冬から春へのニホンリス
井の頭自然文化園 飼育展示係 井上智右
冬のニホンリスは寒さに耐えるため、身体に脂肪を蓄えてむくむく、灰色の冬毛でもこもこの身体、そしてふわふわの尻尾、長い耳の房毛が特徴です。
冬至を過ぎ、昼が長くなり始めると、その身体に変化が生じて春を迎える準備が始まります。
冬毛から夏毛への変化として、長い体毛が抜け始め、腕や脚の部分からオレンジ色の夏毛が見えるようになります。冬の間の特徴だった耳の房毛もなくなり始めます。
また、外見的な変化だけではなく、行動にも変化があらわれます。春はリスの繁殖期です。1月の終わりごろからオスが鳴くようになり、オスがメスを追いかけたり、メスの前で尾を振ってアピールしたりします。
メスがオスを受け入れ、無事に交尾が済むと、約40日で出産です。井の頭自然文化園の「リスの小径」では、3月の初めころから、メスが自分でやわらかい巣材を集めた巣箱内で出産します。子育てはメスのみが行い、約60日で子どもが巣箱から顔を見せるようになります。
春はニホンリスの外見も行動も大きく変化する様子が見られます。ぜひご来園ください。