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神田川上流懇談会議事録(第9回)

開催日時  平成17年12月16日(金)15:00~16:30
開催場所  神田川取水施設管理棟会議室

神田川上流懇談会議事録(第9回)の写真

去る平成17年12月16日(金)の午後3時より、第9回神田川上流懇談会が「(9月4日)の集中豪雨による河川施設被害」などをテーマに開催されました。
 当日は、都民委員11名、行政委員10名が出席しました。東京都第三建設事務所から平成17年9月4日の集中豪雨による河川施設の被害状況が報告され、また東京都建設局河川部から集中豪雨後の対策事業概要などの説明が行われた後、都民委員と行政委員による意見交換が行われました。

懇談会冒頭に座長から挨拶があった後、一部行政委員の人事異動による交代が報告されました。続いて、東京都第三建設事務所から9月4日の集中豪雨による河川施設の被害状況が報告されました。

[1]降雨量と調節池の貯留状況

  • 9月4日夕方から5日未明にかけて、杉並区下井草で時間最大112ミリという記録的な雨が降りました。杉並区久我山、中野区鷺宮などでも同じく100ミリを超え、約2時間半から3時間ぐらい降り続きました。このため、環状七号線地下調節池の貯留可能量は、現在24万トンですが、神田川の水位が下がらない状況が続き、浸水被害が増大する恐れがあるということで、緊急的に工事中のトンネルにも約18万トン水を入れて、合計42万トンの洪水を取水しました。また、妙正寺川第二調節池にも約9万3千トン、上高田調節池でも約7万8千トンなど各調節池にも洪水を貯留しました。

[2]被害状況と復旧状況

  • この豪雨により、妙正寺川や善福寺川の流域では大規模な浸水被害が発生し、中野区や杉並区などを中心に約3千6百戸が被災しました。河川施設の被害は、妙正寺川の北原橋上流右岸で約40メートル、三谷橋上流左岸で約20メートルの護岸が損壊しました。北原橋上流については、今年度、北原橋の架け替えも含め、上下流100メートルの護岸工事を予定しているため、緊急処置として土のうを積んで、モルタル吹きつけなどを施工しました。三谷橋上流については、従前の形に復旧する本復旧工事を行い、既に工事を完了しています。

東京都建設局河川部より、今回の災害についての被害状況と、「河川激甚災害対策特別緊急事業計画」についての概要などが説明されました。

  • 今回の被害を受け、東京都は浸水被害の低減を図るため、「河川激甚災害対策特別緊急事業(以下、激特事業)」を国土交通省に申請し、この度採択されました。激特事業とは、非常に大きな災害を受けたときに、おおむね5カ年で実施するもので、今回は妙正寺川と善福寺川について河川の整備(護岸整備、河床掘削、橋梁架け替えなど)、調節池の整備(掘削、堰改良など)といった事業を行っていきます。
     妙正寺川の事業区間は、落合調節池付近から環七地下調節池の妙正寺川取水施設までの約3.9キロの区間で整備を行う予定です。
     次に、善福寺川の事業区間は、環七地下調節池の善福寺川取水施設から和田堀第六調節池までの約2.0キロの区間で、本村橋、済美橋の架け替え、その上下流の護岸整備を行う予定です。また和田堀第六調節池を掘り下げて、貯留量を増やす方策を計画しています。
     これらの具体的な事業内容については、詳細が決まり次第、当懇談会で説明していきます。
妙正寺川・善福寺川の浸水区域と激特事業実施箇所のイメージ図

都民委員からのご質問やご意見、行政委員の説明などを紹介します。

ご質問

今回の護岸損壊によって、どれくらいの被害が及んだのですか。

護岸損壊により、特に大きな被害はありませんでしたが、北原橋では、護岸の背面の道路まで崩壊し、現在も一部通行止めとなっています。

激特事業では従来と同じような整備を行うのですか。それとも新しく整備を行うので、環境という側面も一緒にやっていくのですか。

 激特事業は基本的には治水の事業であり、5年という限られた期間で整備を行っていきます。しかし、なるべく環境に配慮して河川の整備をしていきたい、親水性にも配慮していきたいと考えています。今後とも地元住民、関係機関、当懇談会などにご意見を伺いながら、お互いに協力、連携して進めていきたいと考えています。

ご意見

  • 環境問題が叫ばれる中で、東京都において、時間100ミリの対応というのはなかなか大変だと思います。やはり住民の安全ということを第一に置いて、いろいろ対処していただければと思います。また、安全と経済というのはなかなか両立しませんが、行政がよく検討して、やはり安全を第一にお願いしたいと思います。
  • 今度の被害では、今までの河川整備の前提条件をかなり見直す必要があると感じました。ピークの降雨強度、面積に応じた降雨強度、降雨強度に応じた流出係数などの前提が違っている感じがしました。さらに浸水の可能性がある地域について、例えば遊水池として住宅を建てないようにするとか、土地をかさ上げして浸水しないようにする必要があると思います。
  • 江古田川と妙正寺川の合流地点が大きな被害をもたらしています。これは江古田川のほうからの水が問題で、妙正寺川だけを整備しても多分うまくいかないと思います。公園や遊水池もたくさんあるので、もう少し水の流れる形を変えるような方法でやらない限り、この地点の被害軽減は無理じゃないかと思っています。
  • 桃園川や井草川、松庵川などは今や下水道になっています。そういう川の水の流れを全然把握できていません。河川としては対象が外れるかもしれませんが、それらの川を把握することは非常に重要ではないかと思います。
  • 今回の浸水被害は、雨水とともに汚物も各家庭に入り込み、水が引いた後も非常に臭いました。これは下水が溢れて浸水したものでしたが、これは衛生的にも問題があるし、そういうことが起こらない川にしていただきたいと思います。
  • 「東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想」の対象区域は隅田川や神田川下流や日本橋川です。この構想は東京の魅力向上ですから、神田川上流もかかわりがある問題として皆さんに注視していただきたいと思います。

最後に座長より、今後の当懇談会について提案がありました。

委員の任期は来年の春までとなっていますが、委員の皆様の同意をいただければ、もうしばらく現在の委員で懇談会を続けたいと考えています。

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