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神田川上流懇談会議事録 第3回(通算14回)

開催日時 平成20年1月10日(木)14:00~16:30
開催場所 現場視察・善福寺川取水施設会議室

 平成20年1月10日(木)の午後2時より、善福寺川取水施設において第三回神田川上流懇談会を開催し、情報提供と意見交換等が行われました。
 当日は、「神田川等の水質・水量・生物」、「区部の下水道事業」、「神田川の現状と対策案」などについて情報提供し、その後、質疑応答及び意見交換を行いました。

  • 「神田川等の水量・水質・生物」については、「神田川の水質・水量の概況」、「神田川の水質の経年変化と下水道普及率」(図―1)、「神田川の平常時の水量及び晴天時の水質」と「神田川の魚類及び植物の生息状況」を事務局が資料により説明しました。
図―1 神田川の水質の経年変化と下水道普及率
  • 「区部の下水道事業」については、「下水道の役割」(図―2)、「合流式下水道の改善」(図―3)、「善福寺川流域の対策イメージ」(図―4、「神田川上流域の下水道整備」(図―5)などを下水道局建設部及び中部建設事務所がパソコン(画面)等により説明しました。

図―2 下水道の役割      図-3 合流式下水道の改善

図―4 善福寺川流域の対策イメージ
  • 「神田川の現状と対策案」については、神田川等の水質、生物、汚染源などや「現在の川の姿」(図―6)、最後に「神田川を救う提案」(図―7)を「みどりの善福寺川を愛でる会」の鈴木委員がパソコン(画面)等により説明しました。

以上について、都民委員からのご質問やご意見及び行政委員の説明などを紹介します。

 「汚水」は、トイレばかりでなく台所などからの雑排水を含んでいるのか。また神田川の特定の場所で、大雨後でなく晴天時に汚水の臭いがするのはなぜか。

 この汚水は、雑排水も含む広い意味の汚水です。臭いについては難しい問題で、下水道局への苦情も多いです。処理した水は大分きれいで、気になるほどの臭いはないと思います。一般的に下水道へ入ってくる量で多いのはビルがあり、ビルに汚水を貯めてポンプで排水する際に、貯めておくと腐って臭いがする場合があります。

 下水の貯留管は、将来的に分流式の下水道を見越した施設なのか、もしくは単に貯めるだけの施設か。

 下水の貯留管は、特に分流式の前段として整備していません。大雨時に川へ出さないために貯留して、大雨後に貯めたものを水再生センターに送って処理しています。

 川の水質で一番問題となるのは降雨時なので、その時の水質をぜひ追跡してもらいたい。そこで、例えば魚類に影響を与えないとか、そういうことができるのかどうか。

 降雨時には大分汚れたものが下水管から出てきますが(図―8)、それが魚類に影響を与えないかどうかは分かりません。なお、降雨時の水質データの報告については検討します。

 区部の下水道は80%が合流式で20%が分流式とのことだが、合流式と分流式の割合はどのようなことか。また、2Qから3Qへの改善とは具体的に降雨が何ミリから何ミリ程度に良くなるのか。

 区部の下水道は区部全体面積の80%が合流式、残りの20%が分流式となっています。分流式の区域は、下水道の普及が比較的遅い足立区の北側及び東京湾の臨海部です。また、雨天時に水再生センターへ送り処理する汚水量を2Q(倍)から3Q(倍)にするということが、何ミリ程度かは明確ではありません。要は降雨時に川へ吐く回数を減らしていこうということです。(図―9)

 下水道は大地震に耐えられるのか。また、大地震の時はトイレが問題になるが、避難所等で下水管の上に設置した仮設トイレは使えるのか。

 下水道局は、水再生センターや下水管などの下水道の施設について耐震化を実施していますが、全て大地震に耐えられるという状況にありません。現在、下水管については避難所や病院などの地域を絞って耐震化を進めています。

 神田川の水質は大分きれいになったとの説明だったが、場所によってはきれいな所と汚い所がある。神田川の水質が都として十分なのか、不十分なのか。

 合流式下水道は、全部終わっているわけではなく整備の途中です。下水の吐け口からゴミ等が出ないような対策はほぼ完了しています。晴天時の処理水は大分きれいになっていますが、大雨時に汚れた水が川に出てしまうことが、汚れの一つの原因となっており、そういうものを根本的に解決していこうと事業を進めています。

  • その他の情報提供として、当懇談会で意見交換していく「今後のテーマ」(図―10)、「善福寺川のワークショップ」、「善福寺池・井の頭池の水質・生物等」について事務局が説明し、「水防メール配信サービス」について杉並区が説明しました。
図―8 雨天時に放流される下水
図―9 下水のしくみ
図―10 今後のテーマ

以上について、都民委員からのご質問やご意見及び行政委員の説明などを紹介します。

水防メール配信サービスは、現在始めているのか。また、杉並区外でもアクセスできるのか。

 ※平成17年9月の集中豪雨を契機に既に始めています。大雨洪水警報や注意報などの気象情報、一定量を越える降雨量及び河川の水位などを携帯電話に自動的にメール配信するものです。杉並区内でも区外でも登録(無料)すれば配信されます。

 善福寺川のワークショップに、当懇談会の委員で参加希望の方も入ってもらった方が良いと思うがどうか。

 ※「済美公園と一体化する善福寺川のあり方を考えるワークショップ」は、利用要望に合わせた川づくり・公園づくりを地域の方々と一緒に考えていくものです。この公園は地域の利用者が多く地域の方々で所定の人数に達しましたので、今回はご遠慮していただきました。

このほか、都民委員から次のようなご意見などがありました。

※ビルやマンションが高層化して大地震によりトイレ等が使えなくなることが危惧されるので、下水施設の耐震化を引き続きお願いしたい。

※善福寺川のワークショップで出ている情報や、それに対して懇談会で出る情報を反映できるようなシステムにしてもらいたい。

※下水、河川などの担当部局で大量の水を扱っているが、地球環境の関係で「水の確保」という観点から将来を考えなければいけないのではないか。大量の水をただ処理し流してしまってはもったいないと思う。

  • 神田川の整備について中野新橋の近辺だけが未整備と思っていたが、下流の西武線やJR線も完了していない事に気づいた。用地買収も含めて河川の整備は非常に苦労されているという点で、皆さんの意見も聞いて、もっと広い視野に立って考えなければいけないと感じた。
  • この懇談会を少なくとも年に四、五回程度開催して、都民と行政で意見交換していきたい。また、行政委員は代理でも良いので出席されたい。

次回は、平成20年6・7月ごろの開催を予定しており、さきほど提案した「今後のテーマ」のうち資料が整い次第で議題としてまいります。

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