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神田川上流懇談会議事録 第6回(通算24回)

開催日時 平成24年3月15日(木)14:00~16:00
開催場所 善福寺川取水施設会議室

 平成24年3月15日(木)の午後2時より、善福寺川取水施設において第六回神田川上流懇談会を開催し、情報提供と意見交換等が行われました。  当日は、確認事項として、「懇談会ニュース第二十三号」についての確認がありました。続いて「善福寺川調節池事業について」、「活動記録(案)について」、「都民委員・行政委員からの報告等」についての情報提供がありました。

はじめに「善福寺川調節池事業について」事務局から説明がありました。平成十七年九月四日夕方から五日未明にかけて、妙正寺川、善福寺川上流部を中心に時間最大100ミリ以上の激しい雨が降り、杉並区、中野区、新宿区で浸水家屋三千戸以上の甚大な被害が発生しました。これに伴い「河川激甚災害対策特別緊急事業」を実施しましたが、さらに上流域の水害対策として善福寺川調節池事業があります。善福寺川緑地内の敷地に調節池を設置し、早期に水害に対する安全性を確保するものです。調節池の諸元は貯留量が三万五千立方メートル、調節流量が毎秒22m3となっています。事業スケジュールは平成二十四年度から二十八年度を予定しています。施工の際には緑地内の樹木に極力影響を及ぼさないように配慮します。

善福寺川調節池事業
調整池のイメージ
調整池流入状況

続いて、第三期神田川上流懇談会の活動記録について説明がありました。活動記録については「人・生き物が集い、親しめる、地域に活きた川ををめざして―神田川上流懇談会の活動記録(案)―」として取りまとめています。内容の構成としては、目的、対象河川、設置要網、委員名簿、活動の主な成果、委員の意見と感想からなっています。

活動記録のイメージ
活動記録の表紙

都民委員からのご質問やご意見、行政委員の説明などを紹介します。

調節池工事の件で、工事に支障となる桜のうち60パーセント移植が難しいというのはちょっと多過ぎるなという感もするんですが、その辺はどうなんですか。

 桜の移植については、一本一本、現在どのような状況にあるかということで、樹勢等も調査しました。やはり経年変化というか、年数がかなり経っていたり、枝が朽ちている部分があるということで、今のところ物理的に移植できそうなものについては移植したいと考えていますが、樹木医の判断、公園の管理者と相談した上で、移植しても根づかないだろうと判断される木については、今回は移植できないという判断をしています。ですので、桜は移植しにくいから移植しないということではなく、個々に調査をした上で移植できないと判断しています。

 調節池に水があふれて入って、その後ポンプで出しますが、そのとき入った色々な水生生物を取り出してほしいと思っています。また善福寺川に戻すというようなことをやる予定ですか。

水生生物の件は、今後じっくり検討していかなければならないと考えております。物理的に魚を取り出すことは不可能ではありませんが、職員が常駐する環七の地下調節池は管理体制がしっかりしていますが、今回の調節池は、おそらく無人の施設になるので、この件は今後の検討課題だと思います。

 調節池の工事事業のスケジュールが平成二十八年までになっています。この事業は説明にもあったように、用地買収の問題がありません。しかも、地下の事業ですから、環境配慮とか日照権などの問題もない。そういうことを考えると、二十八年までかかるというのは非常に長いような気がします。したがって、これを一年ないし二年ぐらい短縮するようなことはないのでしょうか。

 スケジュールの検討に当たっては、まず掘削土量としては約9万m3ぐらいを予定しています。今回の工事用搬入路が用地の関係上片側通行になり、一日当たりのトラックの台数が制限される状況にあります。掘削におよそ一年かかります。それから近隣が非常に静かな場所ですので、今のところ昼間施工で夜間はやりません。それで標準な作業時間を考えますと、土木工事に三年程度、それから、排水ポンプなどの、設備関係の工事、電気設備の整備も一年程度ということで、なかなかこの工程を短縮するのは今のところ難しいと考えています。

 平成十七年度浸水状況に対して色々と改善していると思いますが、今回調節池を整備することによって、この十七年度の状況がどの程度に改善されるかということを教えてください。

 今回の調節池整備については、契機となったのが平成十七年九月の水害でした。河川については下流側から順々に整備を進めていかなければいけないので現在、東京都の中小河川の整備の水準が一時間あたり50ミリ程度の降雨ということで進めております。下流側の整備状況も見ながら、一時間50ミリの降雨に対応するためにどれだけの調節池や護岸の整備が必要なのかということで今回の計画は立てられています。ですので十七年の同じ規模の豪雨が起きたときに、浸水被害がなくなるのかと言われると、そうではなく、あくまでも一時間50ミリ対応の整備を行っています。

懇談会の写真1
懇談会の写真2
懇談会の様子

 東京都に直下型地震があって東京湾にかなり津波が来た場合、神田川には影響はないんですか。特に我々が住んでいるような上流部にはあまり影響がないものか、ハザードマップなんていうのはあるんですか。

 津波のハザードマップは東京都ではまだ島嶼部しかありません。これまでの想定だと東京湾は奥まった湾になっている地形になっており、津波が来たとしても、これまでで最大1.2メートル程度でした。この数値は東京都が想定している高潮水位よりも随分低いものです。ですから、高潮に対応しておけば、津波にも対応できるとこれまで考えていました。
 ただ、今回の地震でこれまでの1.2メートルよりも高い津波が来ましたので検証したほうがいいだろうということになり、現在東京都で検証を進めているところです。
 また、神田川に津波が来ないのかということですが、神田川上流懇で話をしている地域については、周辺の状況、東北で発生した津波の事象から申し上げると、中野区の付近まで津波が川を上ってくるというのは考えにくいのではないかと思います。

続いて、都民委員から「お花見ウォーク2012」、「隅田川支流北十間川視察」の紹介、「武蔵野市内の放射線測定」の報告がありました。

次回は、平成24年7月上旬ころの開催を予定しています。

降雨時に役立つ情報

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