ぶ被害が主なものであった。8月1日の台風10号は,これの接近・通過に伴って特に多摩部に強い雨をもたらした。奥多摩で62mm/h,総雨量381mm, 桧原で54.5mm/h,総雨量382mmを記録した。このため,公共土木施設に多大な被害を与え総被害額は15億円を越えた。9月12日の台風18号は,雨を伴った大型台風で各地に大雨をもたらせた。特に大島で総雨量730mm,12日の曰雨量470mm, 63mm/hを記録し,都内でも各地で総雨量200mmを越える降雨となった。このため神田川,目黒川等で溢水被害をうけ被害面積1,615.9ha,被害棟数24,286棟となり,公共土木施設被害も総被害額13億円を越えた。11月30日の集中豪雨は二つの低気圧の通過によるもので特に区部で集中豪雨をもたらし,丸の内で53mm/h,新宿で50mm/hを記録した。これにより目黒川等で溢水被害をうけ被害面積586.6ha,被害棟数6,244棟に及んだ。
本資料は,河川行政に必要な資料として建設省から毎年調査を依頼され実施している「水害統計調査」をもとに,都で観測している雨量・水位及び気象庁の速報天気図等を参考に全水害を収録したものである。
又,水害統計調査にさいし御協力をいただいた関係者の方々に深甚なる謝意を表わすと共により一層の御協力をお願い申し上げる次第である。

昭和57年水害一覧
月日 原因 一般資産被害 公共土木
施設被害
公益事業
等被害
浸水面積
(ha)
浸水棟数(棟) 合計
(棟)
床下 床上 半壊
4月15日 集中豪雨 3.20 51 0 0 51    
5月11日 地すべり 0.00 0 0 0 0  
6月20日 集中豪雨 307.80 2,788 410 0 3,198  
8月1日 台風10号 24.10 318 42 0 360
8月8日 集中豪雨 0.00 0 0 0 0  
8月18日 集中豪雨 0.00 0 0 0 0  
8月27日 台風13号 0.40 4 0 0 4  
9月12日 台風18号 1615.90 16,712 7,574 0 24,286
9月25日 台風19号 1.00 16 0 0 16    
10月8日 台風21号 0.00 0 0 0 0
11月30日 集中豪雨 586.60 5,232 1,012 0 6,244  
合計   2539.00 25,121 9,038 0 34,159