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神田川上流懇談会議事録(第4回)

開催日時 平成16年6月30日(水)13:00~17:00
開催場所 神田川取水施設管理棟会議室

懇談会風景

 去る平成十六年六月三十日(水)の午後一時半より、第4回神田川上流懇談会が「神田川再生構想(案)について」の報告及び「今後の会の進め方について」をテーマに開催されました。
 当日は、都民委員十二名、臨時委員一名、行政委員十一名が出席し、東京都建設局河川部の担当者から神田川再生構想(案)に関する基調報告が行われた後、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。また、会議冒頭に座長から挨拶があった後、神田川流域で活動されている臨時委員の紹介がありました。

東京都建設局河川部計画課中小河川係の担当者より、現在進行中の神田川再生構想検討会の進捗状況に関して説明がありました。

 まず、都市河川である神田川水系の特性を川と人との関わりに着目し、下図に示すように8つのブロックに分けて、「河畔」と「見え方」という観点から分析している。
 「河畔」とは、建物用途、歩行条件、緑の拠点などの空間利用的な要素であり、可歩率や幅員率等の指標を用いて、類型化しており、「見え方」とは、沿川建築物との関係、川の見え方など景観的な要素で、両岸建物の高さと川幅の比率や、両岸天端から水面までの高さと川幅の比率などから現在の河川沿いの開放感や圧迫感、そして水量感を類型化しているとの説明がありました。

 神田川再生構想(案)(以下(案)省略)では、概ね五十年を目標期間に定め、「首都東京の顔に相応しい、人・生きものが集い、親しめる地域に活きた川を再生し、東京に魅力と活力を与える」という基本理念のもと、その実現に向けて「治水」「河畔と見え方」「水量・水質」「生物生息環境」の4つの分野に分けて展開していくとの説明がありました。

  • 『治水』・・・・・・・概ね十五年に一度発生する可能性のある降雨に対する浸水被害を防止する。
  • 『河畔と見え方』・・・河川空間を8つのブロックに分けてそれぞれの現状、あるべき姿を示す。
  • 『水量・水質』・・・・アユの生息に象徴されるような多様な生物が生息できる水量や水質を目標とする。
  • 『生息生育環境』・・・水生植物あるいは魚類の移動、そういった生物の多様性を創出していく生息生育環境を保全、再生する。
「河畔と見え方」8ブロック図

神田川再生構想(案)の説明を受けて、都民委員から次のようなご質問・ご意見がありました。

取り組みの方向性で流域の浸透域の保全・拡大とありますが、どのように流域を捉えているのですか。

 ここでは、あくまで表面の流域として考えています。この流域の中で現在、雨水・浸透という施策を進めていますが、今後の研究テーマとして、地下水涵養まで考えた対策が必要であると思います。

構想のブロック計画は、各自治体が同じような計画を持っている事が裏付けされているのですか。

 例えば地域の特性を生かしたいという事で、環七から下流であれば中野新橋側などの界隈を重視すべき所、あるいは、江戸川橋のように桜の名所になっている所、下流部の水の豊かな所、また川の見え方や地域の方々と川の関わりなど、いろいろな角度からブロック割りを考えています。その中で、各沿川、区の計画があるものは盛り込んでいます。

神田川再生構想は五十年を目標期間にしているのですか。

 再生構想というのは五十年先を見ています。構想は、あるべき姿であったり、それに近づくにはどういう方向性があるのかというものであり、この再生構想の精神を受けて、次のステップの河川整備計画を策定します。これは二、三十年を期間とした計画になります。

現在の構想は、法的強制力はないという話でしたが、自治体それぞれが条例化すれば、ある程度強制力を持たせることも可能ですか。

 今期の国会で、景観三法が制定されました。これに伴い、今後自治体でも同じような動きが出てくると思います。法的にやる方法が1つ、そして、いいものができるなら、という気運が進まなければいけないと思います。しかし、土地を譲って頂く際にはやはり何かメリットが必要と思います。このため、都市整備局では、容積率の緩和、税金の控除等の研究をしているところです。

  • 生物生息環境基本イメージ
  • 商業区域の整備イメージ

続いて、「今後の会の進め方について」話し合われました。会の進め方について、都民委員から次のような主なご意見がありました。

  • テーマ毎にワーキンググループのような構成にしたらいいのではないかと考えられますが、そうなると、自分が関心のある分野の方に意見が深くなっていく反面もありますから、ちょっと難しいですね。また、全員が何度も一度に集まるというのは、結構大変な事でしょうから。
  • 神田川再生構想の4つある理念の1つずつに絞って、現実にするには何が可能なのかという事の議論を深めていく事も一つの進め方ではないでしょうか。
  • 再生構想は大枠であって、その中の具体的な事を検討する懇談会がいいという事ですから、緑とか生物とかテーマ別で議論していってもらいたいと思います。
  • 再生構想の中で神田川を見ると、やはり本川だけではなく、支川まで含めた構想を考えていく必要があるように思いますので、善福寺川、妙正寺川の見学会を含めた全体の話もできるような場が必要であると思います。それで、何名かが集まって、分科会を構成すべきだと思います。そこから、神田川上流懇談会の第一期として神田川全体が見えるような企画を作って欲しいと思います。
  • 私達が分科会で議論する時、例えば小学校や中学校の教材として、この神田川のあるべき姿を伝えるとか、そのために教育委員会に働きかけること等のディスカッションをしてみたいと思います。そのためにも、また私達の意識を高めるためにも、分科会をする前に、策定される再生構想について、懇談会としてもう少し議論したらいいのではないかと思います。
  • 再生構想を聞いて、やはり魚類が棲める川にするために、どうするかという問題が非常に大きいと思います。そういう意味で、懇談会でこれを深める時間を設けてもいいのではないかと思います。後は、それに付随して行っていけたらと思います。
  • 水質・水量の問題は、専門家を招いて話をするのもひとつの方法だと思います。現状をもう少し深く把握してから、議論していく事が重要かと思います。
  • 整備計画の大枠のビジョン的なものには私達の意見はなかなか入るものではないと思います。それぞれの個別の整備で意見の一部でも反映してもらえるように、本会では、前回の懇談会で出た意見を次回で深めていくなど、簡単に会を進めていってほしいと思います。
  • 各委員ともそれぞれ、ビオトープ、緑に関心を持っている方、そして生物、それは水質・水量という事で、下水道に関心を持っている方、また、まちづくりや護岸を含めたハード面に関心を持っている方と関心を持っているところがはっきりしてきていると思います。ですから分科会のような形で、テーマ別に分かれて議論を絞っていく方法がいいのではないでしょうか。そして、その分科会でまとまったものをお互いの意見を聞きながら全員で肉づけしていく、議論していくような進め方がいいのではないでしょうか。
  • 他の先進的な活動をしている、例えば隅田川のスーパー堤防であるとか、横浜市のいたち川だとか、市民参画でやっている多摩川だとか、そういう河川の見学会も入れて欲しいと思います。
  •  また、アユを考えるのであれば、当然、水系或いは流域で考えなければ川全体の問題というのは検討できませんから、水系全体を考える事をこの懇談会で検討する事も必要ではないでしょうか。

※座長の説明
 河川の計画は、「整備計画」とその後に「実施計画」というのがあります。この実施計画は、三年あるいは五年のスパンで、どの区間を工事していくという、より具体的な計画になります。その計画を具体化する段階で、この懇談会の重要性というのは非常にあると考えています。引き続き、その局面局面でご意見を頂戴していきたいと思っております。

「今後の会の進め方について」の都民委員の意見を受けて、次回は、九月下旬に善福寺川の現場見学会を実施する予定です。今後事務局では、神田川の整備計画や再生構想検討会の内容も順次ご紹介していきたいと考えています。
 また、今後も各委員のご意見、ご要望を伺いながら進めていきます。

降雨時に役立つ情報

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