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神田川上流懇談会議事録 第4回(通算22回)

開催日時 平成23年6月16日(木)14:00~16:30
開催場所 善福寺川取水施設会議室

 平成23年6月16日(木)の午後2時より、善福寺川取水施設において第四回神田川上流懇談会を開催し、情報提供と意見交換等が行われました。  当日は、確認事項として、「懇談会ニュース第21号」、「神田川上流部の河床コンクリート張りについて」、「メール配信」についての確認がありました。続いて「神田川流域河川整備計画」、「平成23年度主な河川工事予定箇所について」、「都民委員・行政委員からの報告等」についての情報提供がありました。

はじめに「神田川流域河川整備計画」について事務局から説明があり、神田川の流域概要や河川整備の現状と課題、河川整備計画が報告されました。河川整備計画の基本理念として「首都東京の顔にふさわしい、人・生き物が集い、親しめる、地域に活きた川に再生し、東京に魅力と活力を与える」と定めています。計画の対象期間はおおむね20年間としていますが、社会状況等の変化により、計画の期間内であっても、必要に応じて改定をしていきたいということです。

神田川流域河川整備計画イメージ図

 まず洪水に対しては、現在進めている一時間五十ミリの降雨に対応できる河川整備の早期完成を目指すことを目標としています。次に、高潮に対しては、昭和三十四年の伊勢湾台風と同規模の台風によって発生する高潮に対して安全であることを目指しています。次に、河川の適正な利用や流水の正常な機能の維持に関する事項については、人々が集い、賑わいのある水辺空間を形成し、川と地域の人々との係わりをより深く、豊かにする地域に活きた川づくりを目指すという目標を掲げています。最後に、河川環境の整備と保全に関する事項は、魚類の生息と移動を確保するとともに、水生植物等が生育・繁殖しやすい河川環境を形成し、本来の川らしい自然環境の保全・再生を目指すといった目標を掲げています。
 総合的な治水対策の取り組みとして、東京都では、豪雨対策基本方針を掲げています。公助としての河川整備や下水道整備に加えて、自助、共助を促進するという視点に立って、雨水の流出自体を抑制する流域対策や、浸水被害を最小限にとどめるまちづくり、家づくり対策などの減災対策を一層推進していくということで、重点的に取り組みを進めるべきエリアを設定しています。神田川は、神田川流域豪雨対策計画ということで設定されています。

  • 標準断面図(神田川:清水川橋~滝沢橋)
  • 標準断面図(善福寺川:済美橋~松渓橋)
標準断面図(妙正寺川:八幡橋~妙正寺池)
まちづくりとの連携による整備イメージ図

続いて、「平成23年度主な河川工事予定箇所」について説明がありました。

 神田川水系河川の主な河川工事は、神田川で3箇所、善福寺川で4箇所、妙正寺川で1箇所を予定しています。神田川、善福寺川は主に護岸工事、管理用通路工事及び橋の架け替え工事を行っており、善福寺川と一体整備した済美公園では、工事が完了したワンド部分に隣接した河床の掘り下げを実施します。妙正寺川では、平成21年度までに、平成17年の水害に対する激特事業が完成して、環七より下流側は50ミリの安全性が確保されました。現在進めているのが都営鷺の宮アパートの跡地を利用した鷺の宮調節池の工事を行っています。約3万5千トンの洪水が確保できる計画です。

主な河川工事箇所のイメージ1
主な河川工事箇所のイメージ2

平成23年度 主な河川工事箇所(抜粋)

都民委員からのご質問やご意見、行政委員の説明などを紹介します。

 「神田川流域河川整備計画」の41ページに、「河川と公園の一体整備イメージ図」が掲載されていますが、これに対して積極的に進めるという考えでよろしいですか。

 だれでも水辺に近づけるようなイメージ図になっていますが、実際、整備しようとすると地域の方との合意が必要となってきます。神田川は少しの雨で水位が急速に上がる河川です。そういう川に、水辺にすぐ近づける施設で子供を自由に遊ばせるということについて、歓迎される方も非常に多いですが、逆に危険だということで反対される方も多い。さまざまな意見がある中で、どういうふうに安全性を確保しながら水辺に近づけるような工夫ができるかといったことを、時間をかけて、地域の皆様と相談していきながら整備していきたいと思います。

 「神田川流域河川整備計画」の42ページに、拠点整備候補箇所一覧がありますが、まちづくりの連携というのはどういうことを考えているのでしょうか。

 神田川流域は、古くから都市化、市街化が進んだ流域で、川沿いに建物が建っているエリアが非常に多いです。再開発事業を実施する場合、また再開発ほど大規模ではなくても、ある程度幾つかのブロックでまちづくりの動きがあったときに、どういった計画があるのかを聞いて、神田川に関する整備を一緒に推進していくというような連携を考えています。たとえば、川沿いに少し広目にオープンスペースを確保することなどです。

 神田川の洪水五十ミリ対応の達成率は現在何%ぐらいでしょうか。

 護岸整備率は84%です。加えて調節池などの効果を入れると96%になります。

 「神田川流域河川整備計画」に高潮に関する記述がありますが、高潮と津波の違いを教えてください。また3月11日以降で東京都の津波対策はどうなっているのですか。

 高潮は、台風などの低気圧によって水面が吸い上げられ、高くなる現象です。津波は、地震等の何かのショックが海底に起こって、それによって波が高くなる現象です。東京都では「地震・津波に伴う水害対策技術検証委員会」を発足させ、ハードだけではなく、ソフトの面も含めて、あらゆる部門の専門家を集めて、検証する会議を立ち上げたところです。

懇談会の写真1
懇談会の写真2
懇談会の様子

 妙正寺川の調節池工事ですが、せっかく調節池をつくるのでしたら生物多様性に寄与するような構造を持った池ぐらいをつくってほしいのですが。

 河川と調節池の間に若干の空間がありますので、その敷地を利用して、一部テラス護岸的な整備を予定しています。また、この調節池工事と合わせて、護岸の改修を200メートルほど予定しています。そちらの改修については、現在は三面張りの護岸になっていますが、川底が深くなって流下能力も高まるということで、自然の河床を残して生物にも配慮した構造という形で整備していくことを考えています。

 善福寺川の済美橋のわきに去年、見学に行ったときに車を止めた若干の空き地がありましたが、あの空き地は工事完了後はどのように使うのですか。

 車を止めたところは、済美橋の右岸側だと思いますが、そこについては地権者の方から東京都が借用している土地です。今年度、工事が終わりましたら土地の所有者に返却する予定です。

続いて、都民委員から「神田川の今と昔を歩く」を題材に神田川界隈、神田川に関する「江戸名所図会」の紹介、「都心部水辺の水生物調査」の報告がありました。

 また、都民委員から、新宿区、神高橋付近の戸塚地域センターを拠点として行っている神田川ファンクラブ活動について、活動予定が紹介されました。

次回は、平成23年9月中旬ごろの開催を予定しています。

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