第16回議事要旨

開催日時:平成17年7月8日(金) 午後2時~4時
開催場所:東京都第一建設事務所会議室(1階)

[議事及び議事録要旨]
1. 開会

2. 新任行政委員の紹介

 四月の人事異動に伴い前任を引き継いだ新任行政委員の紹介

3. 『日本橋まちづくりアイディアコンペ』の最優秀作品について

 『日本橋まちづくりアイディアコンペ』で最優秀賞をとった作品についてと海外の河川工事の事例等を日本技術開発より紹介。

○ テーマ

  • 「日本晴大公園」と「首都高を降りて、日本橋を歩こう」の二つのテーマ

○ 「日本晴大公園」

  • 都心に不足する水辺、緑、オープンスペース、日本橋周辺の景観回復をするために、歴史的シンボル日本橋と都内の貴重な水辺としての日本橋川を活用した大空間を創出する。
  • 空間を創出するために、建物周辺、沿線の建物は高層化してオープンスペースを確保する。
  • 首都高を日本橋川南側の浅い地下に移設してはどうかと提案。

○ 「首都高を降りて日本橋を歩こう」

  • 首都高、地下鉄、東京駅といった充実したインフラを活用して、賑わいを生かし、アクセスや回遊をしやすくなる仕掛け作りを提案。
  • 仕掛け1『日本橋コモン』:橋詰広場にイベントスペース、オープンカフェ、商店のショーケースなどを整備して人が集まる仕掛けを作る。
  • 仕掛け2『老舗街』:周辺に残っている老舗を老舗街にあつめて、街側からより人が集まる仕掛けを作る。
  • 仕掛け3『日本橋トランジット』:船着場、バスターミナル、首都高速道路のランプなどの新たな交通結節点を整備し、日本橋地区にアクセスしやすくする。
  • 仕掛け4『歩行者専用の木橋』:中央通りと日本橋川のクロスする軸を補完する補助的な軸として木橋を整備し、歩行者が東西に歩けるような軸とし、地区の回遊性を高める。また、木橋は日本橋そのものを眺める視点場としても機能する。

○ 実現に向けての課題

  • 官だけでも、民だけでも出来る事業ではないため、役割分担が必要。事業主体は誰がやるのか、整備時期、資金調達などが課題
  • 首都高の移設については今回の提案では日本橋周辺までしか検討してないため、前後区間の取付や全体を考慮して検討する必要がある。
  • 水質の浄化をどうするのか。もっと上流側から、水質の浄化をについてきちんと整理しておくことが重要。

4. 報告事項

(1)「河川浄化施設の事例」について

 [1] 呑川(大田区)における屋形船型水質浄化装置について

  • 平成11年度に悪臭防止対策も含めた「ジェットストリーマー」というものを二基設置。
  • 水中の溶存酸素を改善するのが目的。
  • 設置費用は二基で約2,100万程度。年間の維持経費は点検整備費として約430万円、電気代として87万円程度。
  • 効果については浄化装置の周辺、半径10メートル程度のエリア内では非常に水質改善の効果がありますが、それ以上離れると効果を得ることが出来ない。スポット的な効果はあるが河川を通しての効果は得られない。
  • 呑川は船の往来がほとんど無い河川であり、日本橋川とは条件が異なるため適用は難しい。
  • 一番重要な7月、8月、9月は大雨で流されてしまう恐れがあるため撤去しており効果は期待できない。

 [2] 日本橋川悪臭抑制対策委託(中央区土木部公園緑地課)について

  • 平成15年度に日本橋に面する企業の方々から「非常に臭い」「目がちかちかする」と苦情があり、中央区が調査委託したもの
  • 日本橋川の悪臭の原因究明と有効な方策の検討が目的。
  • 現地調査では、臭気は77日間のうち西河岸橋で8日、江戸橋で17日感じられ、スカムは西河岸橋で2日、日本橋で5日確認された。
  • 底質調査では、西河岸橋のところで約40~50cm、日本橋及び江戸橋では約15~20cmヘドロが溜まっているという調査結果。
  • 底泥の溶出実験結果から、窒素やリン、硫化物イオンが溶け出して悪臭を発していると考えられる。
  • 中央区が行っている水質調査を資料調査したところ、春と夏に溶存酸素が低い状態になっていることから、嫌気性分解が起こり悪臭物質が発生している可能性がある。
  • 悪臭の抑制対策として「循環曝気法」「ヘドロの浚渫」「微生物利用法」などが考えられるが「ヘドロの浚渫」以外はデータが乏しく効果の程が確実ではない。「循環曝気法」の効果が確認できたうえで「ヘドロの浚渫」と組み合わせるのが最も良い対策ではないかと結論付けている。

(2)「河川ウォーキングガイド」について

  • 昨年の流域連絡会で日本橋川、亀島川、隅田川、神田川を結ぶマップを作ろうと提案し、準備を進めてきた。
  • 先日、事前にアンケートを配布して、委員の方々にも意見を頂き秋には配布できるようにしたい。

5. 意見交換

○ 『日本橋まちづくりアイディアコンペ』の最優秀作品について

【都民委員】
 コンセプトとして、まず水質浄化というのを入れるべきではないかと思うのです。水質浄化するという仕組みをまずつくって、そうすれば川そのもののダイナミズムが生かされますから、その辺をぜひ考えていただきたいです。
【日本技術開発】
 水質の話は重要だと思いますが、我々の提案の中ではそこまで踏み込めなかったのです。やっぱり神田川水系の全体で、水をきれいにする必要があるのかなとおもいます。それは大きな課題となっておりますので、それはまた鋭意今後も検討していきたいというふうに思います。
【都民委員】
 日本橋川のなかで、最も歴史的に価値あるものというか、見なければいけないのは常盤橋周辺ですよね。あそこは今回は除いたのですか、意識的に。何か余りアイデアの中に入っていませんね。
【日本技術開発】
 今回は日本橋が中心でということで、日本橋と呉服橋、江戸橋との間と我々で範囲を決めました。
【都民委員】
 そうなのですか。日本橋川なんかたかが5キロですから、全体として考えた方がいいのではないかと思います。あそこは日本橋川、神田川、隅田川とループ状になっていますから、そのループ状でまちづくりをすると、もっと東京全体、東京の中心全体が生かされるのではないかという気もします。
【日本技術開発】
 広域的な考え方を、もっと日本橋川だけではなくて、神田川、隅田川を視野に入れて考えた方がいいだろうというご指摘、それは全くごもっともだと思います。我々はコンペということで、あえて、日本橋周辺だけに絞ってしまったのですが、もちろん隅田川全体も活性化があります。臨海部の晴海埠頭なんか、倉庫として整備されていたのが、それが跡地になっているとか、あと千葉の臨海部でも工業跡地がどんどんふえてきていると、こういうふうな状況がありますから、そういう水辺全体、東京だけでなく、東京都全体、横浜、千葉含めて、あと川も含めて、全体的な水辺の再生というのを考える必要があろうというふうに思っております。
【都民委員】
 木橋は非常にいいと思いますが、デザイン的にストレートの橋というのは、何かもうちょっとデザインないのかという気がします。せっかく人道橋をつくるのだったら、あそこでもっとこう人が触れ合える場に使える、水との触れ合い、水生物との触れ合い、いろいろあろうかと思うので。例えば隅田川に桜橋がありますよね、X橋みたいな。あんなのもデザイン悪くないなと思いますし、もうちょっと何か考えてもいいのではないかと。ああいう木橋をつくるのは大賛成なのですけれども。
【日本技術開発】
 木橋のデザインは、あえてシンプルにしたと。すぐ近くに日本橋というすばらしい橋がありますから、できるだけ木橋は地味に逆にしなければということで、あえてシンプルな橋を提案させていただきました。これは考え方いろいろあると思いますので、いろいろ検討したいというふうに考えます。
【都民委員】
 アイデアの中に、あの区域の中にワンドをつくるというのは考えられて、無理だと判断して絵にならなかったのか、最初から余り考えていなかったのか、どっちでしょうか。僕はぜひ欲しいなと思っているのですけれども。
【日本技術開発】
 我々は自然に向いた整備ではなくて、むしろ人がいて快適な川づくりがいいかなというふうに考えています。そういう自然的な、ビオトープみたいなのを整備してはどうかという意見もあったのですけれども、やっぱりまちに来る人、住む人が、快適になるという空間をまず第一につくろうと考えました。逆に、そういう生態系、自然系みたいな話であれば、あえてここでやるのではなくて、隅田川の下流側でやるとか、荒川のところでやるとか、それはちょっと場所の特性によって整備する方向というのは変わってくると思います。

○ 日本橋川悪臭抑制対策委託について

【都民委員】
 中央区さんの調査ですけれども、これは東京都さんがただ浚渫するというだけではなくて、曝気を組み合わせるような形にすることはできるのでしょうか。
【行政委員】
 先ほども言いましたように、一応委託の中で、有効と思われる対策を絞ってきたわけなのですけれども、高濃度酸素水を水底に供給した場合の効果もまだ実際上はデータが出てきていなので、当面は様子見と考えています。
【都民委員】
 大阪の道頓堀川でEMという微生物を使ってヘドロを食べさせて、除去するというのが、非常に道頓堀川で効果が上がっていて、全国的に随分活発にそういうことが行われているということです。先ほど、「微生物利用法」効果のほどが定かでないと言っていますが。その辺はどうなのですか。道頓堀川の人が来て勉強会をやったときには、非常に大きな効果が上がるという数字は出ていたわけでしょう。
【行政委員】
 この調査は、去年の10月ということで、調査報告書をまとめていますが、全国の事例、調査報告書の本編の中にはいろいろとまとめて、私どもも余り企業色に偏らないで、そういう中で客観的な方策を考えてほしいというふうなことで調査委託を出したのです。その結果としての評価になっています。
 ただ、私もこの間(勉強会に)行かせていただきまして、本当にああいう形で水がきれいに、ヘドロがいわゆる砂になるならば、ありがたいことです。私どもも興味を持って見させていただいて、効果が出ていただければ非常にいいなと思っています。

6. 意見交換

降雨時に役立つ情報

事業別に見る