平成22年　水害概要

平成22年の日本の天候は、年平均気温は全国的に高く、北日本から西日本にかけては平年を1℃以上上回ったところがあり、帯広、釧路、広尾（以上、北海道）では、年平均気温の最高値を更新した。また、年降水量は、北日本ではかなり多く、東日本、西日本太平洋側、及び沖縄・奄美で多かった。飯田（長野県）では、年降水量の最大値を更新した。西日本日本海側は平年並であった。
強い寒気が流れ込んだ４月中旬には、17日に関東甲信地方から東北地方南部にかけての広い範囲で降雪を観測し、東京では1969年に観測した最も遅い降雪の記録に並んだ。また、本州付近を低気圧や前線が頻繁に通過したため、春の降水量は北日本から西日本にかけて多かった。
夏は北日本から西日本にかけて顕著に気温が高く、17地点の気象台などで、夏の平均気温は1898年以降の113年間で最高の高い記録となった。夏の降水量は、前線や湿った気流の影響を受けやすかった北日本日本海側ではかなり多く、また西日本太平洋側と沖縄・奄美でも多かった一方、東日本では少ない降水量となった。梅雨入りは遅く、梅雨明けが早い地方が多かったが、梅雨期間中の梅雨前線の活動は活発で、6月から７月にかけて、本州付近停滞した梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発となり、西日本から東日本の広範囲にわたり非常に激しい雨が降り、特に九州南部では、この間の総雨量が1,500ｍｍから2,000mm（年間雨量相当）に達した。この雨により、各地で浸水被害や土砂災害が発生し、総務省統計では浸水家屋数約7,488棟、死者・行方不明者は21名の被害にのぼった。
秋の降水量は、台風、前線、湿った気流の影響を受けやすかった沖縄・奄美でかなり多かった。特に、10月18日から21日にかけて停滞した前線に台風13号の影響で非常に湿った空気が流れ込み、奄美地方では20日の24時間降水量が622ｍｍ（10月の平均値の約2.6倍）となり、この雨で各地に浸水被害や土砂災害が発生し、死傷者や建物等の甚大な被害をもたらした。
台風の発生数（14個、平年26.7個）、接近数（7個、平年10.8個）、上陸数（2個、平年2.6個）は、いずれも平年を下回り、発生数では台風統計開始の1951年以降で最も少なかった。
平成22年の関東・東京の天候は、年降水量は気象庁東京管区気象台（千代田区大手町）では1679.5mmであり、平年値(昭和55年から平成21年までの30年間：1525.3mm)より多かった。
関東甲信地方の梅雨入りは6月13日頃（平年6月8日頃）、梅雨明けは7月17日頃（平年7月20日頃）で、梅雨入りは平年に比べ遅く、梅雨明けは早かった。また、この期間の降水量は平年並みであった。
東京都における出水の状況は、大雨・洪水等の注意報、警報は23区では22回の注意報、11回の警報、また多摩部では25回の注意報、13回の警報が発令された。東京都建設局では警報の発表と同時に「水防本部」が設置され、警戒配備態勢が敷かれることになっているが、その設置回数は過去30年間で最高の19回（内１回は津波警報）であった。
７月5日の集中豪雨では、夕方から夜にかけて、区部および多摩北部を中心に、１時間50ｍｍを超える非常に激しい雨が降り、なかでも板橋区では１時間に114ｍｍという記録的な集中豪雨となった。また、12月2日から3日にかけて、前線を伴った低気圧の急速な発達により、多摩部、23区部と広い範囲で大雨となった。多摩部の町田観測所、稲城観測所では、時間雨量50ｍｍ以上を記録し、12月の時期では記録的な降雨となった。
水害被害（一般資産被害）は、6月から12月にかけて、6月29日〜30日（集中豪雨）、7月5日（集中豪雨）、7月31日（集中豪雨）、8月18日〜19日（集中豪雨）、9月8日〜9日（台風9号）、9月14日〜15日（集中豪雨）、9月15日〜16日（集中豪雨）、9月27日〜28日（集中豪雨）、12月2日〜3日（集中豪雨）の9回発生した。最大の被害をもたらした7月5日（集中豪雨）の浸水家屋は810棟であった。

一部｢報道発表資料｣（気象庁、国土交通省）より抜粋