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神田川上流懇談会議事録(第11回)

開催日時  平成18年11月9日(木)14:00~17:30
開催場所  神田川取水施設管理棟会議室

 平成18年11月9日(木)の午後2時より、第11回神田川上流懇談会が「善福寺川の護岸整備」、「懇談会の活動記録」等をテーマに開催されました。
 当日は、都民委員12名、行政委員10名が出席しました。
 なお、今回をもって今期の当懇談会は終了し、次期については新たに都民委員を募集してまいります。

■最初に、東京都第三建設事務所から「善福寺川の護岸整備」について説明した後、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。
 これから進めていく善福寺川の河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)について、治水対策を第一優先としながら環境対策についても検討していくため提案しました。
 この一般区間の護岸については、鋼管杭を圧入し、前面を修景していくことにしています。河床部分は従来のコンクリートではなく、自然河床としていくことを検討中です。

善福寺川事業計画平面図

■また、済美橋下流の右岸(南側)については、杉並区の済美公園があり、その公園と川とを一体的に整備して水辺に近づける傾斜の緩い護岸ができないかということで、現在杉並区と協力しながら検討を進めています。

善福寺川断面イメージ

都民委員からのご質問やご意見、行政委員の説明などを紹介します。

  • 単に景観だけでなくビオトープとしての機能が発揮できるので、できれば護岸を切り取った形でのワンドを造ってもらいたい。
     (注)ビオトープとは・・・生物の生息環境を意味し、また人工的に作られた生態系を指す言葉です。
     (注)ワンドとは・・・河川沿いにある水たまりのことで、魚類の稚魚の生息場になるなど河川にとって重要なものです。
  • 現状では、河川の汚水が入ってくる遊水池にはしたくない。合流式下水道がある限り失敗した事例があり、遊水池とした江古田川の北江古田公園は水が入ると掃除が大変で、ほとんど水を入れないようになっています。
  • ワンドは親しめる空間として意義があるが、今は合流式下水が入っていることを前提にして考えていく必要がある。汚水が入ってくる川とは縁を切って、きれいな水だけを使うワンドにしたらよいと思います。
  • 河川の管理通路幅が広いところならば用地買収も必要ないため、そのようなものも簡単につくれるではないかと思います。
  • 一般的に最近子どもたちが公園で遊ばなくなっているので、この済美公園は、子ども中心のものとするのか大人中心のものとするのか、その辺から考えるとともに、維持管理についてもよく考えていただきたいという感じがします。
  • 済美公園の西側の和田堀公園では、水を循環して流している人口の小川があり、そこでは子どもが水遊びをしています。そういうのを公園の中に造ればいいのではないかと思います。
  • 善福寺川の水を浄化して利用する方法もあるのではないか思います。
  • 斜面の傾斜を緩やかにして、傾斜の途中に造作をすれば親水性が高まると思う。また、ワンドに大雨のときの汚泥等が入らないようにすべきであり、場合によっては災害用の井戸を掘って常時きれいな水を流す方法もあるのではないでしょうか。
  • ワンドに汚水が入ると、有機物が多くて水草が枯れてしまいます。
  • 将来は、ワンドに川の水が使えるようにイメージしていく必要があると思います。
  • 傾斜の法面は、傾斜が緩くなると土砂がたまりやすいので、維持管理を考えておく必要があると思います。

杉並区の公園改修については比較的、区民参加ができていると思いますが、懇談会の委員の皆さんが述べた意見はどのように活かされるのでしょうか。

 委員の皆様のご意見は、記録に残して検討の際に活用させていただくとともに、地元の皆様からもご意見をいただかなければいけないと思っています。様々なご意見を伺った上で、河川の制約条件を考慮して管理する杉並区さんと協力して最善のものを造っていきたいと考えています。

  • 川をつくった時に行政だけで管理する時代ではなく、住民も維持管理の一部を担うことは至極当然ではないかと思う。そういうことも設計デザインの中に入れたらどうかと思います。

■次に、事務局から当懇談会の「活動記録(案)」が提示されました。これは、活動の概要、活動の主な成果、委員の意見と感想などをまとめています。引き続き、委員の皆様のご意見をいただきながら作成していきます。

「活動記録」表紙

■最後に、委員の皆様から神田川や懇談会への思いや意見を話していただきました。その中で主なものを紹介いたします。

  • 委員の皆さんは、神田川をこうありたいという考えの共通認識を持っていたのではないかと思います。その実現のためには時間や予算など問題もあるが、一つずつ解決してできるだけ早くよい神田川が戻ってくることを願っています。
  • 懇談会では下水や公園の問題の意見も多く、関係する部局の方が入っていないと広域的や総合的に考えが出てこないので、次期懇談会には関係部局を加えた方が良いと思います。
  • 妙正寺川を川の観察で歩いていた際、付近の人が大水の時、床上40㎝まで浸水したとのこと。それだから河川の改修はぜひやらなくてはいけないと痛切に感じました。
  • 川に近づく、水に触れるなどということを過大に期待すると、河床までの高さが非常に大きいので、自然とは似て非なるものを再現する方向に行かないよう切に望みます。また、川は暮らしの中の大切な場所だ、という啓蒙が少し欠けている気がしますので、行政の取り組みを切に望みたいと思います。
  • 中野区の南台から弥生町の神田川は川とは言い難いと思っているので、川にふたをのせて農園をやるなど、今と変わった川のあり方を市民サイドで考えてみたい。懇談会を続けるならば、引き続きそういうことも検討したいと思います。
  • 都市をつくるためには河川だけではどうしようもない。次期の懇談会が、少なくとも下水と道路の行政が一緒になって町をどうつくるのか、そのような議論を含めていくのであればぜひ参加したいと思います。
  • 今の水質は神田川、東京湾を汚染している。20年なり50年なりのスパンで方向性を定めて、一歩一歩進んでいったらどうかと思います。また、河川の環境整備は絶えず考えるべきで、善福寺川の激特事業も環境についてよく検討していると思います。
  • 17年9月の豪雨は、河川のからの溢水(外水氾濫)ばかりでなく、河川から離れた所でも暗渠や下水道が雨水を処理できずに多くの家屋や道路を浸水(内水氾濫)しました。第三建設事務所は、外水氾濫だけでなく内水氾濫についても下水と調整して住みよい東京の建設に努めていただきたいと思います。
  • この都市化された中の河川改修で親水的なことを考えずに、防災面だけで河川を見ていましたが、皆様の様々な意見を聞いて見方が変わりました。河川を愛したり、住民が協力できるようにするためにも、いろいろな方に懇談会のメンバーになっていただけたらよいと思いました。
  • 行政に雨水の貯留と浸透を推進するようにと言うばかりでなく、市民側にも啓蒙していく必要があり、今後そのような活動をしていきたいと思っています。また、汚い川から子どもたちを遠ざけずに川が汚いことを直視させて、何で汚いのか一緒に考えていきたいと思っています。
  • 神田川の遊歩道が一部通行できないところを解消できないか、神田川を宇都宮市の釜川のように二層式にできないか、雨水をポンプアップして水源に戻して循環しながら途中の公園等に水遊び施設を作ってはどうかというのが私の提案です。
  • 多様な社会の中で「川のあり方」を考える際に行政と市民が一緒になって議論することは非常に重要で、行政委員も個人的な意見を積極的に発言し、どんどん意見交換してよりよい方向にもっていったらいいと思います。

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