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神田川上流懇談会議事録 第2回(通算13回)

開催日時 平成19年10月4日(木)13:30~17:30
開催場所 現場視察・善福寺川取水施設会議室

 平成19年10月4日(木)の午後1時30分より、第2期第2回神田川上流懇談会を開催し、現地視察と意見交換等が行われました。
 当日は、神田川の西武新宿線及び新橋、善福寺川の済美橋下流及び定塚橋上流の4箇所をマイクロバスで移動して、担当の説明を受けながら現地視察を実施しました。その後、善福寺川取水施設において当懇談会の設置要綱等と前回のニュースを確認し、現地視察の感想等について意見交換しました。

各箇所における現地視察の説明要旨は以下の通りです。

  1. [1]神田川の西武鉄道協定工事(高田馬場)
    ここは、西武新宿線橋梁架け替えと護岸整備を西武鉄道(株)に委託して工事中の箇所です。工事は平成17年度に着手し20年度末までを予定しています。
  2. [2]神田川の新橋(中野新橋)
    新橋から寿橋までの延長約0.5㎞の区間について、現在用地買収を進めながら、護岸整備と橋梁架け替えの工事を今年度から着手していきます。
  3. [3]善福寺川の済美橋下流(済美公園)
    平成17年9月の水害で国の特別な補助を受けた河川激甚災害対策特別緊急事業により、済美橋架け替えと護岸整備の工事を実施しています。 特に、この区間の一部は水辺に近づける緩傾斜護岸を隣接する済美公園と一体的に整備していく予定です。
  4. [4]善福寺川の定塚橋上流(堀之内橋下流)
    環状七号線地下調節池の善福寺川取水施設が完成したため、すぐ上流の定塚橋から堀之内橋間の護岸整備の工事を実施しています。新しい護岸となる鋼管杭を回転圧入工法により低騒音・低振動で施工中です。
現地視察箇所図
現地視察箇所図
  • 神田川の西武鉄道協定工事の写真
    [1]神田川の西武鉄道協定工事
    (高田馬場)
  • 神田川の新橋の写真
    [2]神田川の新橋
    (中野新橋)
  • 善福寺川の定塚橋上流の写真
    [3]善福寺川の済美橋下流
    (済美公園)
  • 善福寺川の定塚橋上流の写真
    [4]善福寺川の定塚橋上流
    (堀之内橋下流)

都民委員からのご質問やご意見及び行政委員の説明などを紹介します。

 現在50ミリ計画を進めているが、平成17年9月のように112ミリの大雨が降ると浸水してしまう。そういうことを将来どのように考えているか聞きたい。また、杉並区で生きものが棲めるような親水の川をつくろうとの話だが、どのような方法でよみがえらせるのか知りたい。

 治水対策について、護岸や調節池等の河川整備や下水道整備により90ミリ、貯留や浸透等の流域対策により10ミリ、合わせて100ミリ程度には将来的にはもっていきたいという計画はあります。また、親水の川について、どのような方向を目指すかは、今後、区民と一緒に考えてまいりたい。

 絶対に浸水しないというのではなく、部分的な浸水はやむを得ないという発想があってもいいのかなと感じがする。また最近、非常に乾いた印象がある井の頭池の湧水を復元することは無理な話と思うが、治水対策のうちの流域対策として「浸透ます」等による方法も夢があると思う。

 以前は、国も洪水による浸水を一切ださないような政策でしたが、現在では万が一出水しても被害を少なくするといった方向に変えています。さらに、ソフト対策としてハザードマップの配布、地下室の不設置などの浸水による被害を少なくする方策も必要になっています。

 神田川の水質について、このままでよいのか、治水対策が優先なのか、どのように行政が考えているか聞きたい。

 神田川の流域では雨水と汚水を合わせて流す合流式下水道です。この下水道では大雨時に汚水が計画量の3倍になると雨水で薄められて河川に出てきます。この件については今後のテーマとして情報提供してまいります。

 治水対策はどうしてもやらなくてはいけないが、環境対策についても引き続き実施されたい。また、地下調節池は莫大な金がかかるが、善福寺川のような開放式の調節池の方が安上がりではないか。

 地下調節池は、規模が大きくなり建設費が高くなるとともに排水や換気などの設備も必要です。開放式の調節池は、規模が小さくなるが建設費なども安価で、適地があれば水害防止の即効性があるため、今後とも整備してまいりたい。

 川は水害だけではなく、火事等の災害時に水を貯めておく場所をつくって、その水を利用できるようにしたらと思う。

 環状七号線地下調節池では、平成12年度から消防庁と協定を結んで、12月から5月の渇水期に水を調節池に貯めておき、災害時に神田川へ排水し消防用水として利用できるようにしています。

 テレビの番組で、神田川の流域に集中的に豪雨を発生させるメカニズムが紹介されたが、環七地下調節池はこのメカニズムによる集中豪雨が当初の想定範囲なのか知りたい。また洪水版の緊急速報とかできないかと思う。

 治水計画は、最近の集中豪雨の発生メカニズムで考慮しておりません。現在は、50ミリで河川の整備を進めていますが、これと流域対策や避難体制などのソフト対策を併せていくしかありません。また、神田川において洪水の予測を現在検討中ですので、いずれ情報提供していきます。

 神田川の高田馬場の工事現場にあった完成予想図に、西武線の計画だけで上流のJR線の計画がなく情報が細切れである。また、淀橋上流の河川管理用通路が未整備で閉鎖されたままだが、できるだけ整備して開放した方が良い。

 JR線の計画については現在、概略の設計中で出せる図がありません。また、淀橋上流の管理通路整備については今年度に予定しています。

 この懇談会の話題では災害対策が当然優先されると思うが、河川環境の歴史文化の話題をとりあげる方法がないか考えている。また、河川に係わる行政計画について、各区市がどのようにやっているか教えられたい。

 神田川等に係わる行政計画などについて、今後のテーマとして準備をしたいと思います。

神田川の西武新宿線(高田馬場の完成予想図)

このほか、都民委員から次のようなご意見などがありました。

  • 神田川の洪水は他の区へ行ってしまえと思っていたが、高田馬場付近の工事現場を見て、今後そういう悪いことは思わないようにする。
  • 現地視察の印象は、河川の工事に金がかかり設計も工事も大変難しいことがやられていると思った。また、高田馬場の工事現場は魚が遡上できるような状態にしていくのがよいと思った。
  • 今日一人も出席していない区市がある。現場での状況がわからないと、そのニュアンスが伝わらないので、ぜひ出席されたい。また、意見交換で重要な意見も出てくるので、それぞれの自治体の政策に反映されたい。
  • 神田川の源流で大雨が降っても上流部は河川からの被害があまり出ない。また、神田川の水量を増やすため浸透桝の普及等を呼びかけている。これらについて地域差を今日はすごく感じた。なお、このような懇談会で話し合ったことや住民の意見を、良いものはいつまでも残すことができればよいと思う。
  • 神田川の整備について中野新橋の近辺だけが未整備と思っていたが、下流の西武線やJR線も完了していない事に気づいた。用地買収も含めて河川の整備は非常に苦労されているという点で、皆さんの意見も聞いて、もっと広い視野に立って考えなければいけないと感じた。
  • この懇談会を少なくとも年に四、五回程度開催して、都民と行政で意見交換していきたい。また、行政委員は代理でも良いので出席されたい。

次回は、平成20年1月上旬ごろの開催を予定しています。

懇談会の様子の写真1
懇談会の様子

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