東京のまちづくり ナンバー129
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イキモノのイキな話78

タンチョウ

タスマニアデビルがやってきた

多摩動物公園  永田典子

 6月11日から、多摩動物公園でタスマニアデビルの公開が始まりました。今回やってきたのは先住民の言葉で「マルジューナ(星)」「メイディーナ(影)」という意味の名前の2頭の姉妹です。

 タスマニアデビルはオーストラリアのタスマニア島にのみ生息する最大の肉食有袋類です。最大とはいうもののタヌキほどの大きさで、自分より大きな動物を襲うことはほとんどなく、主に死んだ動物を食べるスカベンジャー(死肉食動物)です。普段は単独行動ですが、鋭い嗅覚で死んだ動物に集まり、出会った個体たちで大きなうなり声を上げながら骨や皮もすべて噛み砕いて食べる様子や黒い体色などから「デビル」という名前がついたとされています。かつてはオーストラリア大陸にも生息していましたが、人が持ち込んだ「ディンゴ(野犬の一種)」の影響や、家畜を襲う害獣と疑われ駆除されたことなどで絶滅しました。タスマニア島でも駆除の対象になったり、「タスマニアデビル顔面腫瘍病」という致死力の高い癌が生息域の広範囲に急速に広がったりして個体数が激減したことから、2003年に保全プロジェクト(Save the Tasmanian Devil Program)が発足しました。プログラムでは、野生個体群の管理や病気の研究などさまざまな取り組みが行われていますが、タスマニアデビルの現状を知ってもらうために海外の動物園へ出す試みが始まり、多摩動物公園もアジアで初めてこれに参画することになりました。

 野生のタスマニアデビルは慎重で用心深いのですが、飼育下13代目となる2頭は到着した日から好奇心いっぱいで、臆することなく放飼場を探索し、ヒョコヒョコと走る姿がかわいらしく人気となっています。タスマニアデビルや野生動物の保全について考えるきっかけになればと思っています。



〜動物園の"かお"〜

葛西臨海水族園 クロマグロ

 6月に展示水槽「大洋の航海者 マグロ」へクロマグロを追加搬入しました。マグロたちの群泳をぜひご覧ください。

オオアナコンダ